表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
細胞鳥?騒動日記  作者: 紫乃月 聖巴


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
16/17

16. ピットリと所長

 カツラ騒動から一週間が経った。


 ある夕方、白崎が実験室に残って論文を書いていた。ふとピットリがいないことに気づいた。


「あれ、ピットリ?ピットリどこだ?」


 実験室を見回したがいなかった。廊下も見たが、いないようだ。


「まさか……」白崎はふと脳裏をよぎる。嫌な予感がして白崎は所長室に向かった。所長室の扉が少し開いていた。身を潜めその扉の前に立ち耳を澄ませた。中から、かすかに声がした。


 ぴっぴっぴっ(ショチョウアソビニキテアゲタ)。


「おい、ピットリなぜお前がいる?……高屋の奴、書類提出してきたときに扉を閉め忘れたな。はぁ……今度は何しにきたんだ」所長は眉をひそめてピットリを見た。


 ぴっ?(ナニ?)


「どうも……お前を見ると調子が狂うな……まったく少しはいい子に出来ないのか」所長は困惑気味に首をさすりながら言った。


 白崎は扉の前で固まった。いつもの圧力がある所長の声とは違い、ピットリに向けている声は優しいように思える。


「ピットリ、肩に乗るのは構わんがつつくな。外見だけは愛くるしいんだがなぁ。お前の奇想天外な行動は、どうにかならんのか」


 ピットリは「ぴっ」と鳴いている。白崎はそっと扉から離れた。廊下を歩きながら白崎は思った。ピットリは変わった鳥だ。光るものが好きで高いところも好き。異常な大きな声で鳴いたり、鳥ではない奇声で鳴いたりすることもある。そして他人の物をくわえていってしまったりと大変困ったやつだ。だけど、なんだかんだ言って皆に愛されているようにも思える。所長もたぶん。白崎は実験室に戻り、ピットリを放置して論文の続きを書いた。


 しばらくして、ピットリが飛んできて肩に乗ってきた。


「おかえり、ピットリ」

 ぴっ(タダイマ)。

「所長室には勝手に入っちゃダメだよ」白崎は苦笑いをしてピットリを撫でながら言った。


 次の日から、所長はズラをやめた。所長はズラについては何も言わない。ピットリがまたやるからと諦めたのだろうか。周りの職員は空気を呼んで所長の頭の事には触れなかった。だが目線は所長の頭につい、目がいっていまう。気になるものは気になるのだ。


 そして所長のズラがなぜかピットリのケースの中にあった。そのズラをピットリは敷物の様に扱っていた。


 びっ~(ツヤツヤ~)


 その中でピットリだけは嬉しそうだった。白崎は、何事もなかったかのようにそれを見ないことにした。


 その後、所長と交流ある者達の来客がある度に、所長の頭に視線が集まるのは言うまでもなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ