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万能工具で異世界修理屋  作者: 武川やまね
第一章 修理工房編
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修理工房、軌道に乗る ー シスターパエリアの加入



ビビンバとガパオの装備を修理した後、修理工房にはチラホラ冒険者のお客さんが入った。装備の修理をしてくれと。


ただレーンが相場の数倍の代金を請求すると多くの冒険者が「高いな……」と躊躇した。でもいくつかの冒険者達はその価格でもいいから修理してくれと言ってきたので少しビックリだ。


そしてビビンバの大剣の大改造や「女神の彫刻」に気付いて自分の武器にも出来ないか? と聞いてくる冒険者も居た。ただ代金がかなり高い事を知ってガックリしていたが。


「ん……安売りしてたら大変な事になってた。」


そうだな。もし安売りしていたら今頃はお客さんで溢れかえっていただろう。


「忙しくてデンとの時間がなくなるのは……嫌。」


それは俺もレーンと同じ気持ちだよ。


「うー。イチャイチャはボク達のいない所でするのだ!」

「ああ。他所でやれや!」


クレームが来たのでイチャつくのは2人きりの時だけした。



ーー



そんなこんなで数日が過ぎた。


変わった事と言えば冒険者のお客さんの数が増えた事。


ただレーンに相場を教えてもらったおかげで忙しくない程度の仕事量で落ち着いているし1日に金貨数十枚程度は稼げるようになった。


基本的にウチに依頼する冒険者達は修理の結果に理不尽な文句を言ったり代金をごねたりはしない。高い修理代金を払える奴は自分の命を預けるものの重要さをしっかりわかっているようだ。



稀だが「武器や防具を新しく作らないのか?」 と聞かれたりもした。確かにそれが出来たら良いのだが剣や防具を一から作る素養が俺にはない。


存在するものに対して「本来あるべき姿」が万能工具を通して理解できるから俺はそれを応用している。ただいつかは俺オリジナルの武器や防具や道具か何かを作れたらなとは思う。


空いてる時間で計画しようかな。



で、今日は珍客が現れた。


「使徒様! 女神の彫刻を……私にもして!」


教会のシスターのパエリアだ。その彼女のロングソードに「女神の彫刻」をして欲しいと言ってきた。


女神の彫刻か。代金に金貨300枚もらうけどいいか?


「えっ!? そんなにするの……ビビンバ達もそれだけ払ったというの!?」


なんかパエリアはレーン達のパーティーと知り合いっぽい。というか話を聞くとパエリアはレーン達の元パーティーメンバーだった。


教会にいたおばちゃん達が「シスターパエリアは女神が好き過ぎて冒険者を辞めた。」とか言ってけどそれは本当だったみたい。


「ビビンバ達は金貨600枚も持ってないですよね!? 使徒様! 何かあって特別に女神の彫刻をしたんですか!?」


察しが良いパエリア。そりゃもう恋人のレーンを守るためにパーティーメンバーには特別に格安で請け負った、という事だけどもそれを正直に言うとレーン達に迷惑がかかりそうだな。


というか他のお客さんとの取引内容を別の人に容易に喋るわけにはいかない。守秘義務があるうんぬんを言って帰ってもらう事にした。



……あ?


断ったらなんかパエリアが急に色仕掛けをしてきた。


これには流石にイラッとした。


俺にはレーンという素敵な恋人がいるのにそんなんに引っかかるわけないだろ! それにこんなシチュエーションをレーンに見られて誤解されたらどうするんだ!


俺には怒りに任せてパエリアを叩き出した。後悔はしていない。


しかしシスターパエリアは困った奴だな。今度レーン達が来たら注意喚起しとこう。


ーー


「ん……今日も来た。」


今日もレーンが修理工房に来てくれた。レーンはほぼ毎日修理工房に来てくれるし(そしてほぼ一緒に食事とお泊り)、レーンのパーティーもちょくちょく顔を出す。


聞くとレーン達のパーティーは最近、かなり調子良くダンジョンを攻略できているようだ。


「武技が使える武器がやべーわ。使うと一定時間使えなくなるけどほんの少しの時間だしよ。」

「防具もなんか体に合うように調整したのだ? 体がすっごく軽くなったのだ。」


とビビンバとガパオ。パーティーもといレーンが特に危険な目に遭って無いようで何よりだ。


で、今日レーン達は珍客を連れていた。ちょっと前に来ていたあのシスターパエリアだった。だけど今日はシスターの格好をしていない。冒険者の格好をしていた。


「私は今日を以ってこのパーティーメンバーに戻ります! だから私にも! 使徒様お願い! 私にも女神の彫刻をして!」



話を聞くとパエリアがパーティー出戻りをしたようだ。パーティーメンバーじゃないと格安で女神の彫刻をして貰えないと教えられたらしい。


でも良かったのか? パエリアをパーティーに入れて。


「パエリアが戻ってきてくれてくれて嬉しいのだ。」

「ん……パエリアが居なくて寂しかった。」


なんと皆はパエリアに戻って来て欲しかったみたい。


「前衛1人って結構キツイんだぜ? これで安定したパーティーになる。」


なるほど。確かにレーンのパーティーが強固になるなら俺も賛成だ。聞くとパエリアはちょっと女神が好き過ぎて変な人だけど剣の腕は王国に認められたほどすごいらしい。


それなら安心だ。


俺はパエリアのロングソードにも「女神の彫刻」を施した。(武技 ヘビースラッシュが使えるようになった。)


「女神様といっしょ! ふふふふふふふ。」


女神のご尊顔を拝めたパエリアは彫刻に顔を擦り付けるほど喜んでいる。少し引くぐらいに。



パエリアが戻った事でレーン達のパーティーは「剣士・重剣士・盗賊・魔法使い」の4人パーティーになった。


「女神の寵愛再結成よ!」


今更だけどパーティー名は「女神の寵愛」らしい。でもこの名前はパエリアだけが勝手にそう呼んでるだけみたいで他の面子はヤレヤレって顔をしていた。



その後、女神の寵愛はダンジョン攻略最前線組に肉薄する成果を上げていると聞いた。


だけど出る杭に対してやっかみを持つ輩はやはりいるようでそいつらの存在を俺が知ったのはもう少し先だった。






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