新天地です頑張ります(14) ~レオンの思い<2>~
その時からだろうか。わたしが凛を妃候補に考えるようになったのは。凛の安全を守るために精霊数人を異世界に連れていき守ってほしいと頼んだ。
出逢って一年程経った頃凛は無くさないように預かっていてほしい物があると言ってきた。それはとても小さなリングだった。
「これはねお父さんとお母さんがわたしが生まれた時に買ってくれたベビーリングなの。この間見付けたんだ。とっても大事な物なんだけど無くしたりしないか不安で・・。だから、もしよければレオに預かっていてもらいたいの」
「黄緑色の綺麗な石だね。分かった。無くさないように預かるね」
凛はとても嬉しそうな顔をして笑った。大切な物を預けてもらえるなんて信頼されているんだなと思うとなんだか擽ったかった。両親との大切な思い出の品を無くすことないように持ち帰り誰にも見付からないように保管した。
一人になり嬉しい気持ちを噛み締めているとふと気が付いた。そう言えば凛以外の妃候補を探していない。
凛と一緒に居ると楽しいしわたしを畏れたりしないで接してくれる。今はまだ恋愛感情ではないがわたし自信凛のことは気に入っている。凛なら妃にしてもいいかもしれない。そんな思いを抱くようになった。
そんなことを意識し凛の笑顔に触れているとわたしの中に不思議な感情が芽生えてきた。
凛が楽しそうにしているとわたしも楽しくなり悲しそうにしていると元気付けたくなるという風に凛の一喜一憂に振り回されるようになった。
ちょっと大きくなったわたしは左サイドの髪の毛に凛から預かったベビーリングを嵌め落ちないようにリングの下に丸い髪留めを着けた。誰にも意味は分からないだろうが見せびらかすために。これなら誰にも取られないし無くすこともない。残念ながら凛には見えないけれど。それでもわたしはベビーリングを髪に着けて凛に逢いに行った。
成長するにつれ凛は綺麗になっていった。この頃には凛に惚れていることを自覚していた。だがわたしにもしなくてはならないことができ逢える時間が短くなってしまった。
そんなある日不意に凛に呼ばれた気がした。今迄こんな風に呼ばれたことなんてなかったのに、わたしはとても不安な気持ちになって凛の下に急いだ。
其処でわたしが見たものは道路に力なく横たわり妖精の力によってかろうじて命を繋ぎ止めている凛だった。
そのことに気が動転したわたしは何をしたのかあまり覚えがないが、凛の魂と精霊を連れて戻ってきた。凛の魂が転生できるように力を分け与え成功するようにと精霊と共に試みた。こんなことやったことがないので上手くいくかわからないが一か八かに賭けるしかなかった。
仮に上手くいったとしても何時、何処に生まれてくるのかも分からない。位の高い貴族に生まれてくるように願ってはみたが当てにはならない。分かっているのはもし生まれてきてくれたならわたしと同じ紫の目をしてるということだけ。わたしにはもうなにもできることはない。ただ祈るだけしかない。
精霊達に彼女を見付け出し今度こそ守ってほしいとお願いした。
それから精霊達とは会っていない。まさか報告してほしいとお願いしなかったからなのかわたしを訪ねて来てくれない。そんなわたしにできるのことは貴族達に生まれた子供を調べることだ。
だが一年経ち、二年経っても紫の目の子が生まれたという情報は入ってこなかった。
もしかしたら失敗したのかもしれない。もともと一か八かの賭けだったのだからその可能性はもちろんある。しかし諦めきれない僕は探し続けた。人を使い国中を探すように命じたが見つけ出せない。長い間待ち続けても見付からないのだ。やはり無理だったかと諦めが強くなっていた。
“これ以上は無駄かもしれない”
そんな風に思い始めた頃、母に誘われたお茶会でそれは起こった。
心臓がいきなり“ドクンッ!”と痛いほどに脈打ったのだ。周りに居た人達は慌てたがわたしは大丈夫だと言ってその場を去った。後ろを付いてきたエドワードとセドリックも心配して声を掛けてきた。
「ああ、問題ない。それよりも凛だ。あれはきっと凛が力を使ったんだろう」
わたしはそう確信した。やっと見付けることができるかもしれないと思うととても嬉しかった。しかしその反面こんなに強い衝撃を受けるほどの何かが起こったことに不安が押し寄せた。
直ぐに幼馴染み達にその魔力が使われた場所を特定するよう命じたが、その報告をもたらしたのは彼等ではなくインディクムの領主だった。其処に行けば逢えるかもしれないという思いがわたしを突き動かす。彼等が止めるのも聞かずその場所に行くことにした。
出発前夜幼馴染み達が部屋に来た。
もし凛を見付けたらどうするのかと聞かれたが 今迄探すことに夢中で見付けた時のことは考えていなかった。わたしは凛を見付けた時どうするんだろうか。
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