新天地です頑張ります(13) ~レオンの思い<1>~
わたしがこの世界で凛の存在を確認してから一ヶ月程経つがこれといって捜査の進展はない。やっと見付けることができるかと思ったがそう簡単にはいかないようだ。早く会っていろんなことを話したい。こんなことなら素性を話しておけば良かったと思いながら凛との出逢いを思い返した。
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わたしはこの国の建国者の生まれ変わりとして生を受けた。何代目になるか分からないが紫の目を持って生まれてくることはその証なのだと言われていた。まあ、実際にそうなのだが。この紫の目を持つ者は魔力が強く成長するにつれ自分では抑え込みきれなくなり暴走させてしまうこともあったと言う。わたしは歴代の中でも一、二番の魔力量を持って生まれてきたと言われた。お蔭で周りの者はわたしに対し畏怖と敬う気持ちの両方を持っていた。と言っても畏れの方が大きかったのだろう。遠巻きに見る程度だったのだから。
わたしは生まれて間もなく伴侶を探すことにした。魔力を暴走させないためだ。過去に異世界からやって来た者を珍しいからと嫁に迎えたことがあったようだか魔力の暴走を抑えるのにとても助かったそうだ。魔力の暴走を抑えるのには波長の合う人物を探せばいい。その異世界人は全く魔力がなく生まれ変わりが自分の魔力を流し込んで波長を合わせ 魔力の暴走を抑え込んだのだ。これは聞いた話しではなく生まれた時から歴代の転生者の記憶が流れ込んできた。どうせ赤ん坊だから動くことはできないので丁度いいと思い意識を飛ばして伴侶を探そうと考えた。
しかし過去に来た異世界人が何処から来たのか分からなかったので、もう一度記憶を思い起こさなければならなかった。そうして場所を見付け無事異世界に着きお妃候補を探し始めた。
相手は同い年か二~三歳程度の年の差で探そうと思った。別に十歳程度離れても問題はないが此方は赤ん坊だから相手が無理だろうと判断した。実際そんなに多くはないが赤ん坊は居た。しかし相手は普通の赤ん坊なので話すことができないことに今更ながら気が付いた。
意志疎通ができない同年代は諦めて話のできる相手を見付けるか考えた時、泣き声が聞こえてきた。赤ん坊の泣き声ではなく子供の泣き声のようで、あまりにも悲しそうに泣いているのが気になってその子を捜した。その子はお寺で泣いていた。暫く見ていると泣き疲れたのか眠ってしまった。なのでわたしはその子の夢に潜り込んだ。
突然声を掛けたので驚いたようだが、どうして泣いているのか聞くと両親ともう会えないと泣いていた。暫く泣き続けたその子は自己紹介をしてきて、傍に居たことにお礼を言ってきた。その子は名前を凛と言った。話していると笑顔を見せてくれるようになり、別れ際にはまた会う約束までした。
凛とは何度も会うようになっていた。その時はまだお妃候補にも考えていなかったので素性も話してはいなかった。ただ会って他愛もない話をするだけだがそれが楽しかった。ある日ふと運命について聞いてみたが、それが凛を泣かせることになってしまった。
「それってお父さんとお母さんのこと言ってるの?だったら変えたかった。もっと一緒に居られるようにしたかったっ!うわーん!」
「ごめん、凛!泣かせるつもりじゃなかったんだ!お願いだから泣き止んで」
わたしは凛を泣かせてしまったことに慌て、何とか宥めようとした。暫く泣いた凛はごめんねとわたしに謝ってきた。凛が悪い訳じゃないのに。
わたしは生まれ変わるのが運命だとでも言われたことに何とも言えない思いを抱えていた。例え生まれ変わりであっても僕は僕であって他の誰でもない。歴代の人達がどうであれ それを僕に押し付けるのはやめてほしい。記憶があるだけで別の人間なのだから。その辺は分かっているのだろうか。しかも赤ん坊のわたしにそれを聞かせて何がしたいのか理解しがたい。さっさと懐柔しておこうとでもしているのか。そんな風に人によって翻弄させられる様な運命ならほしくない。そんなことを思っていた。
やっぱり運命はいい方にはいってくれないのだろうかと諦めかけていた。
「運命って出逢いのことも言うんでしょ。わたしとレオの出逢いも運命だよね」
凛が突然言った。確かに出逢いも運命だ。凛と出逢ってこの楽しい時間も運命によってもたらされたのなら悪いことばかりではない。そう思うと気が楽になって考えも変わっていた。周りの言葉に惑わされずわたしはわたしとして頑張っていけばいい。自分で勝手に囚われていただけかもしれない。そう思えるようになった。
「運命の出逢いか。あはは。そうだね。僕達の出逢いも運命だよね。ありがとう凛」
わたしは凛にお礼を言った。凛はちょっと不思議そうな顔をしながらもどういたしましてと笑ってくれた。
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