悪意に負けずに頑張ります(4)
疾風は早速カラスを問い詰めた。
誰がこんなことをしたのか。そいつは何処に居てるのか。何の目的があるのか。とても冷たい目で睨み付け静かに怒りを纏っていた。
当然素直に話すとは思っていなかったのでみんなで考えた作戦を実行することにした。結界をカラスの体より少し小さくし疾風の口にの中に入れる。
「結界の強度を徐々に落としていったらドラゴンに食べられちゃうねぇ。何時までもつかな。ふふふ」
雷牙が楽しそうに言う。
カラスは震え始め話すから食べるのは許してほしいと言ってきた。
ならさっさと話せと疾風は冷たく言い放った。
カラスが話始めようとしたその時、小屋の入り口付近にいた精霊が ティアが魘されていることに気付きそれを疾風に教えた。すると疾風は慌ててティアの下にやって来た。
『ティア、大丈夫だよ。安心して。何も問題ないよ。ティア、みんな此処に居るよ』
それを観ていたみんなは思った。
(本当にさっきの奴と同一のドラゴンか。よくそこまで変われるな)
ティアも落ち着いてきたようなのでカラスに話の続きを促した。
目的は知らないが迷いの森に居てるとのことだった。暁達には場所が分からなかったが精霊達には分かったようだ。
精霊達が迷いの森について説明していた時、後ろから声がかかった。
「まよいの森って?」
ティアが聞いてきたのだ。みんな突然のことに狼狽えながらも何とか誤魔化せないかと必死に考えた。
『ま、迷いの森じゃなくて惑いの森だよ』
『そ、そう。惑いの森。わたし達の故郷なの』
『暫く帰ってないからどうなってるかと思って話してたんだ』
何故だかティアが申し訳なさそうにごめんねと言ってきた。何故謝られているのか分からなかったが ティアと一緒に居てるから帰ることができないのだと思ったらしい。みんな慌てて否定した。帰ろうと思えば何時でも帰れるんだから気にしなくていいんだよと。
するとそんなに気にするならみんなで行けばいいんじゃないのと雷牙が提案した。別に此処に居ないといけない訳じゃないんなら丁度いいと思うけどと言ってきたのだ。
ティアはそれもいいかもしれないと思ったが、ここはみんなに聞いてから決めるべきだと思いどうしたいか話し合うことにした。
暁達は雷牙の勝手な提案に怒ったが惑いの森が迷いの森に行く途中にあることを聞くと雷牙の意図に気付き賛成した。
みんなの賛成で出発することになり直ぐに行こうと準備が進められる。因みに何れくらいかかるのか聞くと一ヶ月半程だそうだ。ティアは急ぐ訳じゃないし遠いけどまあいいかと思ったがみんなはかかりすぎると騒いでいた。
そうは言っても歩いて行くしか方法がないので仕方がない。そこは我慢しようよと言えば疾風が飛んで行けばいいと言ってきた。当然疾風が人に見付かることを嫌がっているティアは反対したが、疾風に説得され渋々ながらも頷いた。
大した荷物もないので準備も直ぐに終わり出発することに。
ティアと瑠璃は疾風の背に乗り、暁は雷牙の肩に掴まり真珠の力を借りて 見付かりにくいようにと木の上 スレスレを飛ぶ。因みに今日の疾風の色は緑色だった。
時折疾風の背中でティアが何やら言っていたが泣き出したりすることはなく順調に進んでいった。
夜眠るとやはり悪夢に魘されるようでなかなか寝たがらない時もあり 少し体力が落ちたようだった。
町を出て八日目惑いの森に着いた。今日はここで体力を回復させて明日迷いの森に行く予定だ。もちろんティアには内緒で、此処に置いていくつもりだ。
惑いの森の湖畔に腰を下ろし休憩する。精霊達は楽しそうに湖の上を飛び回り遊んでいた。今日はこの場所でゆっくりすることになった。
「疾風つかれたでしょう。ゆっくり休んでね」
何時ものようにギュウっと抱きついてきたティアを何だか窶れてしまったと感じた疾風は、もう一日だけ頑張ってと心の中で願った。
暫くして瑠璃とソルとステラがティアを散歩に誘ってきた。明日のお留守番組だ。
その間に明日のことを話し合う。出発は朝早く出てお昼頃につく予定。後の細かい場所はカラスに聞くとして何か言っておくことはあるかと聞いても特にはないようだった。話し合いにもならなかった。結局体を休める為ゴロゴロしていた。
散歩から帰ってきたティアは早目にご飯を食べてゆっくりしようと言った暁に賛成し 準備を始めた。
食べ終わってみんなでゆっくりしていると 飛び疲れていたのか寝始める子が出てきた。疾風もわたしを背負って飛び続けていたから疲れたのだろう。欠伸をして眠たそうにしている。疾風の背中に体を預け横になっていると疾風の寝息が聞こえ始めた。
(毎日わたしを乗せてくれて、寝ているときも面倒見てくれて疲れたよね。ごめんね)
眠る疾風をジッと観ていた。
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