四話 おでかけ
駅に着き、エレベーターに乗ったところでアカメは階層のボタンを凝視している。
「どうかしたのか?」
エレベーターのボタンに特に変わったところはない。
「ここ、いっかい、だよね?うえにいくボタン、どこ?」
「ここは地下鉄だからな。二階には行かないんだよ」
「ちかでも、そと、みえる?」
外というのは電車の窓から外が見えるか、ということだろう。地下鉄にも窓はある。だが、駅以外では最小限の電気しかついていない上に、見えたとしてもただのコンクリートだけ。
「外は見えないな。駅に着くまで窓はただ真っ暗なだけだ」
「そっか・・・・・・」
アカメは露骨に肩を落とした。エレベーターが改札前についてもアカメは残念そうな表情を浮かべ、歩みが遅い。
「そんなに楽しみだったのか?」
「ううん、だいじょうぶ・・・・・・」
アカメはとぼとぼと改札の方へと歩いて行く。そんな後ろ姿を見ていると、悪いことはしていないのに胸が痛んだ。
「あー、来週。来週でいいなら外が見える電車に乗せてやる」
咄嗟に出た言葉。できるだけ早く追い出さなければいけないのに。どうして約束をしてしまったのか。すぐに訂正をしようと口を開くが、
「ほん、と?」
数秒前とは一転、振り向いたアカメの目は光っているかと思うほどの輝きがある。そんな顔をされては断る、ものも断れない。
今日明日にでも帰ればそれで儲けもの。今は機嫌取りだけを考えよう。
「あ、あぁ・・・・・・。その代わり今日は我慢しろよ?」
「うん・・・・・・!」
アカメ声だけは落ち着いているように聞こえるが、表情や足取りが子供のそれだ。ここが駅内でなければ、スキップしそうなほどにアカメは機嫌を直していた。
「ほら、これ。ICカード。使い方、分かるか?」
「・・・・・・・・・・・・・」
アカメは手にしたICカードをまじまじと見つめ、改札に向かう。そして──
「ちょ、待て待て待て!」
ICカードを切符の投入口に入れようとしたアカメの肩を掴み、慌てて止める。結構な大声を出したが、他の客や駅員が不在だったのは幸運だった。
「使い方が分からないなら聞けよ!?」
「ご、ごめんなさい・・・・・・」
ツッコミ、と言うほど軽くはないが、それほど怒る気もなかった。ただの注意のつもりで。
だが、アカメには想像以上にショックだった用で、顔を俯かせてしまった。
「あ、いや、そんな謝るほどじゃなくてだな…… 。教えなかった俺も悪いしな。だから、あー
、そんな気にするなって」
「おこって、ない・・・・・・?」
「当り前だろ。こんなんでいちいち怒るわけない。ほら、手本見せるから見とけよ」
アカメが顔を上げたのを確認してから、アカメに渡したICカードとは別の、出勤で使っている定期を改札の液晶パネルの上にそっとかざす。
すると、改札からピッという電子音が出て、その後は何事もなく改札を通って見せた。
「分かったか?カードをかざすときは音が鳴るまで、置いとくのがコツだ」
「う、うん。やってみる、ね」
アカメは緊張した様子でICカードを胸の前で持ち、ゆっくりと改札に近寄る。そして、今度は投入口にICカードを入れることなく、液晶パネルの上にかざした。
改札からピッと電子音が鳴る。その電子音を聞いたアカメは、先にいるこちらを見つめて顔を輝かせた。
「でき、た・・・・・・!」
アカメは改札を速足で通り抜け、俺の傍まで近寄ってきた。
「おう、よくやったな。降りる時も同じようにな。後ろに人がいても、焦らずに」
「うん、もう、だいじょうぶ」
その後、俺とアカメはホームに来た電車に乗り、目的の駅で降りた。乗車中のアカメはこれまでよりもさらに大人しく、一言も声を上げなかった。
緊張していたのだろうか。
しかし、降りた駅の改札でうまくICカードを使えたときはまた喜んでいたので、杞憂だったのだろう。
駅を出てすぐに大きなショッピングモールがある。中に入ると涼しい風からの歓迎を受け、額に滲んだ汗が引いていった。時刻は土曜の昼前。モールは多くの人で賑わっていて、そのほとんどが家族連れや学生だ。
俺のようにスーツを着た男など、どこにも見当たらない。
「確か、服屋は二階だったよな」
目的をさっさと済ませて帰ろうと歩き出すと、アカメが俺に視線を向けているに気が付いた。
「なんだ?どうかしたか?」
「ようすけ、よく、くるの?」
「いや、前に来たのは五、六年ぶりくらいだ」
「そう、なんだ。まよって、ないから」
最後に来たのは五、六年前。まだ今の大家さんが中学生の頃、友達の誕生日プレゼントを買いたいと言うのでこのモールに案内したのだ。そこで何を買ったかは覚えてないが、店内はそこまで変わっている様子はない。
「ま、そんな昔の記憶を頼る必要もないか。どっかに案内みたいなのが・・・・・・、あれだな」
モールに入っている店舗やその配置が一目でわかる案内板。それに目を通すと、服屋はいくつかあり、そのどれもが二階に固まっている。
「あんま変わってないのな。ほら、いくぞ」
「う、うん」
二階に行くためにエスカレーターに乗る。その際にアカメは少しの躊躇を見せ、飛び乗るようにしてエスカレーターに乗った。
おそらくはサイズの合わないクロックスが原因なのだろう。階段を降りるだけでも苦戦していたのに、エスカレーターは少し辛いか。
「先に靴、買いに行くぞ」
「・・・・・・え?」
「お前の靴だよ。そのままって訳にもいかねぇだろ」
「いい、の?」
「来週も外に出るんだろ?こういうのは早めに買っといた方が得なんだよ」
「そう、なんだ」
エスカレーターを降り、靴屋を目指す。たまたま案内板で靴屋が目に入っていたので、場所は把握している。スタスタとモール内を歩き、案内板にあった靴屋に入る。
入るまでは子供用の靴があるかは分からなかったが、子供用から社会人のための革靴まで豊富に揃えられており、買う予定が無かった革靴も新調することにしよう。
「俺はあっちで自分のを見てるから、欲しいの決まったら来いよ」
「うん、わかった」
アカメは俺が指さした革靴コーナーの位置を確信すると、店内へと消えて行った。一緒に選んでやらないのは少し冷たいかとも思うが、子供の靴どころか、革靴とクロックス以外の自分の靴を選んだことのない俺がいても邪魔なだけだろう。
革靴コーナーには他の客がおらず、周りの視線を気にすることなくゆっくりと見ることが出来る。
「ホールカット、ウィングチップ、モンクストラップって何が違うんだ・・・・・・?」
モールに入っている靴屋なら程度が知れると思っていたが、意外にも種類は豊富。しかし、これだけの種類があっても自分に合う革靴がどれかなど分からない。社会人になってから履いた革靴など、一番シンプルな黒色のプレーントゥしかないのだから無理もない話か。
目についたものを端から手に取るが、違いが色合いと重量しか分からない。
だが、分からないからと言って適当に選べば、靴擦れやタコができてしまう上に職場で浮いてしまう。
「んー・・・・・・。あ、すみま── 」
「── ようすけ」
「おっわ!?」
店員に声をかけようとした瞬間に、真後ろから声をかけられて肩が飛び跳ねる。俺の声に反応して周囲の客の視線が集まり、堪らずそれらから背を向ける。
すると、真後ろにアカメが立っており、その手には白いスニーカーが抱えられていた。
「お、おう。決まったのか。俺はもうちょっとかかりそうだから・・・・・・ 。ってお前、その靴でいいのか?」
「・・・・・・だ、め?」
アカメは俺の機嫌を伺うように顔を上げる。
「いや、だめって訳じゃないが・・・・・・」
アカメが手にしていたのは何の装飾もない、白一色のスニーカー。この歳の少女が選ぶにしては地味すぎるような気がする。そして、それは店先の隅に置かれていたセール品のようで、現品限りというシールが内側に貼られている。よく見れば黒い汚れも付いている。
「遠慮してるなら必要ないぞ?金の事なら心配するなよ」
「ううん、これで、いい。どうせ、つかってると、よごれる、から」
俺が怒っていないと察すると、アカメはわずかにスニーカーを抱く腕に力を込めた。そこまでされると、俺が口出しするのも無粋に感じられる。
「・・・・・・そうか。なら、靴下も選んで来い。二セットくらいな。気に入ったのがあったら、四セットくらい持ってきてもいいから」
もう少し革靴を選ぶ時間を、と思い靴下を買いに行かせようとするが、アカメはその場から足を動かすことなく、白いスニーカーの中に手を入れた。
そして、スニーカーの中を探るとその中からピンク色の靴下が二セット出てきた。
「これ、いい・・・・・・?」
「用意してたのか。サイズは試したのか?靴も実際に履いてみて、歩き心地とか」
「うん、だいじょうぶ。それより、ようすけ、くつ、きまった?」
ちゃんと試したと言うなら、もうこれ以上俺が口を出すことも無いだろう。
「いや、まだ結構かかると思う。そうだな、もうちょっと待てるか?」
子供が大人の買い物を待つのも退屈だろうと思ってかけた言葉をアカメは反応することなく、一つの革靴を手にした。
「これ、どう?」
「どうって・・・・・・」
アカメが差し出してきたのはストレートチップの革靴。ストレートチップはプレーントゥと同様、ビジネスマンが愛用する革靴の一つだ。デザインもシンプルでスーツとの相性もいい。
だが、問題はその色にある。
アカメが差し出してきたのは比較的明るい茶色。しかし、俺は今まで黒色を好んで使っているし、スーツも全て暗い色が多い。それらに明るい茶色を合わせると、どうしても違和感が生まれてしまう。さらに言えば、三十になっての明るい色には抵抗があった。
「はいて、みて?」
やけに強気なアカメに押され、しぶしぶ革靴を試す。
「お?」
履いてみた感覚は悪くない。むしろ、柔らかい素材を使っているためか、よく伸びて足にフィットする感触が心地いい。その場で数歩足踏みしても痛みを感じない。
「どう?」
「悪くない。いや、むしろ今履いてるのより合ってる、気がする」
偶然にも見本で出されていた革靴はちょうど俺のサイズであり、購買意欲がかきたてられる。しかし、買うには一つの難点があった。
「やっぱ、色がなぁ・・・・・・」
三十を迎えた男性に明るい茶色は少々抵抗がある上に、この色に合うスーツを持っていないことが買うことを躊躇わせる。
「ふく、は、いまから、かいに、いく、よ?」
「それは寝間着の話だろ。スーツは腐るほど持ってるんだよ」
「でも、くつ、いい、でしょ?」
「いいことは良いが・・・・・・」
確かに履き心地は良い。見ているうちに、明るい色にも愛着が湧いてきた。だが、それは一時的なもの。購入して家に帰れば、後悔するのは目に見えている。
「やっぱり、黒系の方が── 」
「ようすけ、は、それが、にあってる、とおもう」
隣に置いていた黒色の革靴に手を伸ばそうとすると、靴と手の間にアカメが割り込んできた。そして、俺とアカメは少しの間視線を合わせ、
「・・・・・・ 分かった。これにする」
「・・・・・・!うん、それがいい」
折れたのは俺の方。実際、履き心地は良く、素材も本革ということで安っぽくは見えない。
スーツの方も店員に聞けば、何とかなるだろう。
革靴を脱ぎ、アカメが手にしていたスニーカーと靴下を受け取る。
「じゃあ、会計に行くか。お前のはスニーカーと靴下、他に欲しいのはあるか?」
「ううん、だいじょうぶ。おみせ、のそと、でまってる、ね」
「分かった。すぐ済ませるから、どっか行くなよ」
女子ならもう少しゆっくり見て回るものと思っていたが、アカメは一度だけ頷くと、すぐに店の外へと歩き出した。
一方の俺はお会計をするためにレジへと向かう。
「いらっしゃいませー、商品をお預かりします」
お会計をしている他の客はおらず、スムーズにレジへと通される。
「こっちのスニーカーなんですけど、現品限りということでここに汚れがあるんですけど、確認されましたか?」
店員のお姉さんはスニーカーを持ち上げ、側面に付いた汚れと傷を見えるように傾ける。
「はい、大丈夫です」
「ありがとうございます。それでは・・・・・・、四点で一万と六千円になります」
俺が買った革靴が一足で一万四千円ほど。つまり、アカメが買ったスニーカーと靴下は二つ合わせても二千円に届かないことになる。
価格の差に思うところもあるが、当のアカメが選んだのだから俺から言うのも野暮だと思い、カードを出して商品の入ったビニール袋を受け取る。
「ありがとうございました!またお越しください!」
会計が済み、店を出ようとすると店員が深く腰を下げているのが見えた。それに返すようにして軽く頭を下げ、店を後にした。
店の前にはガラス張りの通路から一階を見下ろしているアカメの姿がある。
「待たせたな」
俺が声をかけるとアカメはゆっくりと振り返った。
「ちゃんと、かえた?」
「ちゃんとって・・・・・・、ああ、買えた。それよりも靴、履き替えた方が良いだろ。向こうにベンチがあるから、行くぞ」
今いる場所から少し離れたところにはいくつかのベンチがある。そこに俺とアカメは腰掛け、アカメが買った靴下とスニーカーを渡した。
サイズの方は本人が大丈夫と言っていたように、履くのにも手こずらず、歩いてもズレないちょうどなサイズのようだ。
アカメが靴下とスニーカーを履き終えたのを確認すると、今までアカメが履いていたクロックスを先ほどまでスニーカーが入っていた箱に入れて立ち上がる。
「ちょっと腹減ったな。先に飯行くか?」
スマホで時刻を確認すれば、十二時前。今から服を買いに行けば、飲食店は客で溢れかえるだろう。今の腹具合なら十分に食べられるし、早めに済ませておきたい。
アカメも既にお腹が減っていたのか、首を縦に振る。
「あそこ、だめ?」
アカメはガラスの向こうに見える一階のフードコートを指さした。
「別にいいけど、何か食べたいのがあるのか?」
「うん」
何を考えてるか分からない子供でも食べたいものはあるんだな、と思いながら今度は下りのエスカレーターに乗る。
フードコートのエリアに入ると昼前なのもあり、そこそこの客でにぎわっていた。俺とアカメは空いていた端のテーブルに荷物を置く。
「俺はうどんでも買ってくるから、ほら」
フードコートに入る際に、一番手前にあったうどん屋が目につき、そこのうどんを食べることにした。アカメが何を食べたいかは知らないので、千円札を差し出す。
しかし、アカメは首を横に振り、千円札を受け取らない。
「わたしも、うどん」
「そうだったのか、なら一緒に運んできてやるよ。何うどんだ?」
「ふつうの、でいい。ちいさい、の」
普通のうどんと言えば、かけうどんの事だろう。
「トッピングはつけるか?」
アカメは首をもう一度首を横に振った。どうやら、そこまでお腹は空いていなかったらしい。気を使わせたか。
「注文してくるから、ここで待ってろよ」
首を縦に振り、アカメは席に座った。その様子を確認してからうどん屋に足を進める。
「いらっしゃい!注文は?」
活気の良い店員がお盆を一つ手渡してから、注文を取る。
「肉うどんの並み一つとかけうどんの小で」
「あいよ!天ぷらとおにぎり、トッピングと箸はレジの横で自分で取ってね!少々お待ちを!」
店の形は横長で、お盆を置くところにレールが敷かれていた。そのレールの先にレジがあり、道中には天ぷらやおにぎりが陳列されている。
「はい、お待ち!肉並みにかけ小ね!」
店員は俺に手渡したお盆の上に二つのうどんを置いた。それらを受け取り、お盆を滑らせて会計に行こうとすると、さつま芋のてんぷらが目に入り、追加でてんぷらも購入。
「待たせたな」
うどんの乗ったお盆を持ってテーブルに戻った俺はアカメに声をかけ、かけうどんをアカメの正面に置いた。
「天ぷら、半分食うか?」
「いい、の?」
てっきり首を横に振ると想定していたが、意外にも食いつきがある。
「あぁ、ここ置いとくぞ」
俺は天ぷらを皿の上で半分に割り、片方を自分の肉うどんの上に。もう片方を皿に乗せたままアカメのうどんの隣に割りばしをつけて置いた。
「ありがとう」
「あぁ。早く食べよう。冷めると不味くなる」
アカメはゆっくりと胸の前で両手を合わせ、
「いただきます」
ありがとうやいただきますをちゃんと言える辺り、育ちが悪いようには見えないなと漢字ながら、大人の俺がしないわけにもいかない。
「いただきます」
その後、俺とアカメは黙々とうどんを食べ進めた。
二人でうどんを食べ終え、食器を返してからテーブルに戻ると、アカメがこちらに体ごと向けていたので話を聞いてみると、クレープを食べたいと言い出した。
「あいす、だめ・・・・・・?」
「別にいいけど、一人でも買いに行けるか?」
「いっしょ、がいい」
「一緒って、席を空けるたら取られるだろうし・・・・・・」
時刻は十二時半。フードコート内は客で溢れかえり、席を探している客が食器を片付けた俺たちの方を見ている。
「あるき、ながら、たべよ?」
歩きながらは少し恥ずかしいかとも思ったが、食べる本人がそれでいいならいいか。
「分かった。クレープ屋の場所は分かるか?」
「うん、あっち・・・・・・!」
アカメは俺のシャツの裾を引いて、うどん屋とは反対の方向に連れて行く。クレープ屋はフードコートの奥にあり、よく見つけられたなと感心していると、クレープ屋から見える二階に先ほど靴を買った店があった。
つまり、アカメが二階で言っていた食べたいものとはクレープの事だったのだ。
「ようすけ、ようすけ」
「ん?どうした?」
「これ、これが、いい」
店の前のショーケースに入ったメニューを凝視していたアカメは、その中の一つを指さした。それは一番人気、と札の貼られている苺のクレープだ。
「分かった。すみません、苺のクレープを一つお願いします」
「ありがとうございます。すぐにお作りしますね」
目の前で丸型の鉄板の上に生地が広げられ、香ばしい匂いを放って生地が黄金色に焼けていく。その様子についつい見入っていると、横ではアカメも店員の手際よさに食い入るよ
うに見ていた。
「お待たせしましたー!こちら、苺のクレープです!ありがとうございました!」
店員から苺のクレープを受け取り、早く早くと目で急かしてくるアカメに渡す。
「落とさないようにな」
「うん、ありがとう」
アカメは俺からクレープを受け取ると大きな口を開け、
「・・・・・・さきに、たべる、?」
クレープに勢いよくかぶりつくかと思いきや、俺の方にクレープを差し出してきた。
「お前が食べたかったんだろ?気にせず食べろ。子供のくせに変な気を使うな」
「ううん、さきに、たべて?」
参ったな。まともに会話をするようになってそんなに時間は経っていないが、こうなったアカメは言う通りにしないと退かない。
「あー、それじゃ一口だけ貰うぞ」
クレープの真ん中に乗っている大きな苺を食べるとさすがに怒りそうなので、端の苺のソースが乗っている生クリームを一口。
ほど良い酸味と生クリームの味が口の中に広がる。
「うん、うまい。ありがとな」
「ん・・・・・・」
アカメはどうやら満足した様子で、大きな苺にかぶりつく。すると、口元が緩んで子供らしい笑顔が見えた。その後、ゆっくりと服屋へ向かいながらアカメはクレープを完食した。
お読みいただきありがとうございます。誤字脱字報告、感想よろしくお願いします。




