第十二話 走れ、最強を証明するために
「『アクセル』!」
包囲しながらの襲撃を間一髪『アクセル』で躱す。
「『焔魔法・焔纏』!」
「『土魔法・アースウォール』」
「『光魔法・フラッシュ』!」
刀に焔が宿る。その剣は赤く揺らめいている。
だがそれに気を取られている暇はない。
気を取られたその一瞬で自分の背後に出来た土の壁。
更にそこに『フラッシュ』。
「目っ!」
目が見えなくなる。
その一瞬の隙を見逃さず一瞬で『焔』が迫る。
さぁ、どうしようか。
『アクセル』は効果時間的にあと1秒ほど。
『ブースト』は論外。
目が潰れる前に大体の位置は把握した。
魔法も割れている。
ここを抜ければ、生き延びられる。
そして、この数秒で大幅に移動できるようなものはない。
「『クイック』」
もうあまりにも慣れた挙動で空に飛ぶ。
そこに二段ジャンプで更に上に。
「マジかよ」
「『土魔法…』」
・それ耐えんのかよ
・行けるんだ…
詠唱の声。だがもう遅い。
視界は回復し、MPはまだある。
なら、行けるな。
「『アースランス』」
着地点に土の槍。
そのまま行けば突き刺さって死ぬ。
だがまぁ…
「空中での体の動かし方は心得てる。」
体をぐいっと捻り、腕で『アースランス』の先端を掴む。
そのまま押し返し、再度空中に飛ぶ。
二段ジャンプを使うにはどうすればいいか。
それは地面から飛ぶ。ただそれだけ。
その『飛ぶ』という条件に、
足か腕かなどは関係ない。
二段ジャンプ、再装填。
だが今の体勢は不安定。足が上、頭が下。つまり、反転している。
だからどうした。
今はただ、この空を、地面を、踏みしめ、蹴りつけるこの足があればいい―
「『超火魔法・ハイ・ファイアバースト』!!!」
俺が空を踏みしめた時。
俺の真下を殺意の塊の熱線が通り過ぎる。
間に生えた土の壁など元から無かったかのように溶かす。その空間に残った者は三人。
「『焔魔法…』」
「ッフゥー…」
「『超火魔法…』」
火を焔としてその剣に宿す侍。
ただ純粋な拳と足で全てを置き去りにする拳闘士。
剣を構え、周りの全てを火種とし、巻き込み、燃え盛る魔法剣士。
勝負は一瞬。
いざ尋常に。
「『焔斬』!!」
「『アクセル』」
「『ハイ・ファイアバースト』!!」
草原が赤く燃える。
己が最強だと、世界に見せつけるように。
危険を伝えるアラートのように。
・は?
・いやいやいやいや
・ないわー
・逃げるなァ!
「やーだねっ 超加速のリキャストも終わってない状態で銀河と戦うとか自殺行為にもほどがあるデショ」
あんな真っ赤なアラート見せられたら逃げるしか無いよねぇ!
そして何より…
「勝ちたいからな。」
・まぁ、その点では正しいか。
・勝ちたいなら仕方無い…のか?
・仕方ないだろ
「待てっ」
「お前の相手は俺だよォ!」
どうやら銀河も最善の状況で戦いたいらしい。
ただ、次に会った時は問答無用で戦うつもりだが。
逃がしてくれるならそれに乗っかるだけよ。
「また後でな」
「お前もな」
近くの森へと走る。
ただ、ひたすらに。
「『空間魔法・ゲート』」
もう、止まれないほどに。
だから、ゲートに吸い込まれた。




