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万能工具で異世界修理屋  作者: 武川やまね
第一章 修理工房編
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剣の研ぎと鎧の整備 ー なんか装備を修理してから調子が良い?



俺の修理工としての初仕事だ。



まずは剣。


刃こぼれして薄汚れた両刃の剣。それが4本。

それぞれボロボロの鞘が付いている。


まずはウェスで刃全体の汚れを拭き取る。そうしたら万能工具の「回転砥石」で刃を研ぐ。実剣だから水を掛けながら研ぐタイプの「回転砥石」でだ。


この回転砥石、「粗さ」をいつでも変えられる。例え運転中であったとしても。


だから仕上げの研ぎまで一気に終わらせられた。


さすが万能工具といった所で少しの時間で剣の鋭さが戻った。



で、これで剣は完了かとも思ったがまだ少し気になる所が。


持ち手の部分だ。


持ち手の部分=(つか)は金属ながら網目が施されておりそれが滑止めとなっている。


だがその網目も割とボコボコとして整っておらず、またよく見ると汚れも溜まっていた。


これじゃ手からすぐに滑ってしまうだろう。



だからその網目の所も掃除してかつ簡単な滑り止め加工を施しておいた。


これでよし。


で、鞘もボロボロで穴が空いているのが気になるので万能工具で「布の端切れ」を取り出してそれを手縫いで縫う。


こうして4本の剣と鞘の修理はすぐに終わった。



次は鎧か。


革鎧が3つと金属鎧が1つ。


革鎧は動物の皮か何かに硬化処理を施した物のようで割と固めの材質で出来ている。


金属鎧は剣道の防具のようなフォルムで腹部、胸部、背部が板金で出来ていてそれを革でつなぎとめている。


それぞれ繋ぎの革が剥がれかけているし所々に傷があり穴が空いている所もある。そして全体的に薄汚れている。


金属鎧はサビやへこみなんかも各所にある。



で、まずは全体の掃除。


ウェスで汚れをしっかりとる。



次に繋ぎの革を補修する。


万能工具で消耗品として「新しい革」を出してそれを「リベット」と呼ばれる金具を打ち込んで繋げる。


元通りになるように繋ぎの革を交換してそれを打ち込むだけなので4つとも割と早く終わった。



で、次は鎧の穴や傷の補修。


革鎧の穴や傷は革を繋いだ時と同じ「リベット」を打ち込んで補修する。穴だった所に金属の丸ポッチができる。


このリベットを革鎧全体に満遍なく打ち込むと「スタッド・レザーアーマー」と呼ばれるまた別の鎧になるんだが今回は補修する所だけ。



金属鎧はサビ落としを吹きかけてサビをとった後、まずへこみをハンマーで叩いて直す。


そして穴や傷には同質の金属を「バーナー」で溶かしたものを充てハンマーで叩いて直す。


これでOK。


OKなんだけどあとは……なんだか鎧が全体的に「歪んでる」んだよな。少しの歪みに見えるから気持ちの問題かもしれないけど4つともある。


ちょうどまだ時間はあるしこの歪みも直しておくか。


革鎧は繋ぎの紐の調整だったり金属鎧はハンマーで叩いたりして気になる歪みをとった。



割と早く修理が終わった。


全体で2時間ほどだ。



で、少し待つと4人の冒険者が修理品を受け取りに来た。


「あっ、もう出来てる。」

「しかもピカピカじゃん。」


約束の夕方と言うにはあと小1時間といった所だ。


「はい。代金の銀貨9枚だ。」


銀貨9枚を貰う。


そして冒険者達は剣と鎧を担ぐと修理工房を出て行った。



ふう。


修理工の初仕事が終わった。


いきなり初日で客が来たのはびっくりしたけどなんとかなったな。





「最初は安すぎてなんだろうかと思ったけどちゃんと修理されてるみたいで良かったな。」

「ああ、こんだけしっかり修復されてるなら問題なしだな。」



以前、よく行ってた修理工房が別の人になってたけどちゃんと修理されているみたいだ。


そしてよくよく看板を見たらあの「ラインフォード商会」の紋様入りのものに変わっていた。あの大商会の傘下の工房なら安心だ。


「じゃ。もう早速、明日にダンジョン行こうぜ。」

「そうだな。行ける時に言っとかねえとな。」




「あれ? なんか今日は調子が良いな。」

「そうだな。なんでだろう?」


ここはダンジョン。


モンスターを倒してその素材の希少部位や稀だが魔道具や魔法の武器が手に入る所。


ただこの冒険者達はダンジョン未踏破部分の攻略を目指すレベルでは無い。


低〜中階層でモンスターを倒して稼ぐのがメインだ。


この冒険者達はこの日はすこぶる調子が良かった。


だから調子に乗ってどんどんモンスターを倒して行った。



「「カンパーイ!」」


「今日はなんだか調子が良かったな!」

「ああ。ざっといつもの2倍のモンスターを倒したんじゃないか?」

「なんか体が軽く動いたな。」


この冒険者達の調子が良かった理由。


彼らはそれを気付けずにいた。



だがその理由に気付ける目の利いた者もいた。


「よーう、あんたら今日は快進撃だったな。いったいどうしたんだ?」


別の冒険者がこの浮かれた冒険者達に声をかける。


「おーう、まあ俺達も強くなったかな? わからんけど。ワッハッハ!」


いや、原因はそうじゃないだろうなとその冒険者は思った。


「そういや装備を修理してるな。どこでやってもらったんだ?」

「ん? ああ、これはラインフォード商会の近くの修理工房だよ。」


「あそこか? 確かあそこの主は田舎に帰ったと思ってたが。」


「代替わりしたのか別の人だったな。まあ普通の修理だったよ。」


冒険者達も浮かれて酔っ払ってはいるが「安く」て「早い」修理工房の話をわざわざ広めたりはしない。


だがこの目の利いた者は明らかに装備が良くなっている事を見破っていた。この冒険者達の快進撃はそれだろうなと。



後日、デンダの修理工房に客がなだれ込むまで大した日数はかからなかった。



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