悪意に負けずに頑張ります(2)
ティアが小屋に入ったので僕はティアの見える場所に腰を下ろした。一人小さく丸まって座っている。寂しそうにしているのに傍にも居てあげられない。何があったのか話してほしい。そうすれば僕は大丈夫だよって言ってあげられるのに。独りぼっちで悲しまないで。ティア。
「疾風」
とても小さな声だったけどティアが僕のことを呼んでくれた。他の誰でもない僕のことを。
『此処に居るよ ティア』
ティアが少しでも安心できるように優しい声で返事する。何時も甘えてくる時と同じように。それから何度か呼ばれたけれどその度にうんと返事した。少しは落ち着いてくれたならいいけど。
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夜になり大分落ち着いてきたがあまり動こうという気になれずにいた。ご飯が無理ならスープだけでも飲むようにと暁に渡された。温かいスープを飲むとなんだかホッとする。小屋の出入口に目を向ければ疾風が居る。もう怖くはない。そのことに安心するが何故だか体が怠いと感じる。もしかして疲れているのだろうか。自覚はないけれど調子を悪くして迷惑をかけるといけないから大人しくしておこう。そう思いその場に横になったが昼間に眠っていたのでまだ眠れそうにない。ただボーっとみんなのことを見ていた。
(みんな大分仲良くなったよね。暁も随分と打ち解けてくれたし。ただ、過去のことは色々気になるんだけどね。暗殺や諜報活動もやってたって言うしどこまで信用していいか分からない。裏切られたりしないか気を付けとかないと・・)
そんなことを思っている自分に驚いた。
(何でこんなこと思うの。本当は心のどこかでそんな風に見てたの。ううん、そんなことない。違う、違う!じゃあなんで。怖い、怖いよ)
体がガタガタと震える。それに疾風が気が付いた。
『ティア?!』
疾風の声に精霊達が反応し、ティアの下に寄っていく。遅れて暁もやって来た。
「どうした?!」
「ごめんなさい。暁、ごめんなさい!」
「どうした。何で泣いてるんだ」
自分が怖くなって泣き出した。こんな酷いこと考えるなんて。暁はわたし達に親切にしてくれてる。にぃにみたいに優しくしてくれてるのに。ちょっと照れくさそうに甘やかしてくれる。大好きなのに!こんな自分は嫌だよぉ!
泣いているのに暁にも疾風にも甘えないティアを少し離れた所から見ていた雷牙が二人で話をさせてほしいとみんなを小屋から追い出した。何があって暁と疾風に甘えないのか教えてくれないかと雷牙は尋ねた。ティアは夢に見たことと先程考えてしまったことを説明した。
「こんなこと今まで一度もなかったのに、何でかな」
泣き続けるティアの頭を撫でて大丈夫と言う雷牙には思い当たることがあった。しかしそれをティア本人に言うべきか迷った雷牙は暁に相談してからと思いティアを慰めるだけにしておいた。
雷牙はティアを他の精霊達に任せ、話しておきたいことがあると暁と疾風の二人を外に連れ出した。そこで二人は雷牙から驚くべきことを言われた。それはティアが呪いにかかっていると言うことだった。
何とかしてかけた人物を探して呪いを解かないと精神的にやられてしまう可能性がある。悪夢も見たと言うことは眠ることもできなくなり体を壊してしまうかもしれない。
出会って間もないから性格はハッキリとは分からないけど甘やかされて育てられた様に見えるので、負の感情には慣れていないのではないか。ならばこの状態はかなりきついだろうと言うのだ。
その呪いを解く方法はと聞けばかけた相手に解いてもらうか倒すしかないらしい。
なら、今ティアと契約している精霊達では何もできないのかと聞けば光と闇が呪いの効力を軽くすることができるかもしれないが、解くことはできないと言われた。
認めたくはないが呪いにかかっていることは分かった。だが呪いにかけられたと言うことに理解ができなかった。誰にも会わずに暮らしていた。その存在を知っていても姿を知っている人は居ないはずだ。そんな子を何故呪わなければならないのか。接触したことがないなら呪う必要なんてないはずだ。
いや。今は理由を考えている場合じゃない。とにかく呪いをかけた相手を探し出さなければならない。雷牙に呪いをかけた相手が誰か調べられるか聞いたがそれは無理だと言われた。
「関係あるか分からないけど結界の外からずっとこっちを見ているカラスが居るんだよね」
何時から居るのか分からないけど雷牙が此処に来た時から居て、此方を窺っているように見えた。もしかしたら関わりがあるのかもしれないがカラスが呪いをかけた訳ではないので関わりがあるのだとしたら見張りだろうと言った。
だったら確かめるために捕まえようとなったが 暗くて逃げられた時見失うと困るので明日明るくなってから捕まえることになった。
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