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勇者の護り、ココロのお守り。  作者: サイトウ純蒼
第三章「敗北が約束されたクエスト」

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35/38

35.渓谷の攻防戦

「はあああ!!!」


 ドン、ドドドドドオオオン!!!


 谷の至る所で騎士団、冒険者と飛竜の戦いが始まった。圧巻はやはり副騎士団長ミスランド。開始数秒で炎柱を放つと、すぐに飛竜が降参し舞い降りて来た。ウザいSランク冒険者ジェイルもそのランクが示すように余裕で飛竜と戦っている。



(イシス、剣の硬化を頼む)


(かしこまりました)


 俺も中古の鉄の剣を抜き、ゆっくりと谷へと歩き出す。腕の怪我はまだ未完治。痛みはあるが、ココロが起きている間は治療は不可。イシスの力を借り、片手でどこまで戦えるか分からないが、まあやってみよう。



「グオオオオオオオ!!!!」


 俺に気付いた一体の飛竜が一直線に飛んでくる。剣、並びに体の一部の硬化。突撃してくる飛竜に向かって剣を振り下ろす。それだけのこと。ただやはり現実は甘くなかった。



 ドン!!!!


「ぐわああ!!!」


 幾分軽くなったとは言え、やはりまだ重い石の剣。俺がイメージする剣速と実際のそれは随分差があり、とても高速で飛んでくる飛竜を斬ることなどできなかった。



(あ、主様!? お気を確かに!!!)


 俺は吹き飛ばされ、仰向けになりながら必死に頭に話しかけてくるイシスの声を聞いた。幸運にも吹き飛ばされ谷から離れたことで飛竜の追撃はなし。体の硬化のお陰で大きな怪我もなく済んだ。



「エリート!? 何やってるのよ!! 勝手に戦っちゃダメって言ったでしょ!!」


 当然ココロに叱られた。彼女はもちろん、サヤカやキャロルも無事に飛竜を捕縛。日が沈むまで一緒に戦ってくれたが、何せ俺が弱すぎる。剣も碌に振れないまま、タイムリミットである日没を迎えた。ミスランドが皆に言う。



「よーし、今日はここまで!! 飛竜を捕まられなかったチ○カス野郎は、明日の朝とっとと荷物をまとめて帰りやがれ!! おうおう、分かったか!!!」


 騎士団の一部、そして飛竜捕縛に失敗した冒険者が俯いて返事をする。夜になると狂暴化する飛竜。これ以上の交戦は危険だ。ジェイルが俺のところにやって来て言う。



「あれ~、下級冒険者君は、まだ飛竜いないの~?? どうするどうする?? 帰ってママとねんねする??」


 さすがに神に対する行き過ぎた侮辱。俺が言い返す。


「黙れ、この下賤者。身分をわきまえよ!!」


「身分? へえ~、まさか同じ冒険者だから同じだと思ってるの?? 僕と君じゃあ実力が違うんだよ。分かんないの~、バッカじゃない??」


「あなた!! エリート様に対するのその言葉。今すぐ取り消し……」


 あまりの失礼な態度に、怒りを表しそう言うサヤカを俺が制止して言う。



「実力と言ったな? では俺が飛竜を捕まえたらどうする?」


 ジェイルが鼻で笑って言う。


「やはり君はおバカさんだね。これから夜になると飛竜は凶暴化するんだよ。出発の明朝までに君に捕縛できるはずないじゃん? できたら、そうだな……、裸で飛竜に乗って移動してやるよ」


「ふっ、いいだろう。では俺ができなかったら同じく、裸で王都まで帰ってやる。それでいいか?」


 ジェイルが笑いを堪えきれずに言う。


「くくくっ、あはははは!! これは楽しみ!! こんな面白いバカがいるなんて!! じゃあ、楽しみにしてるよ!! 下級冒険者君」


 ジェイルはそのまま笑い続けながら立ち去っていく。



「エリート……」


 心配そうな顔のココロ。俺は皆に親指を立ててそれに応えた。






 その日の深夜。ココロが寝静まり、俺の体に魔神の力が戻って来る。すぐに腕の傷を魔法で治療、そのままひとり谷へと歩き出す。


「グエエエエ!!!!」


 俺に気付いた飛竜数体が騒ぎ出す。俺は腕組みをしたまま上空を飛ぶ飛竜たちを見つめる。日が落ちると狂暴化する飛竜。暗闇を狙って彼らの卵を奪う外敵を警戒してのことだ。


「あまり騒ぐな。ココロが起きたら面倒だ」


 夜空一面を埋め尽くす飛竜たち。ゆっくりと渓谷の断崖絶壁に歩み寄った小さな男を上空からその視界に捉える。確かに昼間より威嚇の度合いが上がっている。種を守るための戦い。だが悪いがお前らに興味はない。

 俺は黒マントを靡かせ、最上空を舞う純白の飛竜に焦点を合わせる。



「よく聞け、下等な竜ども。特別に魔神であるこの俺に乗られる栄誉を与えてやろう」


 俺は地面を思い切り蹴り、大空へと跳躍した。

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