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万能工具で異世界修理屋  作者: 武川やまね
第一章 修理工房編
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変なシスター ー 怖い機械の首輪


「あなた……今、女神様と会話されてましたか?」


お祈りをやめて恐る恐る後ろを振り向いたらシスターさんが立ってた。そのニコニコ顔と目が合った。


会話はしていたと言えばしていた事を言うと、


「やっぱり!」


俺の手をガシッと握った。


「あのふんわりとあたたかみのあるものに包まれる感触! あの神々しいひかりはやっぱりそうなのね! 女神様なのね! ふふっ、教会で毎日休まずひたむきに働いた甲斐があったというもの! ふふふふふっ!」


えらく上機嫌に語り始めたシスターさん。


「あなた、女神様と会話をしてる時に何か賜っていましたね。あなた……もしかして女神様の使徒?」


いや、使徒って言う感じでも……


「いやいや、みなまで言わなくて良いですよ! 使徒様という事は目立った事はしたくないというもの! わかっています! この事は内密に……ですね?」


なんかめんどくさいから適当に「はい」って言っておいた。


「きゃー! 隠密の作戦をする女神の使徒様と知り合っちゃった! ねえ、使徒様。次に教会に来るのはいつですか? 次も女神様と話されますか?」


うーん、教会に予定は特に無いので「予定はない」ってバッサリと言うと、


「むっ。」


シスターは少しムッとして、


「ねえ、じゃあ、私に会いに来ても良いのよ? ウッフン。」


急に色っぽい声を出して俺を誘うシスター。


イラっ。


シスターがそんな真似すな。


すげなく「いらん!」って言うと、


「あーっ! 待って待って、待って下さい! じゃあ! 使徒様は表向きは修理工をやってらっしゃるのよね。教会の修理をお願いしても良いですか? 女神様を祀る場所ですからしっかりきれいにしたいのです!」


教会を引き合いに出された。


んー、まあ仕事の話なら。


「やたっ! じゃあ、その時はお願いします! うふふー、今日は良い日だなー。夢にまで見た女神様を感じられるなんてー♪ あっ! 私はシスターの「パエリア」って言いまーす。よろしくです! 使徒様!」



なんか教会の修理依頼を今度受けることになった。




教会を出る途中、


おばさんたちのヒソヒソ話が聞こえてきた。


「ボソボソ(シスターパエリアはもと一流の冒険者だったらしいよ。)」

「ヒソヒソ(へー、それがなんでシスターに?)」

「ボソボソ(女神様が大好き過ぎてらしいよ。)」

「ヒソヒソ(うふふ、愛の力ってすごいわね。)」

「ボソボソ(そうね。うふふ。)」



愛っていうかこれは信仰じゃね?


知らんけど。



ーー



またブラブラと町を歩く。


すると、気になるものが。



なんか首に「機械の首輪」みたいなのをつけた人の集団。そんな人達が沈んだ顔をしていくつかの馬車に荷物のように所狭しと乗せられて運ばれていた。


何十人と。


なんだろう? あの人達。と思っていると近くの出店のおばさんが教えてくれた。


あの人達は「敵国の捕虜」にされていた人達なんだと。その敵国に賠償金を支払って捕虜を返してもらったのは良いがあの「機械の首輪」付きだった。


あの首輪は魔道具で装着した人の体を満足に動かせなくする上にどんどん衰弱させるらしい。


うげー、むごい。なんてものを使うんだ。


「聖王国グランセルは本当にむごい事をする国だよ。」


出店のおばさんはとてもお怒りだ。……てか聖王国グランセル? あの勇者召喚されている国か。こんな事をする国に召喚されなくて良かったな。



で、その魔道具はどうにも外せないみたいで無理に外そうとすると装着者を殺してしまう。だからせめて本国の土に還りたいという本人達の願いで「ライズ王国」の本国へ移送中との事。


土に還りたいって事は後は死ぬしかないってことか。たしかに馬車に乗っている人は体中がすり傷だらけだったり痩せ細って今にも死にそうな人もいる。


……うーん。



あっ、そうだ。


試しにあの機械の首輪をデジカメでパシャッと撮ってみる。


この魔道具の構成は……


なんて考えている間に馬車は行ってしまった。



ーー



夜。


……うーん。


昼間見た光景に悶々としながらあの魔道具について考える。


機械の首輪の魔道具について。


……


あっ、


外せそう!


あの機械の首輪の外し方について頭の中で色々とシミュレートしてみたが少し時間がかかるがどうやら外せそうだ。


この首輪を安全に外すには特殊なキーと特殊な呪文が必要みたいだがそれらはなんとか万能工具で代用できそうだった。


その方法をやっと思いついた。


……で、ところで今はもう真夜中。


明日の朝、あの捕虜の人達の所に行くか?


いや、でもおばさんの話では明日の早朝にはあの捕虜の人達はこの港町を発つらしい。


じゃいつ機械の首輪を外しに行く?


……今でしょ。


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