脱力系迷作しりーず:かぐや姫
むかーしむかし……
「そのネタ、前も見ましたよ」
……。
どうやら今回の主役は、料理の腕だけでなくツッコミスキルの高さにも定評があるようです。
「っていうか、あたし結構忙しいんだけど……宿題の他に主婦業あるし」
おや、主役が何やら台本にない台詞を言っています。
「あの、何かすごく嫌な予感するんで帰ってもいいでしょうか……」
可哀想な少女はせっせと墓穴を掘っていることに気付いていません。運命神に逆らえばたとえ無宗派の彼女でも、イケメンな彼との《ピー》な《ピー》とか、《バキュン!》とか《ズババババ!》とか、コードに引っ掛かりそうな諸々が流出してしまうというのに。
「なっ?! ……え、う、……がっ頑張ります……!」
さすがヒロインです、快諾してくれました。しかし何か疾しいことがあるのでしょうか? 作者は把握していませんので悪しからず。
「にゃ――?!」
さてさて、では改めて。
むか……ではなくて、いまーいまー、あるところに今回こそはおじいさんとおばあさんがおりました。おじいさんは山へ柴刈り――に行くよりも街へショッピングをしに行く方が、おばあさんは川へ洗濯――ではなく水質調査キットを持って遊びに行く方が好きでした。
「おじいたん、おじいたん! その着物イケてるねっ」
「ありがと! こーんな世界にもアウトレットショップってあるのね。けど黎香、“そうたん”の“たん”だけ残すのはやめてくれる?!」
「うひ♪」
ふたりはとても仲の良い夫婦でした。しかも、野山にまじりて竹を取りつつ万のことに使わなくとも、発明家なおばあさんが超金持ちだったので遊び放題です。
でも竹藪に行ってくれないと話は始まりませんので、おじいさんは川へ洗濯に、おばあさんは竹藪へ竹を取りに行きました。逆ではありません。
「ふんふんふーん♪」
おじいさんは割と洗濯が好きです。家庭的です。鼻歌混じりに洗濯板を使ってごしごし。途中、信じられないくらい大きな桃が「どんぶらこ~どんぶらこ~」と流れてきましたが、明らかに不審物の類なので、おじいさんは見て見ぬ振りをしました。
「と○りのニっトロ♪ ニっトーロっ♪」
そしてこちらも機嫌が良いのは竹藪にいるおばあさん。「一本一本刈るの面倒だし、一気に吹っ飛ばした方が早くね?」ということで怪しげな火薬持参です。向こうで竹が焦ったように光り始めましたが、調合に夢中なおばあさんは気付く気配がありません。
「できたぜー! 黎香様特製《鼠花火式爆撃機》~! ここにおいて……っと」
すたすたすた……自分は遠くに離れて、導火線にマッチを近付けます。
「ふぁいやー!!」
「待てぇい!!!」
ぱかーん! なんと竹がひとりでに割れ、中から少女が飛び出してきたのです。が、優雅さの欠片もありません。死に物狂いです。
「あ、真子ちん! そこ居ると危ないよー」
「危ないよー、じゃねぇし! 台本読めよ黎香!」
「うゆ? ……ああ、にゃるへろ。真子ちんを黎香が発見するんだったんだぁ」
「なんでニトロが出てくるんだよっ。パラレルで木っ端微塵とか勘弁!!」
かぐや姫は危うく発見されずして抹消されるところでした。爆撃機によるフラグへし折りが未遂で終わって本当に良かったです。
ともかくその竹から出てきた少女は、おじいさんやおばあさんと同居することと相成りました。
「まぁっ♪ 真子ちゃん、和服も似合うー♪」
「あ、ありがと奏太……じゃなくておじいさん」
身の丈三寸ばかり、ではないものの、かぐや姫という少女はとりあえず真っ直ぐなよい子に育ちました。育ての親が《夢はマッドサイエンティスト! エキセントリック☆おばあさん》だとはとても思えないくらい、まともな娘に育ちました。
素晴らしく美人……とは言えない容姿のかぐや姫でしたが、毎日がお祭り騒ぎのおばあさんと、《基本スタンスは爽やかスルー》のおじいさんに育てられたおかげで、ほぼ百発百中の命中率を誇るツッコミと、華麗なるスルースキルの腕は日夜磨いてきました。その思いやりあるツッコミは密かに話題となります。何せそれまでこの世界には《極寒の睨みをきかせる殺意の塊》や《凄みのある笑顔で刃物をちらつかせる武人》、ギリギリ《暴走紳士を宥める不思議鷹匠》くらいしかツッコミはおらず、あとは全員ボケ属性だったからです。渡る世間はボケばかり。実にカオスなこの世界では、ツッコミ役は引く手数多なのです。
さて、その思いやりあるツッコミをどうしても我が物としたい五名の“貴公子”がおりました。
掃除に洗濯、料理にお勉強……家の手伝いで忙しいかぐや姫は、彼らとのお茶会など付き合っていられません。それでも諦めない貴公子達。毎日毎日かぐや姫の家へやって来ては、歌ってみたり楽器を奏でてみたりお菓子を贈ってみたり……。
とうとうその熱意におじいさんとおばあさんが折れました。字数的にも丁度良い頃合いです。
「真子ちん、なんか最近外がうるさいからさー、っていうか台本に書いてあるからさー、みんなと一回お話してみたら?」
「えー……だってキャストがすごいことになってるよ」
「まあまあ、いいじゃないの。お見合いなんて素敵!」
生憎とセ○ムもアル○ックもありません。近所迷惑も甚だしいどんちゃん騒ぎを止めるべく、かぐや姫は彼らと顔を合わせることになりました。
狭い屋敷の一室に招かれた男達。程度の差こそあれ、皆かぐや姫に会えるとあって煌びやかに着飾った美形揃いです。
「おっ、俺と結婚してください!」
「僕と結婚しましょう?(……仕方ありませんね、台本に書いてありますし……)」
「オレが幸せにしてやるぜ(ああもう、またこういう報われねェ役かよ……)」
「私の専属料理人にならないか?」
それぞれ思い思いのプロポーズの言葉を述べます。何名か心の声が聞こえたような気もしましたが、たぶん、幻聴でしょう。おかしなことを口走った奴が約一名いた気もしましたが、それもたぶん、幻聴でしょう。
「あれ……?」
真面目なかぐや姫、居並ぶ貴公子達を前にしていそいそと台本を取出し確認します。
「いち、に、さん、し、……あとひとりは?」
「あっ、それなんですけど!」
首をひねるかぐや姫に声をかけたのは、突如乱入してきた一匹の犬でした。白い翼の生えた金髪の犬です。どこの世界から来たのでしょうか。
「ベルフェゴール様より伝言ですワン! ……“不幸になりたければ好きにしろ。俺は結婚なぞ死んでもしない”、だそうですワン!」
「…………」
“幸せな結婚は存在しない”が持論のセオリーブレイカーは、またしても最強の反則行為を堂々と見せつけました。かぐや姫のテンションが少し下がりました。
「代わりに、アスモデウス様が来たがっていましたワン!」
「い、いい! 遠慮しますって伝えて!?」
「わかりましたワン~」
本家での貴公子五名は《好色》とされているそうですから、あの彼が呼ばれない方が実は不自然なのですが……かぐや姫の慌て振りから察するに、どうやら作者の選択は間違ってはいなかったようです。
伝令役の犬が己を可愛がってくれる女悪魔のところへ帰って後、貴公子四名でお見合いが改めて始まりました。アピール合戦の開始です。
まずは、ひとり目。茶髪をツンツンに立てた少年は、傍で見て心配になるほどド緊張しています。
「大丈夫?」
「あ、ああ! 平気!」
苦笑するかぐや姫に向かってぎこちなく笑ってみせますが、平気という言葉に説得力はまるでありません。湯飲みを持つ手が震えています。畳にお茶を溢しまくりです。
しかしそれもそのはず、彼はパラレルといえど今回のお見合いには割と本気で臨んでいるのです。そして作者もそれは望むところ。この話、君の救済企画だったんだよ池田君。
「えぇ?!」
さあ、存分にアピールしたまえ!
「あ……えっ、と、その、進藤さん?」
「うん?」
「お、俺、俺は――!」
あ、でも池田君、忘れてはいけない。
「……へっ?」
君の後ろには――最強のチートが控えている。
「……」
「?」
少年は振り返りました。自分を除き全員が人外というハンデ全開の中、更にその最後に待っている超絶美青年と目が合いました。美青年は不思議そうに微笑みつつ首を傾げます。
「ぐはぁっ!」
彼の卑怯なまでの美しさに少年はノックアウトされました。仕方ありません。相手が悪いのです。
「はいは~い! アピールタイム終了~!」
無情に鳴るゴング。楽しげに告げたのはおばあさんです。おじいさんは「あらあらまあまあ」と、倒れた少年を病院へと連れて行きました。ここは作者も謝りましょう。またいつか、ごめんね。
次に進み出たのは、見覚えのある銀髪の青年です。ちゃっかり和服が似合う彼は花も零れんばかりの笑みを湛え、床に両手をつき、丁重に頭を下げました。
「お会いできて嬉しゅうございます、かぐや姫」
「えっ、あ、はひ!」
優雅な一礼、さらりと流れる銀色の髪。今度はかぐや姫が緊張する番のようです。わたわたと礼を返すかぐや姫を見て、貴公子はクスリと笑いました。
「そんなに堅くならないでくださいませ。パラレルですよ?」
「でっ、ですよね~?!」
「ですです。――さて、単刀直入にお訊きしますが、かぐや姫。貴女は僕と結婚したいですか?」
「……え? えっ?」
なんとここにもあの設定スルーの達人が紛れ込んでいました。「したいですか? したくないですよね? 正直に言いましょうね?」という無言の圧力が、美しい微笑から放たれます。
かぐや姫は内心、「絶対これ、台本の流れと違うよね? 池田君もいなくなっちゃったし……っていうか、ベルさんが来ない段階でもう」などと思いましたが、
「……そ、そうですね。今回は、ごめんなさい」
色んな意味で謝りました。断られた側は「そうですか、残念ですね」と肩をすくめましたが、残念がっているにしては見事な微笑のキープ具合です。かぐや姫は要らぬダメージを受けました。
「では、僕はこれで♪」
銀髪の貴公子は颯爽と退出していきました。おばあさんがゴングを鳴らすよりも早く、です。彼もどこぞの上司のために忙しいのだという裏事情はオフレコの方向で。彼の場合、幾らか楽しんでおりますので。
室内には沈黙が降ります。といいますのも、皆さん先が読めなくなってきたからです。まぁ全員が全員、悩んでいるというわけではないでしょうが。
「(ひゃっほーぃ! 黎香、こーいう展開大好きー♪ 台本読まなくて正解だねっ!)」
「(えぇー、アシュタロスさん……。ちょっとこれ、“そして誰も居なくなった”の流れじゃない? あたし、どうすればいいのさ……)」
「(オイオイオイ、次オレじゃねェかよ。なんだ、コレ。なんでこんなことになってンだ?!)」
「(…………何故に茶菓子がつかないのだ? 気の利かぬ作者だな。私は和菓子もいけるのに)」
やがて重い空気を破ったのは、《空気読める良い子》として密かに支持率アップ中の、やさぐれ貴公子でした。
「あー、っと。かぐや姫?」
「は、はい」
「恐らくコレ、オレも離脱する流れだよな?」
「……たぶん」
「……おし。つーか結局、後ろのこいつにゃ勝てねェしな。じゃーな、進藤。オレァ遠くから見守らせてもらうぜ」
「あ、ちょっ――!」
何故か哀れむような視線をかぐや姫へ向け、貴公子は即、部屋を出ていきました。今回の犠牲者は自分ではないと悟ったのでしょうか。
数えるのもアホらしいくらいの出演時間。これにはおばあさんも唖然です。しかし残ったひとりを思えば、おばあさんは嫌でもニヤリとせざるを得ないのでした。
「じゃあ最後、ルーたん!」
指名されてかぐや姫の前にやってきたのは、非の打ち所のない美貌と桁違いの財力を誇る黒髪の貴公子。その涼しげな仮面からは、つい先ほどまで食べ物のことを考えていただなんてとても読み取れません。
「そういう格好も似合うな」
「ああありがとう!」
ふわりと柔らかな微笑みにかぐや姫は一気に真っ赤になります。気負わず相手を虜にできる、それが彼の“乙女キラー”たる所以なのです。
「さて真子……ではなくかぐや姫。結婚にこぎつければ、私の勝ちなのだよな?」
負けず嫌いな貴公子様、案外やる気十分のようです。何となく趣旨を勘違いしていそうですが……黙っておきましょう。
「けっ、結婚……うん、まぁそうなる、かな……」
「この世界なら何をしたって構うまい。私は本編など気にはせぬぞ?」
「え?!」
なんということでしょう、隠れエアーブレイカーがこんなところにも。本編における自身のポリシーや恋愛遍歴の諸々、完全無視宣言です。
優美な身のこなしで、且つ異常なまでの素早さでかぐや姫に迫る貴公子様。少女の細い手首を掴み、至近距離までその端正な顔を近付けます。
「かぐや姫……」
老若男女を問わず多くを腰砕けにしてきた低く心地よい声で囁かれ、それだけで沸騰したかぐや姫は今にも目を回しそうです。無駄にエロいと評判の潤んだ紅い瞳も、それを縁取ったけぶるように長い睫毛も、熱っぽい吐息を漏らす唇も。無意識とはいえ、彼は全ての武器を最大限に活用してきます。
「私のものになれ。拒むことは許さん」
「……っ!」
パラレルのくせに、否、パラレルだからこそフルスロットルの“魔王様モード”で勝利を掴みにいこうとする貴公子様。仮にも紳士のはずなのですが。
こんな(一方的にせよ)イチャイチャを目の前で見せられて嫉妬も羨望も羞恥の気持ちも湧かないどころか、むしろ楽し過ぎてわくわくしてしまう強者のおばあさん。ふたりの横を通り抜け、足取りも軽やかに退出です。
「ぬふふ~。お邪魔な黎香は消えるんだぜー。いい夢みろよ☆ じゃっ!」
「(は、薄情者~!!)」
おばあさんが居なくなったことにも気付かないくらい貴公子様は本気でした。隙あらば押し倒す勢いです。かぐや姫ピンチ。
話の雰囲気を死守せねば! あと自分の身も! ってか求婚云々の騒ぎになったら、あたしが地獄の“殿下ファンクラブ”の皆さんにやられてしまう! ――などなど必死に考えを巡らせた彼女がとった行動は、
「あっ、あんなところにチョコレートがッ!」
「んっ?」
超古典的でした。
かぐや姫よりチョコレートを取るのかとか様々ツッコミたいところではありますが、ともかく力が弛んでいるうちにかぐや姫は急いで貴公子から距離をとります。「あ」と彼が気付いた時には、真っ赤な顔をした彼女は壁際で大きく息をしていました。
「ちょ、ちょっとたんま……!」
「どうしてだ? この私が主人になると申し出ているのに、一体何が不満なのだ」
「色々、言いたいことは、あるんだけど……そうだ! あたしが今から言うものを、持って来てくれたら、考えても、いいよ?!」
「ふむ?」
機転を利かせたかぐや姫。これぞ“かぐや姫”の世界です。
けれど彼女は“仏の御石の鉢”も“蓬莱の玉の枝”も“火鼠の皮衣”も“竜の首の珠”も“燕の子安貝”も要求することはなく。
「ええと、“烏骨鶏の卵”と“比内地鶏”と“魚沼産コシヒカリ”と……――」
「わかった。造作もない」
彼女がリストアップすると貴公子はあっさりうなずき、パチンと指を鳴らして消え失せました。とりあえずしばらくは戻って来ないでしょう。
ほっと胸を撫で下ろすかぐや姫。心臓はまだドキドキいっています。が、彼女に安息はないようです。
突然、襖が勢いよく開け放たれました。
「よう! ……って、進藤ひとりかぁ?」
現れたのは一際豪奢な着物を身に付けた女性。そういえば、まだ重要な登場人物が出てきていません。“かぐや姫”で鍵を握る人物、それは。
「あの、楢崎先生。もしかして先生の役って……」
「帝だ!」
まさかの女帝でした。求婚もへったくれもありません。
「いやぁしかし帝役ってのもいいな。おっ、校長脅してバカンスをぶんどってやろうかな~」
「なんかちっさいですね……。てか仮にも教師ですよね。あんまり暴れたらヤバいんじゃ……」
「構わん。教師を辞めたら海賊王になるから」
どうやら適当教師……ではなく帝はジャ○プ読者のようです。この世界の皇族にも読まれているとは。改めて人気の高さが伺えます。
「なんだぁ、つまらんな。あ、おい、あいつは? あの不良、来てんだろ?」
「あー。ベルゼブブさんならどっかに行きましたよ」
「何?! くっそー、まだ金返してもらってないんだよな~!」
お金に関しては適当とはいかないみたいです。かぐや姫は、かの貴公子が“エクレア事件”以来逃亡しているらしい事実に驚きましたが、何重にも重ねた着物をものともせずに飛び出した帝を見送り、先に待つ悲劇にそっと合掌するのみでした。すっかり安心しているであろう不良青年でしたが、やられ役のバトンは渡し損ねていたようです。
そしてかぐや姫にとっては些か信じたくない展開ではありますが、
「ただいま、私のかぐや姫」
「早っ! いや、それよりも“私の”って何?!」
魔王な貴公子が帰って来てしまいました。片脇に米俵を抱え、もう片手に持った竹籠には卵、ケチャップ、玉ねぎエトセトラ……。
「む? 誰もいないのか。……ははーん、逃げたな。まぁ私は完璧だからわからなくもないがな」
お使いに行く以前の流れなどきれいさっぱり忘れている天然貴公子は、自身の勝利を確信し余裕の表情です。彼の中では今回は“かぐや姫争奪戦!”企画だったのでしょう。
「ええと……あたし、帰らなきゃ? いけない? んだよね? この世界のひとじゃないからって……」
あまりに皆が好き勝手するので軽い頭痛がしてきたかぐや姫。それでもどうにかかぐや姫らしくしようと頑張ります。健気です。
「帰る? どこに行くつもりだ」
「…………家」
前言撤回。単に疲れただけでした。
「もう無理、帰る。大体あたし、お姫さまなんて柄じゃないもん」
「そう? 結構似合っていたが」
「……! と、とにかくあたしは帰るのっ! 帰って、その材料でオムライス作るのっ!」
「ほんと?!」
「わーい」と無邪気な貴公子様は、何日連続でカレーが続いても不平を決して口にしないタイプです。その美貌に加えて食いしん坊で有名な貴公子様のこと、美味しい料理が待つと聞いて黙っていられるはずもありません。ましてや最初から空腹を持て余していた今、パ○ロフの犬状態であったのは言うまでもないでしょう。
「よしっ、帰ろうかぐや姫!」
「え? ちょっ――わぁぁ?!」
ひょい、とまさしくお姫さま抱っこ。すごい行動力です。しかし今回の仲の良さはどちらかというと二部の向こう側のシチュエーションだというか、あんまりそういうことされると作者が苦労するというか、姫を抱えるために手放した食材を絶対に忘れていきそうな気がするというか。
……おや? 貴公子様がこちらを向きました。
「終幕!」
……だそうです。叫び疲れてぐったりしているかぐや姫が心配ではありますが、一応ハッピーエンドということで今回はこの辺りでお開きにしましょう。ちゃんちゃん♪