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どうも、他人の性癖が見えるヒロインです。  作者: あさひ


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9/9

09

「ソフィアン、体調は大丈夫か」


「はい」


「帝都に出てきたばかりで、疲れがまだ残っているだろう。無理はするなよ」


「お気遣い、感謝いたします」


もはやどこを見ても性癖、逃げ場もなく遠い目をしてしまったのは許してほしい。表情が抜け落ちたように見えたのか、体調が悪いと勘違いされてしまった。ちなみに、鍛錬を行っているところで、あらかたの場所説明や主要な隊長クラスの人物紹介を受けていたのだが。


「ソフィー! 医務官連れてきた!」


一緒に回っていたヨハンさん、医務室が近くなった途端になぜか遠慮なく部屋に入っていく。そして、またすぐに出てきてこちらに駆け寄って来た。その後ろには、三人ほどの騎士と一人の医務官。彼は元々帝都の士官学校に通っていたらしく、当時の同級生がこちらにいたとのこと。ついでに、とご友人を紹介してくれた。


「あなたがソフィアンですね。良い腕の魔法治療師だと聞きました。自分は、アーサーと言います。そこの筋肉バカ共とは士官学校時代からの同期です。これから、よろしくお願いしますね」


穏やかそうな顔立ちの男性、アーサーさん。見た目の割に、身体つきはしっかりと鍛えられたものなので、彼も士官学校で訓練を受けていたのは明白だ。余談だが、彼の性癖は地味メガネ、心の中にそっと閉まった。


「よろしくお願いします、アーサーさん。僕は、流れの魔法治療師をしていたところを、ヨハンさんたちに出会ってお世話になっていました」


「あの辺り一帯を管轄していた砦の一つでしたね。そこで魔法治療師をしていたのなら、即戦力です。とてもありがたい」


「過大評価のような気もしますが……、頑張ります」


ヨハンさんからの紹介に、それぞれ一人ずつと握手を交わした。さすがご友人なだけある、みんなどこか彼に似ていて、明るく良い人たちだった。


その後はまた、ユーイン様と共に各部屋を回ったりと忙しなく移動。最終的にはアーサーさんのいる医務室に送り届けられ、改めて医務官としての仕事を覚えることになった。中では薬の管理をしている人や、担当患者らしき騎士を診察する人、カルテ整理を行う人、様々だ。


今は大きな討伐や、戦争がないので平和だとアーサーさんは言っていた。ここに魔物討伐なんかが入ると、怪我人だらけで寝る間もなくなる、とか。場合によっては医務官の中でも、魔術戦闘がある程度できる人は、現場にて治療を行うメンバーに入るらしい。


それは、現場での処置を必要とする緊急性の高い患者の対応と、魔物からの攻撃にも対処が可能という、療法を兼ね備えた人が必要だからだそう。命のやり取りのある極限状態で、己の身を守れるかそうでないか、はとても大きな問題だ。


その上で、誰かの治療もできるというのなら、それは願ってもない人材。士官学校には騎士となるべく入学する者、医務官を目指す者、どちらも入学ができ、士官学校騎士科・士官学校医務科で専門科目が変わるようになっている。


アーサーさんは、その士官学校医務科に入学し、同時期入学の騎士科だったヨハンさんたちと仲がいい、ということだった。科は別れていても、騎士科も医務科も訓練はあるとのことで、何を専門に学ぶかの違いしかないから、それ以外は同じ科目を学ぶ。共通科目の試験勉強のたびに、アーサーさんがヨハンさんたちを扱いた、と聞いてあまりにも予想できる話に笑ってしまう。


「訓練中や巡回中に怪我を負った者は、この医務室まで来ます。大規模な魔物討伐や、他国との戦闘となる場合には、現場にも向かいますが、今はあっても魔物討伐くらいですね。現場着任は、基本的に士官学校医務科卒業の中で、戦闘にも秀でた者が選ばれますので、まあ滅多に呼ばれません」


「アーサーさんは、同行したことはあるのでしょうか?」


「ええ、自分はあります。それこそヨハンたちが共通科目の筆記を教えてくれた礼だとかで、実技を教えてくれたので、成績は良かったんです。こちらからすると、余計なお世話ではありますがね」


「あはは……、なんとなく想像ができます」


「でしょう、なにせ筋肉バカ共ですから。さて、話を戻します。今はそこまで怪我人も少ない、となると医務官の仕事は実は病院にまで広がるんです」


「病院、ですか? 教会ではなく……?」


「はい、病院です。教会には専属もいますので、教会では治療ができなかった人のための病院で勤務をします。こちらは持ち回り制なので、医務官として勤務する全員が、必ず月に一度は病院勤務となるように組まれています」


教会に所属しているのは専属だが、みんながみんなそこで治療を受けられるわけではない。そんなとき、病院に訪れるようになっているとのこと。魔法治療の腕を、国民にも還元するのが国の方針。それを聞いて、とても羨ましいと思ったのは、言えない話だった。



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