修理工房始めました ー 武器と防具の修理依頼
もと修理工房だったという建物。
そこを格安の価格で買って。今、その工房の掃除をし終わったところだ。
この工房は20畳くらいで割と広めで前の人の残った汚れとかもそのままだったから掃除にはちょっと時間が掛かった。
とは言っても万能工具の「高圧水洗浄機」と大量の「ウェス」で拭き取るという作戦で一気にやったからそこまで徒労感は無い。
「おや、掃除が終わったようですね。」
パパスが来た。
手には木の看板を持っている。
「我がラインフォード商会の紋様の入った修理工房の看板です。これでこの工房に下手なちょっかいを出す輩はいなくなるでしょう。」
聞くとラインフォード商会はこの街でかなりの規模と影響力を持つ商会らしい。
そんな商会が後見人につくなんてかなりラッキーだ。
でもパパスから手をガシッと握られて、「また魔道具を持ってきます。その際は鑑定を是非よろしくお願いします。」と目を光らせて言われた。
さすが、商人。しっかりしてる。
だけどパパスはちゃんと仕事に見合った適正価格を俺に支払ってくれている(らしい)。
俺が貰った金貨100枚。物価を聞くとだいたい金貨1枚に1万円くらいの価値がありそう。だからもらったのは実質100万円。
しかもこの修理工房を買うのに払ったのは金貨5枚ほど。生活に必要な分のお金はまだある。
しかも今後も鑑定依頼が来るという。高額な報酬が約束された鑑定依頼が。
これは当初俺が目指していたスローライフが実現するんじゃないか? 目指してたファーミングスローライフとは違って工業的な感じだけど。
ー
「それでは頑張って下さい。」
ああ、ラインフォード商会の名に迷惑がかからないような仕事はするつもりだ。
「それは何より。ところで最近この港町の近くに新しいダンジョンが発見されたんです。」
へー、そうなんだ。
「ですので冒険者の出入りが多くなっています。そういった方から修理依頼があるかもしれません。」
冒険者達の装備品の修理とかかな? まあ、ウチは現物を見て直せる物は直す。直せない物は直せないのスタンスで行くから客が誰であろうと問題ない。
「わかりました。期待しています。」
そう言ってパパスは去って行った。
ー
掃除された修理工房を見渡す。
この修理工房は必要な物はあらかた揃っている。
ベッド、食事のための机、椅子、かまど付きの厨房といった生活用のモノや作業台など。
工具類は少しも残っていないが修理をするための「万能工具」が俺にはあるし戦艦から工具一式が入った「工具箱」を持ってきている。
また修理に使う細々とした消耗品なんかは万能工具で調達出来る。ただその消耗品も大物は出せない。金属の板とか大きい木の板とかは出せない。
ただし、手のひらに収まる程度のなんらかの機能を持った小物の部品は万能工具で出せる。
ネジとか釘とか配線端子とかなら出せる。
だから修理をするといっても大きく壊れた物なんかで材料を調達しないといけないものは現状は手に負えない。
まあ調達はツクリテ工房のゲンゴロウさんに相談するか……それともその修理依頼は断るか……まあその時になったら考えよう。
とりあえずまだ店を開いたばっかりだしお客さんも来ないだろう。
と思っていたら。
カランカラン。
扉を開ける人が。お客さんかな? 声をかけてみる。
「いらっしゃい。」
「あれ? いつものおっちゃんじゃない? 新しい人?」
若そうな男4人だ。4人とも軽装備の武装をしている。パパスの言ってた冒険者だろうな。
「ま、いいか。剣の研ぎと防具の修理を頼みたいんだけど。」
と言って剣4つと革鎧3つと金属鎧1つを作業台の上に置いた。剣はショートソードというようなサイズで目に見えるくらい数カ所が刃こぼれしている。
革鎧と金属鎧は繋ぎの部分がボロボロだったり表面に穴が空いてたりしている。どれもかなり使い込まれていて多少ボロボロだが直せない事はないレベルだ。
「いいぞ。この感じなら……今日の夕方以降までには修理出来てると思う。」
今は昼過ぎだからそれぐらいには修理が終わっている見込みだ。
「えっ? そんなに早く?」
冒険者達に驚かれた。
「ああ、それで修理費用だが……」
お金については実はパパスと少し相談して自分の仕事に見合った金額を請求すれば良いと言われている。
「全部で銀貨9枚だ。」
銀貨9枚。大体9000円くらいのもんだ。
金貨→銀貨→銅貨→賤貨と価値が十分の一になっていく。金貨1枚で1万円の価値だとしたら賤貨1枚は10円くらいだ。
で、大体3時間くらいかかると思ったから俺の時給は3000円くらいかな? だから9000円分の銀貨9枚かと調子に乗って決定した金額だ。
「「「えっ!!!」」」
冒険者達にもっと驚かれた。
「なんだ? 高かったか?」
「いや、……その価格でやってくれるならいいんだ。」
で、冒険者とどこをどこまで直すかの話をした後、冒険者達は「じゃ、頼んだぞ」と言って出て行った。




