新天地で頑張ります(8)
次に目覚めた時辺りはすっかり明るかった。
「おはよう」
『『『おはよう』』』
「起きたか。昨日買ったパン食べるか」
朝ご飯を食べながらこれからの予定を考えるが、家も建てたしこれと言って思い付かない。新しい魔法が使えるように練習するかな。
「昨日教えて貰った屋敷、行ってみないか」
特に興味がなさそうにしていた暁がいきなり提案してきたのに驚いた。
(もしかして昨日の毛皮たいした金額で売れなかったのに食料買ったからお金がなくなっちゃった?!子供でも雇ってくれそうな仕事先探さないといけないな。あー、それか暁の顔を使って・・)
「おい、また何か考えてるだろう」
「えっ、たいしたことじゃないよ」
不信そうな目で此方を見てくる。暁にはここ十日ほどで、黙りこんでいる時は碌でもないことを考えていると思われるようになった。失礼しちゃう。
「どうする?」
「暁がいいなら」
なら一先ず昨日の店に行こうということになった。どうやらその商家の人はこの町に居るわけではないのだそうだ。問題の家は休暇の時等に使っているらしい。確かに家に入れないのに住んでるわけないよね。なので店の人に連絡が取れないか聞きに行くことになった。
(確かに、電話してとかできないもんね。こういう時の連絡手段が苦労するよね)
そんな訳で今日も二人で町に出掛けることになった。
無理だとは思いつつ物は試しと手を繋いでとお願いしてみたら 予想に反して繋いでくれた。どうしたんだろうと思いながらも嬉しかった。
「えへへ、ふうふに見えるかな」
「いや、どう見ても兄妹だろう」
うん。やっぱり何時もの暁だね。他愛もない話をしながら昨日の店に向かう。
昨日は気付かなかったがチラチラと此方を見てくる人がいた。
(うーん。やっぱり暁の顔は綺麗だよね。元々目の色で避けられてただけだもんね。これは何かに使えるかも。何か売り子さんをさせると買ってくれる人が沢山いるかも。ホストをさせるのもいいかも。あー、でも無愛想だから無理かもしんない。でも接客させるのがいいよね。他には・・)
「おい、良からぬことを考えてないか」
「えっ、やだなあ。何のこと。それよりここはどの辺りになるんだろうね」
「話を変えたな。まあいい。ここは隣の領だ」
「え?」
「ここはプルウィウス・アルクス王国のウエルレウム領だ」
「そうなの?まあにげられたんだしどこでもいいか」
「・・・まあそうだな」
今の間はなんだ。気になるんだけど。でもそうか、隣の領だったのか。遠くまで来た気がしたけどそんなに遠くないんだな。暫くボーっと歩いていたら何かに躓き転けそうになったが、暁と手を繋いでいたお蔭で転けずにすんだ。
「大丈夫か?」
「うん。ごめんね。ありがとう」
「お前は色々と顔に出るな」
そう言って頭をポンポンとしてくれた。優しくされて涙が出そうになったので泣くもんかと手にギュッと力をいれたら握り返してくれた。本当に優しいんだから。
「そんなやさしくされたらほれちゃうよ」
「・・夫婦なんだから惚れて当然だろ」
さっき兄妹にしか見えないって言ったばかりなのに。
店に着き商家との連絡方法がないか聞けば、そう言うことなら代わりに連絡を取ってくれるとのこと。また一週間後に来るように言われた。
折角町に来たから欲しいものがあったけど、お金がないからこの話受けたんだったら無理だと思い諦めた。でも見るだけならいいかな?
「ねえ、おみせのぞいてもいい?」
「いいけど何が欲しいんだ」
「ちょうりきぐとしょっき」
販売しているお店を探し中に入る。小さ目のお鍋、まな板、包丁、焼き網と最低限の物を見る。食器は大皿、小皿と普通サイズのお皿はお揃いの物を買いたいな。割れても大丈夫なように五枚組で。
「こうやってかいものしてたらしんこんさんに見えるかな?」
「無理だな」
「もう!」
欲しい物の目星は付けたしそろそろ帰ろうかな。
「行こっか」
「買わなくていいのか?」
「うん。今度でいいの。それよりしょくりょうかわなくていいの?」
「ああ、一週間後まで来なくていいように買って帰るか」
昨日寄った食料店で買い物をして小屋に帰った。戻ったら洞窟に疾風が居ただけで他は何処かに遊びに行ったようだ。相変わらず自由な精霊達だ。大人しかった暁の精霊達も無理やり連れていったんだろうな。
「ただいま疾風。独りでおるすばんさせてごめんね」
『おかえり。大丈夫だよ』
優しい疾風にギュッと抱きついた。天気がいいから外にいこうと誘うと付き合ってくれた。大きいくて目立つから自由に動けない疾風にはとても窮屈な思いをさせてしまっている。もっとのびのびとさせてあげたいけど、何かいい方法ないかな。
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