悪意に負けずに頑張ります(6)
暁が魔族に聞いた。何故ティアに呪いをかけたのかと。
魔族は娘には興味はないが娘によって暴走を抑えられると困るからだと言ったが暁達には意味が分からなかった。訳が分からなさそうにしている暁達にこれ以上話すことはないと言い放ち攻撃してきた。
前回と同じ様に茨を使い捕まえようとするが火を使われたり風で切られたり上手く躱されたりとなかなか捕まえることができない。ならば一人ずつでも確実にと思ったが他の二人が邪魔をして上手くいなかい。彼是技を繰り出すが何れも上手くいかず焦り始める。
疾風達もかなり疲れていたが必ず助けるんだと己を奮い立たせる。今度こそ必ず倒してみせると。
一進一退の攻防を繰り返すうちに日も傾いてきた。
全員疲れも限界に近い状態でぼろぼろだ。それでもと最後の力で疾風が攻撃を仕掛けた。動きの悪くなった魔族は疾風の攻撃をまともに受け気を失った。
最後はみんなで倒してやろうと小さな精霊達も技をかける。琥珀を除く十人が其々に今使える最強の技を繰り出した。
最後に魔族がグゥッと言ったように聞こえた後 十夜の闇の力により灰のようになりながらサラサラと風に飛ばされていった。
疲れ果てたみんなは その場にへたり込んだり倒れたりしていた。本当ならこのまま此処で休みたいところだが早く戻らないとティアが心配して困るので琥珀に疾風と雷牙の回復をお願いした。少し時間がかかり全快とまではいかなかったが飛んで帰えるくらいなら何とかなりそうな程には回復できた。
疾風が暁を背中に乗せ 精霊達は雷牙が抱えて帰る。疲れもあり今日中に戻ることができないかもしれない。瑠璃達が何とか誤魔化してくれてるといいのだけれど。
迷いの森を飛び立って二~三時間経っただろうか。みんな疲れも少しましになってきていたその時、精霊達はティアの不安な気持ちを感じ取った。
『『『ティアが不安がってるよ』』』
本来なら契約している疾風も感じ取れるはずなのだが 飛び続けて疲れているとこもあり今回は分からなかったようだ。精霊の言葉を聞いて焦った疾風だがこれ以上早く飛ぶこともできず どうすることもできなくておろおろし始めた。暁に落ち着けと言われても落ち着ける訳がない。
心の中で必死に“ティア”と呼んだ。何度も何度も呼んでいるうちにふと“疾風”とティアに呼ばれたような気がした。気のせいかもしれないが 聞こえたと思った疾風は心の中で今帰るからねと言うと惑いの森を目指した。
みんなが惑いの森に戻ってきたのは日を越えてからだった。月明かりだけで頑張って飛び続けた疾風の体はかなり疲労の色が濃かったが 惑いの森に着くなりティア目掛けて走った。起きてみんなを待っていたティアも疾風に向かって走り出す。もう少しというところで疾風は止まって身を屈めティアが抱き付くのを待ち構える。ギュウっと抱き付いてきたティアを同じ様に抱き締め返し頭同士を擦りあわせる。ティアはごめんね、ありがとうと何度も言った。
落ち着いてから何故お礼を言ったのかと聞けば 惑いの森に残っていた三人が事情を話してしまったようだ。何時まで経っても戻ってこないみんなのことを心配しているのを見兼ねたからだったが、本当のことを言ったらもっと心配したのでどうしようかと思ったそうだ。
「ところで後ろに居るのは誰だ?」
暁が聞いてきたのでこれまでのことを話した。
昨日偶然出会って悪夢のことを話したら今日はもう見ないと頭を撫でておまじないしてくれた。そしたら本当に見なかったのでお礼を言おうと呼び出して暫く話していた。何か言葉以外でお礼ができたらいいなと付いて来てもらったのだが誰もいない。何時までもみんなが戻ってこないと泣きそうになってる子を放っておけないと一緒にいてくれた優しい精霊さんなのと言うと みんなその精霊にお礼を言った。
雷牙はただ一人その精霊をジーっと見ている。どうしたのと聞くと少し間を空けてから雷牙は言った。
「・・・その精霊 王様じゃない?」
そうなのと精霊に聞くと“ニコッ”と笑っただけで答えてはくれなかった。まあ別にどっちでもいいんだけどね。
夜もかなり遅いので 眠たくなったティアは話はまた明日にして今日はもう寝ようと言い暁に抱っこを求める。そして精霊に戻らなくてもいいなら一緒に寝ようと誘った。
悪夢から解放されたと分かると直ぐに元の甘えたのティアに戻った。だかみんなにはそれがとても嬉しかった。
何時までも優しい目で見ている疾風に早く来ないと先に寝ちゃうよと言えば 今行くよと慌ててティアの下にやって来る。
暁の隣にティア、ティアの隣に疾風、ティアの頭の上に瑠璃が丸くなってその回りに小さな精霊達。呪いにかけられる前の寝るときの定位置だ。
雷牙と精霊は少し離れた場所からそれを微笑ましそうに見ていた。
ブクマ登録ありがとうございます。
お読み頂きありがとうございます。




