気化式冷蔵庫の量産 ー ククリナイフを配る
今日は冒険者ギルドに行く。
仕事の依頼をするために。
「気化式冷蔵庫」の量産に必要な【コンプレッサーの魔道具】を自作する。その材料調達の依頼だ。
この【コンプレッサーの魔道具】の仕組みはシンプル。構成品はバッテリーとなる魔結晶、生成量調節の魔導回路、風を出す元となる緑の結晶体。
魔導回路を抜きにして「魔結晶」とこの「緑の結晶体」を半魔導体金属で接続すれば風量調節はできないけど圧縮空気が生成される。だから「緑の結晶体」があれば量産ができそう。
その「緑の結晶体」は調達できるのか。
パパス曰く、
「これは近くのダンジョンで手に入りますね。フロア【風の谷】だったような。「魔結晶」と同じくギルドに依頼するのが早いです。」
なるほど。という事で冒険者ギルドに「調達依頼」だ。
「おう、いらっしゃい!」
いかついけど依頼客には優しい受付のギルド職員 。「魔結晶」と「緑の結晶体」の調達の相談をする。「純度」とか「数量」とか「納期」とかの見積をしてもらって相場から支払う料金を決めた。
「追加料金以外に何か「色」をつけて【お急ぎ】にする方法もあるぞ。」
色?
「メシ屋ならメシの無料チケットだったり薬屋なら無料でポーションをつけたりだな。」
ああ、色ってそういう。
俺にとっての色は……ちょうど鍛治の真似事をして「試作したナイフ」がある。
「ククリナイフ」だ。ちょっと癖のある形状のナイフ。戦艦にあったククリナイフを模倣して作ってみた。
材料はレーン達が倒した隠しボスの「ギガタウロスの兜」から。ちょうどナイフ向きの材質だったのでそこから採取した。
「はー。変な形してるナイフだが……条件はどうする?」
条件は明日までに急ぎで素材を持って来た先着5グループにこの「ククリナイフ」を無料であげるって事で。
「わかった。素材は依頼主の元へ直送にするぜ。」
試しに【お急ぎ】にしてみた。
ーー
翌日、数グループの冒険者が「魔結晶」と「緑の結晶体」を持って来てくれた。
「大将が武器を作るって言うから気になって。」
「前は武器作らねーって言ってたのに。」
「なんか変な形したナイフだな。」
ウチの常連さん達だ。俺が武器を作ったのが気になって依頼を受けたようだ。
ククリナイフは熟練の冒険者達も見た事が無い代物のようでそれでも「まあ、使ってみるわ。」と言って持って帰って行った。
作ったククリナイフには「デンダ」の銘を入れてあるし何か問題があったらウチに来るだろう。
そして予想外だったのが多くの冒険者達が素材を持ってきてくれた事。
「ありゃ? 皆早いな。大将の武器欲しかったのに。」
先着5グループまでなんですまんな。「ギガタウロスな兜」から採れる素材で作れるのもちょうど5本分なんだ。
「ふーん、大将が見込んだ材料じゃねーと武器を作らねーって事か。」
まあ、そんな感じだ。最近忙しいし武器を作るのは趣味でやってる事だと認識してもらおう。
ーー
よし、材料も揃ったので【コンプレッサーの魔道具】を作る。
まず「魔結晶」と「緑の結晶体」を研磨してそれぞれエネルギーが発現できる状態にする。この2つを万能工具の【消耗部品生成】で作り出した「半魔導体」で接続すると圧縮空気が発生する。
容器は鉄の薄板を曲げて密閉溶接したもの。それぞれの部屋の空気が漏れないようにしっかり溶接する。
で、動作は「ON/OFFスイッチ」を取り付けた。部屋の電気とかを消すスイッチと同じだ。スイッチで半魔導体の接触/非接触を操作する。
作る圧縮空気の量は0.1MPa〜0.5MPaの低圧空気だ。水を乾かすだけならそこまでの圧力は必要ないし、バッテリーの損耗も抑える設計だ。
これで【コンプレッサーの魔道具】は完成。
そして本体となる【冷蔵庫】の設計と製作はツクリテ工房がする事になっている。原理と仕組みを教えたら大体のものを作ってしまう人達だからすごい。
で、冷蔵庫が量産される中、パパスから提案があった。
「デンダさん。この【コンプレッサーの魔道具】を冷蔵庫以外にも使いたいんですが。」
パパスが言うには「塩造りの乾燥工程」や「干物の乾燥工程」浮き輪の空気入れなどこの港町の産業に利用したいと。
確かに色んな使い道がある【コンプレッサーの魔道具】。ここは町の発展のためにも協力するか。作るための素材はたくさんあるしな。
「あとモンスターの討伐用にも……。」
ケツに刺して倒すアレね。この町は情報が行き渡るのが速いなあ。
「代金ははずみますよ。」
そしてお金がどんどん貯まる。
何か使い道を考えないといけないな。




