13. ピットリの毛づくろい
それから数日後。
白崎が実験室で論文の修正を行っていた。白崎の肩にいるピットリがなにやらもぞもぞしていることに気づいた。
「ピットリ、どうかしたのか?」不思議そうに白崎はピットリの方に顔を向けた。
ぴっ(カユイ)。
「なんだろ……毛づくろいか?」
ぴっぴっ(ココカユイ)。
ピットリが翼の根元あたりをくちばしで器用にかいていた。毛づくろいをしているのだ。ピットリはしばらく熱心に毛づくろいをしていた。そこまではよかった。
問題はその後におきた。
毛づくろいが一段落したと思ったピットリが、今度は白崎の白衣の襟に顔を近づけた。
ぴっぴっ(ココモスル)。
「……ん?今度は何をする気なんだ?」白崎は微笑ましく見ているとピットリに白衣の襟を噛み始めた。
ぴっ、ぴっ(ンー、ンー)。
嘴で白衣の生地をつついて引っ張っている。それを繰り返している。
「何してんだろ……ピットリ」白崎はその行動を見つめていた。
その時、上条が書類を持ちながら実験室に入ってきた。
「白崎さん、今日の提出書類の……って、ピットリ何してるんですか?」
「あ、上条さん。俺も今ピットリが何してるかわかりません」白崎は笑いながら答えた。
「でも、かわいいですね……」上条は微笑ましそうにピットリを見た。
「そう。かわいいですよね」
また上条はピットリを見た。ピットリは白崎の白衣の襟を嘴でつまみながら、集中した顔をしている。終わる気配はまったくない。
暫く白崎と上条は仕事に集中してピットリを放置していた。
「あの……白崎さんの襟、ほつれてきてませんか?」
「え?」白崎が襟元を見た。ピットリはまだ続けている。
翌日、代田が「白崎お前、襟ほつれてるぞ」と指摘した。
一週間後、白崎の白衣はいたるところがほつれており、「白崎くんの白衣、ボロボロすぎてホラーだよ。その状態で夜に歩くなよ。こえーよ」と高屋に引き気味に言われた。
「ピットリがやるから!どうしてここまでボロボロにするんだよ!」
ぴっぴっぴっ(キレイニシテアゲテル)
ピットリはなぜか嬉しそうに飛び回っている。
「予備の白衣ももうボロボロだよー!どうするんだよ、これ……」ボロボロになった白衣を着たままの白崎は嘆いた。
白崎が出勤した時には予備もボロボロにされていた。上条には「さすがに新しい白衣を購入しましょうよ」呆れた顔で言われた。
白崎は新しい白衣を三枚まとめて購入した。しかし、ピットリはそれも同じようにやらかしてしまった。泣く泣く白崎は白衣をまた購入した。




