冒険者ギルド
アルデンの門をくぐると、ベルン村とは比べ物にならない人の多さに圧倒された。石畳の通りには荷馬車が行き交い、店先からは焼いた肉や香辛料の香りが漂ってくる。建物は二階、三階と高くなり、通りの向こうには尖塔のある建物も見えた。
カイルに連れられ、俺は冒険者ギルドへ向かった。石造りの大きな建物で、入口には剣と盾を組み合わせた紋章が掲げられている。中では冒険者たちが依頼書を見比べ、受付では職員が忙しそうに対応していた。
カイルは森で起きたことを報告した。灰牙犬と岩角獣に遭遇したこと、巨大な傷痕や足跡を見つけたこと、そして森の奥から正体の分からない音が聞こえたこと。
報告を受けた職員の表情が真剣になる。やがて奥からギルドの責任者らしい年配の男が現れた。その男は自らをギルドマスターだと名乗った。
「魔物が普段と違う動きをしている、ということか」
「はい。俺の知る限り、異常です」
ギルドマスターはしばらく考え、上位ランクの冒険者パーティを派遣して調査すると告げた。俺たちには、しばらく森へ近づかないよう忠告する。
カイルは報告を終えると、俺を振り返った。
「ヤマト、これからどうするんだ?」
「この町で暮らしながら、いろいろ知りたいかな。できれば本も読みたいし」
「なら、冒険者登録をしておくといい。仕事を受ければ金も稼げるし、町にいる理由もできる」
異世界ものの物語ではおなじみの冒険者。まさか自分が本当に冒険者になるとは思わなかった。
受付で説明を受ける。冒険者にはランクがあり、最も低いFランクから始まる。依頼を達成して実績を積めば、昇格できる。FランクからEランクへ上がるには、まざFランクの依頼を五件達成する必要があるという。
「最初は町の人の手伝いや荷運び、採取など比較的簡単な仕事が多いですよ」
俺は登録用紙に名前を書いた。故郷の欄はどう書けばいいか分からず、ひとまず「遠方」とだけ伝えた。
こうして俺は、アルデンの冒険者ギルドに登録した。森の異変は気になる。それでも、今の俺にできるのは、この世界で生きていくための足場を作ることだ。
「困ったことがあったら聞けよ。俺もしばらくはこの町にいるから」
カイルは気さくにそう言った。礼を言おうとして、ふと足元を見た。
管狐がいない。
ついさっきまで近くにいたはずなのに。人が皆紛れたのか、それとも森へ戻ったのか。
「……管狐?」
呼んでみたが、返事はない。俺は町の喧騒の中で、小さな狐の姿を探していた。
ついに拠点となりそうな町へ着きました!
この町ではどんな出会いが待ってるのでしょうか




