フォー
冒険者のフォーは溜まったものを吐き出し切るかのようにワンワンと泣いた。
「えぐっ…………ごめんなさいニャ。」
フォーはひとしきり泣くと後悔の念のこもった謝罪をした。
「ごめんニャ。もうしないニャ。」
フォーをスパナで殴った時に「何かの力」が働いた気がした。それがフォーを反省に導いたような。
おい、お前なんで強盗なんかした?
「お金が欲しかったニャ。お金が有れば良い生活が出来るニャ。」
強盗する理由なんてそんなもんか。
「……お兄さんはフォーを騎士に突き出すかニャ?」
……いや。それはしないつもりだ。
「えっ? ……騎士に突き出さないかニャ? ……はっ! まさか、お兄さんはフォーの体が目当て……!」
フォーは顔を赤らめて体をクネクネし始めた。
「うニャあ〜、そんな事。お兄さんにされたら……困るニャ〜。」
俺を流し目でチラチラと見るあたり全然困ってなさそうなフォー。
コチン。
「あいた。」
スパナを出してフォーを軽く殴った。
まったく。そういうのはやめろ。確かにフォーはスタイルが良いし可愛い。でも俺には恋人がいるから「そんな事」はしない。
「ニャう〜……えへへ、ごめんニャ〜。」
なんか殴られて叱られているのにフォーはほわほわと喜んでいる。もしかして俺の万能工具は殴られて喜ぶ変態を作ってしまったのか? それともフォーが元々変態なのか。
「じゃあフォーはどうなるニャ?」
お前は解放だ。もう悪い事するなよ。
「まじかニャ?」
フォーを拘束している結束バンドを万能工具の「ニッパー」で切った。
「お兄さんは甘いニャ……。バカかってくらい甘いニャ。」
そうかもしれない。だけどお前はちゃんと反省してるって俺は「わかってる」から。だから解放する。
「お兄さん……。でもまた強盗が来たらどうするのニャ?」
そうだな。どうしようか。
「もう。……じゃあフォーがお兄さんを守るニャ。」
えっ? お前が?
「フォーはこう見えて腕に自信があるニャ。元々、王国の隠密部隊にいたニャ。」
へー、そうなのか。
「だからお兄さんを色んな事から守れるニャ〜。」
確かにそれはありがたいが。
ーー
レーン達に冒険者の用心棒を雇う事を相談してみる。(フォーがウチに強盗に来た事は伏せておく。)
俺の事を女神の使徒だと思っているパエリアは「使徒様の仰せのままに」と言う。
「あんまり見ない冒険者なのだ(ちょっと怪しくね?)」
ガパオはフォーを訝しげに見ている。
「フォーは強いのか? 得物は何だ?」
ビビンバはフォーの強さが気になっているようだ。
「基本的に武器はなんでも使えるニャ。強いて言うなら棒……「槍」かニャ。」
「へー、槍使いか。ちょっと腕試しようぜ!」
ー
「くっ……強え。パエリアに匹敵する強さか?」
「動きも素早くて力もあるのだ。」
ビビンバとガパオは圧倒されていた。
「ムキムキのお姉さん(ビビンバ)は攻撃にスキが多いニャ。小柄のお姉さん(ガパオ)は力技でバランスを崩されやすいニャ。」
フォーはかなりの腕前みたいだな。
「このレベルの槍使いがウチのパーティーに来たら捗るんだがな。どうだ? ウチのパーティー。」
「フォーはここに住み込みでお兄さんを守るニャ。だから参加出来ないニャ〜。」
えっ? フォーってここに住む気なの?
「当たり前ニャー。夜に強盗が来たらどうするニャ。」
言われてみればそうか。
「むっ……ちょっと話がしたい。」
「むっ、なんの話ニャ?」
「ん……女同士の話。」
「……わかったニャ。」
レーンとフォーは2人で店の奥に消えた。なんだ、急にどうした。
ー
少し時間が経って戻って来た2人は笑顔だった。
と、レーンが俺にもたれかかる。
「ん……私が1番。」
逆側からはフォーがもたれかかる。
「フォーは何番でも良いニャー。」
おいフォー、俺の恋人はレーンだけだ。そういう事するのは……、
「ん……良い男は多くの女が囲うもの。私が1番だから問題ない。」
「そういうことニャー。」
フォーはレーン公認みたいだ。
えっ? まじで?
倫理的にどうかと思うけどレーンやフォーが良いと言ってるからいいのか? いいのか……。
勇者召喚された身のせいでか精力が溢れている俺は調子に乗った。




