隣国で頑張ります(5)
次の日の朝 ティアが今日は誰と行こうか考えていると悠翔が町に行ってみたいと言ってきた。そういえばずっと森に居てるなと思い じゃあ一緒に行こうと声を掛けた。
姿を人間に変えてもらい二人で出掛ける。手を繋いで町を歩く。何時もの《魔》の店の前を通ると丁度出てきた店の人にお父さんかと聞かれた。違うけど似てるのかと聞けば髪の毛の色が一緒だから父娘かと思ったらしい。
悠翔に向かい親子だってと言えばふふふと笑うと。これは間違えられて嫌ではなかったということだろうか。分かりにくい。
何処に行こうかと聞くも特に行きたいという所はないらしくただ見て回りたかっただけなのだそうだ。なのでただブラブラと歩く。色んな物に興味を示すが寄ろうとはしない。なので悠翔が興味を示した店に行こうと誘ってみる。ティアも食に関するもの以外の店に殆んど寄ることはないので一緒にはしゃいで見ている。色取り取りの小物、可愛い髪止め、不思議な置き物など色々見て回った。
気が付けばかなり太陽が傾いてきている。楽しくて時間が経つのも忘れていたようだ。早く戻らないとみんなが心配してしまう。悠翔とまた一緒に来ようねと約束して急いで小屋に戻った。ただいまと帰ると疾風が笑顔で出迎えてくれた。そんな疾風を見ると自分だけ楽しんできたことが申し訳なかった。
ごめんねと疾風にしがみつけばどうして謝るのと不思議そうにしていた。
次の日もティアは町に来た。気合いを入れ直すため腕輪を見ようと《魔》の店に寄る。するとなにやら店の前が騒がしかった。何事かと思い耳を澄まして聞いてみると先日防御の指輪を買った人の話題だった。その様子を偶然見掛けた人の話だったが指輪に付与されている魔力が障壁なのが珍しかったのだとか。更におまけにと付けておいた雷が発動したのにも驚いたらしい。なので指輪を買った人に詳しく話を聞こうとみんな集まったのだそうだ。
確かに障壁に触ると雷の衝撃を受けるようにしたのは驚くかもしれないが障壁の何が珍しいのか分からなかった。
ティアは集団の横を通り店に入った。店の人にまた来たのかと笑われながら腕輪をジーっと見つめる。早く手に入れるために頑張ると気合いを入れ店を出ようとすると外が更に騒がしくなった。どうやら指輪を買ったお兄さんが来たようだ。みんなに囲まれ質問攻めにあっている。大変だなと思いながら外に出ようとしたが出入り口を塞いでいるので出られない。困っていると店の人が指輪を買ったお兄さんを店に引っ張り込み代わりに聞くから静かにしろと集まってる人達を黙らせた。
取り敢えず集まってる彼等は何を知りたがっていたのか聞くと大きくは二つ。 何処でやってもらったのか。幾らだったのかだそうだ。店の人も興味があったようで教えろと詰め寄っていた。だかお兄さんは約束を守ろうとしてくれているのか話そうとしない。なので聞きたいことがあったティアは助け船を出した。どうしてそんなに話題になっているのかと。
防御の指輪は本来隙をついて逃げるために火や水、雷といった攻撃だけをするもので障壁と攻撃の二つをしたりしないそうだ。なのでそのことが話題になっているのだと。
(そうなんだ。防御って名前だから勝手に防御に関する魔法を付与するんだと思ってたよ。ちゃんと聞いとけばよかった)
お兄さんをジッと見るティアとティアをジッと見るお兄さん。そしてその二人を見る店の人。
不意に店の人がこの間も二人でこそこそしてたし今もお互い見つめ合ってるし怪しいなと言ってきた。
ティアは素知らぬ顔で何がと言ったがお兄さんは素直なのか誤魔化すことができなかった。仕方がないのでティアが関わっていることは秘密と言う条件付きで話した。
話を聞き終わった店の人がだったら一緒に組んで指輪を売らないかと誘ってきた。防御の指輪は魔力付与をしてもらうのが高くてあまり売れない。だが安くて珍しい魔力が付与されていれば売れる可能性がある。一度試してみないかということらしい。確かに魔力付与でバイトができたらとは考えたが実際にやるべきかどうかと悩んでいると店の人がペット用の腕輪を早く手に入れれるかもしれないぞと揺さぶりを掛けてきた。二つだけでも早く買いたかったティアは条件付きでならのと話を受けた。
取り敢えずと腕輪二本と石二個分、合計五十個の指輪に魔力付与を頼まれた。何でこんなに在庫があるのかと思ってると金持ちがたまに纏めて買っていくとき用に置いてあるのだそうだ。
店の外の人に見付からないように指輪を預かり裏口から出してもらう。明後日の朝に持ってくると約束して急いで小屋に戻った。
ティアは小屋に戻るなり暫く誰も近づかないでと言い 早速指輪の魔力付与を始めた。ちゃんと買った人の無事を祈って。そして疾風のことを思って。魔力付与はその日のうちに終わった。最後に悠翔に訳を話してから指輪を見せ少しだけ力を貸してもらった。
次の日ティアは一日中疾風にくっついていた。何をするわけでもなく明日が不安でただ側に居てほしかったのだ。
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