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第469部分

「何よ。聞いて欲しいなら別に言えば良いけど、正直全く以て興味は無いわね」


 ともあれ、そのフィーの反応が余程予想外のものだったのか、そのアイシスの言葉は普段よりもそれこそオーバーな「リアクション」で紡がれた訳であったが、それを受けたフィーは特にそれに影響される事も無く、至って冷静に別に言いたいなら聞くのは構わないが自身としては全く興味が無い旨を答える。


「え!? そんなに私の事には興味は無い感じですか?」


 とはいえ、これまでの言動からしてその言葉にも何らかの理由がある事は、少なくとも良く考えてみれば明白な筈ではあったのだが、その冷静な態度と一見冷たくも聞こえるその返答に、アイシスはつい驚きを声で表現した上でそう訊き返すも、本当は自身には興味が無い様にも聞こえた事から思わずまた敬語が出てしまう。


「そうは言ってないわよ。でも、アンタが自分は『アイシス』だって言うんなら、前の名前がどうであれアタシには関係が無い事でしょう? 冷たく聞こえるかもしれないけど、アタシは自分には関係の無い事には興味が無いの。アンタが前に居た世界がどんな世界だったのか、とかアンタがそこでどんな生活をしていたか、なんて事にもね。まあ、アンタが話したいって言って話した事なら、当然それを聞いたアタシにも関係が生まれる事にはなるけど、アタシが自分から知りたがるって事は無いと思ってくれて良いわ」


 と、その過剰とも言えるアイシスの反応には呆れた様な表情を浮かべたフィーであったが、その裏にある性格やこれまでの経験を慮ったのか、どうかは分からないが当人にしては穏やかめな口調で先ずはそう断ると、要約すれば「元から自身に関係の無い事には興味が無い」という旨を割合に丁寧に説明する。


 しかし、それでも「自身の話には興味が無い」という事が否定された訳ではなかった為、少女はその内心が安堵とは程遠い状態でその話を聞いていたが、話の最後に「自分から話した事ならばその限りではない」旨が告げられる、つまり「無理に過去について聞く気は無い」という事を長々と述べていたのだと分かると、漸く安心した様に長い溜め息を吐く。


「……それなら良かった。まあ、それなら私も別に相手が興味が無い事を無理に話す気も無いし、この話についてはここまでにしておきましょう」


 とはいえ、「自分に関係が無い事には興味が無い」と述べていた時の様子からしても、それは実際にそうなのだろうと考えたアイシスは自身の安堵を惜しげもなく明かしつつも、そう明言した相手に対し無理に話す必要も無いという事で自身の過去、或いは現在の自分達から見れば「異世界」となる世界についての話は切り上げようと提案する。


 なお、当人が気にしていたのは当初から相手の反応の薄さについてのみであり、実を言えば仮にフィーに過去の名を尋ねられていたとしても、「いえ、私はアイシスとして生きて行くと決めたから」とか何とか格好付けた事を言おう、と思っていた訳ではないものの自身の決意表明の場にしようとしていたのであった為、そのまるで自分が相手の性格に配慮したかの様な言葉は面の皮が厚過ぎると言えなくもなかったのだが、わざわざそんな事を明かす必要も無い以上は仕方の無い事だとも言えなくもなかった。


「そうね。でも、アタシは他の世界がどうだなんてこれっぽっちも興味は無いけど、あの子なら喜んで聞きたがると思うから、もしアンタが話したいなら話してやれば良いんじゃない」


 とはいえ、当然ながらその様なアイシスの内心にのみ存在する事実など知る由も無い事もあり、その言葉を聞いたフィーもその提案に同意を示すが、そこで一応は話を一段落させてまた姿を消す事も可能であったものの、更に言葉を続けてその話を、つまり少女の過去やら出身の世界の話を望む者も居る事を明かし、話したければその人物に話せば良いと薦める。


「え? ……でも、シラユキ先生もあんまり興味無さそうだった様に見えたけど」


 しかし、当然ながらその話が指す相手は自動的に一人に限られるものの、当時の当人の様子とあまりにもかけ離れたその話に、一瞬それが誰の話なのかを理解出来なかったアイシスは一度そう意外そうに聞き返すが、やはり当然ながら該当者は一人しか居ないという事で直ぐに誰の話かは理解するも、その時の記憶からそう反論、という訳ではないものの自身の印象を口にする。


「それはアンタに配慮してただけでしょ。「色々知るのに時間が足りないー」とか言って不老になっちゃう様な奴が、目の前に降って湧いて来た未知の物事の宝庫に対して興味を抱かない訳が無いじゃない」


 が、それを受けたフィーは即座にそれは当人への配慮によるものである事を見て来たかの様に断言すると、シラユキ当人のこれまでの生涯の行動を理由に、本当は異世界の事に興味を抱いていない筈が無い事をこれまた自身の事の様に断言するのであった。

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