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万能工具で異世界修理屋  作者: 武川やまね
第一章 修理工房編
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冷蔵庫を作る ー 気化式冷蔵庫


「デンちゃん、調理器具作ってー。」


この町で料理屋を継いだ俺の幼馴染のミナコ (男)だ。


「てか、デンちゃんの家だけモノが充実してる。家具も調理器具も何もかも揃ってるじゃん。」


まあな。空いた時間に色々とDIYしたんだ。


「ん……この家の家具は高級品。」

「便利過ぎて他で住めないニャ。」


ほぼ一緒のレーンとフォーからも好評。


「そういや、2人とデンちゃんはどこで知り合ったんだ?」


「ん…………。町で。」


レーンと知り合ったのは隷属の首輪を外した時。その後も色々あったし、あまり詳細は言えない。


「フォーは……用心棒ニャ。」


フォーと知り合ったのはフォーが強盗としてウチに来たから。これも詳細は言えない。


「ふーん。」


ミナコも深くは聞かない。ありがたい。


「あと調理器具の他にさ、【冷蔵庫】が欲しい。」


冷蔵庫?


「基本的に生物(ナマモノ)はすぐ使うか塩漬けにするかになるんだけど冷蔵庫があれば料理の幅が広がるんだ。」


確かに。

なんかそういう魔道具ないかな?


ーー


結論から言うと無かった。


「氷を出す魔道具はあるにはありますが王家所有の貴重な魔道具ですね。」


ラインフォード商会のパパスだ。


「ん……。一日に数回なら巨大な氷は作れるけど。でも魔力が枯渇しちゃう。」


魔法で継続的にやるのは難しいとレーンに言われた。



魔法的なのは難しそう。


じゃあ【科学的な冷蔵庫】を考えるか。


そもそも原理ってどんなだっけ? 戦艦を修理した時のデータが万能工具の「デジカメ」の中で残っているから冷蔵庫の機能はわかる。エアコンと同じで原理は「ヒートポンプ」だったか? 「冷媒」を圧縮したり気化させたりして冷やすんだ。


そういや冷蔵庫は「戦艦」の食堂にあったからそれを持ってくるか? いや、あったのは大型冷蔵庫だったから持ってくるには無理そうだ。


イチから作るのも大変そうだし。


なんか簡単な方法は……。



あっ、一つ思いついた。


ーー


「何だこれ? 濡らした箱? どうするんだ?」


水で濡らした鉄の箱に「コンプレッサーの魔道具」の風を当てる。すると水が気化して……。


「あっ、鉄の箱が冷え冷えだ!」


これが【気化式冷蔵庫】だ。


そして鉄の箱にチョロチョロ水が流れる仕組みを作って……コンプレッサーの魔道具を風がずっと流れるレベルの風量にして……、


こうすれば水が気化し続けて鉄の箱が冷え続ける。


「おおっ! 中がちゃんと冷蔵庫になってる!」


で、水量や風量を微調整すれば温度調整もできるだろう。そしてこれを大型化すれば求める【冷蔵庫】の完成だ。


「スゲーな。デンちゃん。よくこんなん考えるなー。」


まあな。自分の働いてた工場のコンプレッサーのエアー漏れしていた箇所が冷えてたのを思い出した。


で、鉄の箱だと鋳肌表面がやはり少しボロボロになった(ミクロ単位で)。大型化する時は耐食性も気にする必要があるな。【素焼き】のものか【石】が良いかな。万能工具でメッキしても良いけど熱伝導率も低めで安価のものを使おう。


大型化は「ツクリテ工房」の大将ゲンゴロウに相談しよう。材料の調達については彼に聞くのが早い。



ーー


まず気化式冷蔵庫は無事に完成した。きちんと機能するよう細部まで設計した小型試作機→大型化に反映という形だけど上手く言った。


「冷蔵庫か。スゲェもん作るな。どうなってるんだ?」


ゲンゴロウに仕組みを聞かれたので水が気化する時の「熱が奪われる」現象を簡単に説明する。


「なるほどなぁ。風呂上がりの濡れた体に風を浴びたら寒いもんな。」


そうそう。それと一緒。


「ウチとしては助かるんだけどよ。職人の仕事のタネになる情報をポンポンしゃべるよりお前さんは自分の懐に入るような立ち回りも大事だぞ。」


ゲンゴロウに少し心配された。ボーッとしてると搾取される職人も少なくないからと。


いやー、でも遅かれ早かれこういう技術は隠してても流出するし、それなら自分から広めて町が豊かになった方が周り回って良いと思う。


この気化式冷蔵庫ための水が簡単に手に入るのも「汲み出しポンプ」をツクリテ工房の皆が量産してくれたからだし。


「そうかい。まったく、お前さんは殊勝な奴だよ。」


この人も大概、面倒見が良いけどな。



「デンダさん、この冷蔵庫もう少し作れませんか? 倉庫と漁船にあれば……。」


商会のパパスに言われた。


「おっ? それなら行きつけの酒場にも欲しいな。」


ゲンゴロウにも言われた。


冷蔵庫の需要は高いようだ。


皆にはお世話になっているしなんとかしたい。


でも、必要な【コンプレッサーの魔道具】は10数個しかない。これは大事に使っていきたいし……あっ、でもこの【コンプレッサーの魔道具】って仕組みが割と単純だから材料が揃えば自作できるかも?




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