17. 研究所の正式マスコットへ
ピットリが来て三ヶ月が経った日。
朝礼で所長がいつになく改まった顔をしていた。「本日、この場で発表することがある」
研究員達はお互いの顔を見合わせた。
「ピットリを正式に当研究所のマスコット生物として認定する」
どよめきが起きた。
「えっ」
「マジですか」
「所長が?あんな事されたのに?!」
「私が決めた!異議がある者はいるか!!」
「「「ないです!!」」」周囲の賛同の声が波のように合わさった。
ぴっー!!(ヤッター!!)
「うるさい、ピットリ!静かにしなさい!!」
ぴっぴっ!!(ヤッターヤッター!!)
「だから静かにしろと!!」
「ぴぃぃぃぃっっっ!!!!!!!!!!!!」
「うわあぁっ!!耳がっ!!」全員が耳を塞いだ。
だが所長だけが耳を塞ぎながら口元を緩めていた。
上条がそれを見て代田に小声で言った。「所長が笑ってるんですが……」
「見なかったことにしよう」代田は目を逸らした。
「そうですね」上条はピットリがはしゃいでいるのを微笑ましそうに見ていた。
午後の日。
研究所の中庭のベンチに白崎とピットリがいた。
金木犀の香りが漂い、空は高く青かった。
「なあ、ピットリ」
ぴっ?(ナニ?)
「お前が研究所に来てもう三ヶ月は経ったな」
ぴっぴっ?(サンカゲツッテナニ?)。
「最初は小さかったのに、でかくなったなあ」
ぴっぴっ(オナカスイテキタ)。
「光るものは集めたり高いところには行っては中々離れないし、大声で鳴いたり所長のズラを奪ったり白衣はボロボロにするわで……周りにも迷惑かける度に謝って所長には何度、怒鳴られたか……俺謝ってばかりいるな」白崎は過去を思い出しながら疲れた顔をして眉間を押さえた。
ぴっぴっ?(ナンデオコラレタ?)。
白崎は苦笑いをし「って言ってもわからないようなぁ……」
すでに秋の日差しが中庭に降り注いでいた。どこかで金木犀の香りがした。そこへ足音が近づいてきた。
「白崎くん!こんなところにいた!探したんだぞ!」高屋が小走りで来た。
「今行きます。ピットリ、行くよ」白崎はピットリを撫でながら言った。
ぴっ!(ウン!)
ピットリが白崎の肩に乗っている。
「ところで高屋さん、なんの用ですか?」
「ああ、来月の発表会の準備を……あとピットリが今日皆川さんのスタンプを持って行ったらしくてな」
「えっ?スタンプ?」
「銀色模様のスタンプらしいんだ」
「……銀色か……ピットリっ!」
ぴっ(アレキレイ)。
「もう、まただよ!返しに行くよ!」
秋の空に白崎の怒鳴り声とピットリの鳴き声が混じって響いた。高屋は苦笑しながら、その後ろをついていった。
そして、いつもの日常が繰り返される。
国立生命科学研究所は、ある意味平和である。
これで完結になります。ここまで読んで頂きありがとうございました。




