新天地で頑張ります(11)
「ぞくせい一つ足りないんだったね。まあいいや。暁、こっちに力こめてくれる」
暁に魔道具を渡そうとすると後ろから声がかけられた。
「雷属性が足りないんでしょ。俺雷属性だよ」
「でも、わたしとけいやくしてるわけじゃないし気にしないで」
「えっ?其処は素直にお願いしてよ」
少し焦ったように言ってきた。
(そういえば屋敷に居たときはお願いしたら聞いてくれていた。もしかしてお願いされるのが好きなんだろうか。うーん。どうするのがいいんだろう)
暫く悩んでいると捨てられた子犬みたいにこっちを見ている(ようにみえた)。何処か行くあてもないみたいだし暫く一緒に居るならお願いしてもいいかな。
「じゃあこの二つおねがいしてもいいかな」
「もちろん!」
嬉しそうに二つ共力を込めてくれた。
お礼を言って受け取り、あなたは精霊だけど他の精霊達の力は要るのか聞いたところお揃いがいいからやって欲しいと言われた。
(お揃いがいいってわたしと同じこと言ってるな)
「ティアと同じこと言ってるな」
暁に言われてしまった。上目遣いで暁を睨むと頭をポンポンとしてくれた。暁に頭をポンポンとされるのは大好きだ。
(うへへ)
もっとと強請ると苦笑しながらもしてくれた。
三つ共精霊達の力をリングに込め終わったので後は自分達の力を込めるだけ。暁のはわたしがして、わたしのは暁にしてもらって、もう一つはわたしがするのでいいかなと思ったが精霊に二人でしたいと言われた。
どういうことか聞いたら暁の分にはわたしと精霊が、精霊の分には暁とわたしが、わたしの分には暁と精霊が一緒に力を込めると言うことだそうだ。
(一緒にやりたがったり一人を寂しがったりお揃いを欲しがったり、甘えん坊なのかな)
暁がそれでいいと言ったので二人ずつで魔力を込めた。わたしは何かあった時守ってくれるようにと防御の力を込めた。
暁のリングは紫と金色が半々で、精霊のリングは紫が三だったのに対して金色が一、わたしのは紫が一に対して金色が三だった。色の割合は違うが何れも紫と金色が交互に斜めになって入っている。
何で紫と金色なのかどうしてみんな割合が違うのか不思議に思っていると人間の魔力を込める方のリングは込めた人の目の色が反映されるとのこと。成る程。納得できた。
「あんた達の目は黒いのにどうしてこうなるんだ?」
不思議そうに聞いてくるので魔法を解いて本当の目の色を見せると納得してくれた。
「凄く久し振りに紫の目の人間を見たよ」
「・・見たことあるんだ」
紫の瞳の子は稀ではあるがやはり生まれてくるようだ。でもそれを聞いたところでどうすることもできないし、自分の何かが変わるわけでもないので気にしないようにした。今は同じ紫の目をした暁が居るのだから。
「ねえ、暁のゆびわはめさせて」
お願いして左手の中指と小指に嵌めさせて貰った。少し大き目だったが魔道具と言うだけあって指に嵌めると勝手にサイズを合わせてくれた。実は暁には内緒にしていることがあった。
「えへへ。そのゆびわね、はめた人にしかぬけないの」
「なっ?!そういうことは先に言え!」
暁が指輪を抜こうと頑張るも多少は動くが抜くことはできない。
「だまっててごめんね。どうしてもはずさずに いっしょにつけててほしかったの」
「大丈夫だ。勝手に外したりしないから」
呆れた顔をしながらも許してくれた。わたしの指輪は暁に嵌めてもらい精霊の指輪はわたしが嵌めた。
そういえばこの精霊の名前を聞いていなかった。
「ねえせいれいさん、おなまえ何て言うの?」
「まだないんだ」
「そうなんだ。じゃあ何てよべばいいかな」
「よければ君が決めてよ」
「それってけいやくするってこと」
「君がお願いしてくれるなら」
お揃いで魔道具を着けたとはいえ契約することまでは考えていなかった。契約することに問題はないがずっと此処に居ることができるか分からないし追われているかもしれない。安心して暮らせる訳ではないと告げても一緒に居てくれるならそれでもいいと言ってきた。
どうするのが正しいのか判断ができず、寂しそうな目で見られると無下にすることもできなくて困ってしまった。人が一人増えたと考えればいいのか、もしもの時は自分で何とかできるのか、今迄拾ってきた子達とは違って色々考えてしまった。が、深く考えなければ精霊が一人増えるというだけのことだ。見た目に捕らわれるからややこしくなるんだから。うん!そういうことにしておこう。
「暁、もう一人ふえても大じょうぶかな?」
「まあ見た目はともかく精霊だしな」
「ありがとう」
今一つ納得いかないようにも見えたが、それでも許してくれたので契約することにした。
なのでまた名前を考えないといけなくなった。
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