30.光と闇
男の心の中は暗く、怒りと支配欲で満ちていた。彼の過去の苦悩や野心が、混沌とした風景となって麗の前に広がった。しかし、麗は冷静にその情報を収集し、男の弱点や隙を探ろうとした。
一瞬一瞬が、麗にとっては命がけの挑戦だった。彼女は自分の精神を保ちながら、男の内面での探索を続け、自らを危険にさらしながらも、真実を見極めようとしていた。
表層意識には、日本の裏社会を象徴するような闇が広がっている。そこには金と暴力が支配し、人々は利益と快楽を追い求めている。しばらく進むと、彼の強欲と闇が具現化した化け物が次々と麗に襲い掛かった。
魔物が麗に次々に襲い掛かり、麗は双雲に教わった瞑想で魔物から身を守り、魔物の負のエネルギーを弱体化させようとした。しかし、隼人の心に巣食う魔物たちは負のオーラが強すぎて、麗の鎮め方ではすぐに息を吹き返して、体勢を立て直して襲ってきた。
「だめだ、負の感情が強すぎるんだ。これじゃ、きりがない。」
後ずさりする麗。ここは一旦逃げようと思ったその時、麗は自分の片手に、光の糸がシュルシュルと纏わりついてくるのを感じた。その光の糸は幾重にも連なり、麗の手に凝縮し、やがてハンドボールほどの玉の形を形成した。
麗は思いつきで、一匹の魔物にすっと玉を投げてみた。すると、そこまで力を入れていないはずなのに、光の玉は目もつかぬ速さで魔物を貫き、粉砕した。群がっていた魔物たちはこれを見て、少し怯んだ。
矢継ぎ早に、麗の手に光の糸が集結する。光…光は"波動"や"粒子"といった性質を持つと言われているが…もし光が"糸"の性質も兼ね備えているとするならば…。麗は自分の右手にまるで生き物のように集結する光の糸を見ながら、悟ったように呟いた。
「私は…現実世界では闇のような存在だった。…だけど…この精神世界では、光を扱うのが得意みたい。それに…」
麗はもう逃げなかった。魔物の群れに正面から向き合った。
「なんだかとても、強くなったような気がする。」
そこからは、麗の独壇場だった。俊敏な動きで次々と魔物に光の筋を照らし、瞬く間に蒸発させた。ほっと一安心したのも束の間、地面がごごごと唸り声を上げ、今までの魔物の何十倍もの図体をした巨大な影が姿を現した。




