異世界で頑張ります(17)
レオン達を連れた村長は少年の家に着くとドアを開けながら声をかけた。
「リオン、捜査隊の人たちが話を聞きたいそうだ」
「ああ、村長。この前話したのじゃ駄目だったのかい」
「そうじゃないが、此方の方達にもう一度説明してくれないか」
「分かったよ。アクア」
リオンが呼ぶと店の奥で仕事をしていたアクアがやって来た。アクアを紹介しこの前あったことをもう一度説明するように告げた。
あの日外を観ると空の一部が黒い雲で覆われていたのを見たので急いで其処まで走って行ったら誰かが居る気配がした。近寄ってみるといきなり首を絞められ気を失なった。はっきりとは分からないが襲ってきたのは人間じゃないように思えた。
聞き終えるとレオンはアクアに質問した。
「全部で何人居た?」
「三人だったと思います」
「其処に小さな女の子は居た?」
「子供は居ました」
「その子の目は紫だった?」
「いえ、いきなり襲われたから誰の顔も見てないです」
「そうか」
レオンは残念そうに言った。
「その子が何か?」
「いや、もしかしたら捜してる子かもしれないと思ってね」
「そう・なんですね」
「話を聞かせてくれてありがとう」
お礼を言うとレオン達は店から出ていった。アクアはその後ろ姿を観ながらティア達とのことを思い出していた。
──────────。
「ティア、どうして出ていくつもりなの?」
「だって見られたんだよ。にげなきゃ」
「僕達が守るから大丈夫だよ」
「ううん、めいわくかけちゃうよ。大へんなことになっちゃうよ」
ティアは泣きながら訴えた。ティアとアクアの話し合いは決着が付きそうになく 見かねた暁が提案してくれた。
「よければ俺が一緒に付いてくよ」
「それじゃあ君に迷惑をかけてしまう」
「俺も既に迷惑をかけたしお互い様だ。それにこいつを一人で行かすわけにいかないしな」
暁が折角提案してくれた話だがアクアは心配でどうしても素直にお願いすることができなかった。替わりにマリンがお願いした。
「暫くの間、ほとぼりが冷めるまでティアのことお願いしてもいいでしょうか?」
「マリン!」
「わたし達はこれからも一緒に暮らしたい。だから騒ぎが治まるまでの間、また元のように暮らせるようになるまでお願いします」
マリンの必死なお願いを暁は引き受けた。
「ちゃんと預かってやるから安心しろ。じゃあ行くか」
出ていこうとする暁達をアクアが引き止めた。
「待ってくれ。せめて明日迄」
「・・分かった。俺とドラゴンが隠れてればなんとかなるだろ。誰か来ないうちにさっさと連れて帰りな」
「ありがとう。君も一緒に」
「いや、俺は」
「じゃあ暗くなってからでも来てほしい。ご飯の用意をしておくから」
暁にそう告げてアクアは自分の着ていた服を一枚脱ぎ、隠すようにしてティアの頭に被せてから抱き上げ その場を急いで去っていった。
アクアは家に帰るなりリオンとエリーにことのあらましを告げ、ティアは謝り泣き続けた。両親は誰を責めることもせず、ただ無事でよかったと言うだけだった。
その夜みんなでご飯を食べ沢山の話をした。嬉しかったこと、頑張ったこと、ただ楽しかった思い出だけを。不安なことなどないかのように。
ティアはその日アクアと眠りについた。何時も不安な時や悲しい時は一緒に寝るように、これからのことを不安に思いながらアクアにギュッとしがみついて。
次の日、ティア達は村の人達に見付からないようにと朝早くに家を出て行った。
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