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第29話 龍の宴

第29話です。昨日は福島に行ってきました。姉の引越しの手伝いをしていたのですが、今日はその影響か筋肉痛です(笑)

龍の訓練場には、まだ戦いの余熱が残っていた。

砕けた岩。

焦げた地面。

空にはまだ薄く渦巻く雲。

その中央で――

銀髪の少女が怜を見つめていた。

龍王レグルスの娘。

リュゼリア。

銀色の長い髪が風に揺れる。

その頭には小さな角。

背後にはしなやかな龍の尾。

金色の瞳は、父親と同じく鋭い。

「あなたが」

少女はゆっくり言った。

「父が認めた人間ですか」

怜は腕を組み、軽く息を吐いた。

「そうらしい」

ミアが横から小声で言う。

「ずいぶん冷静だね、レイ」

莉奈が苦笑する。

「龍王の娘だよ?」

ミアがさらに小声で。

「普通緊張しない?」

怜は肩をすくめる。

「今さら龍一人増えても変わらない」

ミアが呆れた顔をした。

「感覚おかしいよ」

その時、レグルスが笑った。

「ははは」

「気に入った」

リュゼリアは父を睨む。

「父上」

「笑ってないでください」

そして怜を見た。

「あなたの実力」

「確かめさせてもらいます」

怜が眉を上げる。

「今?」

リュゼリアは頷いた。

「龍族では普通です」

「言葉より剣」

レグルスが楽しそうに腕を組む。

「挨拶みたいなものだ」

ミアが呟く。

「この国、物騒すぎない?」

莉奈は苦笑した。

「でも龍族らしいかも」

怜は剣を軽く抜いた。

「わかった」

「軽くだな」

リュゼリアの口元が少し笑う。

「その言葉」

「後悔させないでください」

挨拶の戦い

次の瞬間。

リュゼリアが消えた。

「速っ――」

ミアが思わず声を上げる。

銀の閃光。

怜の背後。

ガキン!!

剣と爪がぶつかった。

火花が散る。

リュゼリアの瞳がわずかに見開く。

「……反応するんですね」

怜は落ち着いていた。

「龍王の娘だろ」

「それくらいは来ると思った」

リュゼリアが踏み込む。

連撃。

爪。

蹴り。

尾。

龍族特有の流れるような近接戦闘。

しかし怜はそれをすべて受け流していた。

剣が円を描く。

力を逃がす。

リュゼリアが一度距離を取った。

「なるほど」

「確かに強い」

怜は軽く息を吐く。

「まだ終わりか?」

リュゼリアの瞳が光る。

「いいえ」

次の瞬間。

背中から翼が広がった。

龍の翼。

空気が震える。

ミアが叫ぶ。

「うわ、本気だ!」

莉奈が言う。

「でも王様まだ余裕そう」

空中から突撃。

速度が一気に上がる。

しかし――

怜は動かなかった。

ギリギリまで待つ。

そして。

一歩。

横にずれる。

リュゼリアの攻撃が空振りする。

そのまま怜の剣が軽く触れた。

コツン。

首元。

リュゼリアの動きが止まる。

静寂。

怜が言った。

「ここまででいいか」

リュゼリアはしばらく黙っていた。

それから剣を下ろす。

「……参りました」

ミアが拍手する。

「さすがレイ!」

莉奈も笑う。

「安心した」

リュゼリアは怜を見る。

その瞳はもう敵意ではなかった。

むしろ少し嬉しそうだった。

「なるほど」

「父が認めるわけです」

レグルスが豪快に笑う。

「ははは!」

「いい勝負だったな」

ミアがツッコむ。

「いや王様ほぼ余裕だったよ!?」

レグルスは肩をすくめる。

「それでも娘は強い方だ」

そして大きく伸びをした。

「さて」

「戦いも終わったことだし」

レグルスは主人公を見た。

「今夜は宴だ」

ミアが目を輝かせる。

「宴!?」

莉奈も驚く。

「龍族の?」

レグルスが頷く。

「そうだ」

「久しぶりに面白い客が来た」

「盛大にやる」

そして怜を指差した。

「その前に」

「風呂に入ってこい」

怜が眉をひそめる。

「風呂?」

レグルスが言う。

「戦闘の後だ」

「汗と血の匂いで宴に出るな」

ミアが笑う。

「確かに」

怜は少し渋い顔をした。

「面倒だな」

レグルスが笑う。

「龍の国の風呂はいいぞ」

「岩風呂だ」

怜はため息をついた。

「……わかった」

怜達一行が風呂に向かい、姿が見えなくなる。

その時、レグルスが何かを思い出したかのような表情を見せた。

「あ、ここの温泉混浴なんだが...

言ったようが良かったか?」


龍の国の浴場は、山の内部にあった。

巨大な天然の岩風呂。

蒸気が立ち込める。

湯はほんのり光っている。

怜はゆっくり湯に浸かった。

「……」

しばらく無言。

それから呟く。

「悪くない」

岩壁の向こうから龍族の声が聞こえる。

水の音。

湯気。

静かな空間。

その時――

足音がした。

怜は少しだけ振り向く。

「?」

ガラッ。

扉が開いた。

そして――

ミアの声。

「うわ、広っ」

「...」

ミアが凍る。

「……あ」

莉奈も後ろから入ってきた。

「ミア、そんなに急がなくても――」

そして止まる。

三秒沈黙。

ミアが叫んだ。

「なんでレイがいるの!?」

怜が冷静に言う。

「風呂だからだろ」

莉奈が顔を赤くする。

「ち、違うの!」

「女性用だと思って……!」

ミアが慌てる。

「そうそう!」

「完全に勘違い!」

怜は肩まで湯に沈んだ。

「……じゃあ出ればいいだろ」

ミアと莉奈は顔を見合わせる。

そして。

ミアが小声で。

「でも」

「もう入っちゃったし……」

「...」

莉奈が恥ずかしそうに言う。

「……少しだけ」

怜は天井を見上げた。

「もう好きにしろ」

ミアが笑う。

「やった」

その後しばらく――

妙に気まずい沈黙が続いた。


夜。

龍の都市の広場。

巨大な篝火が焚かれている。

龍族たちが集まり、酒を飲み、肉を焼いている。

ミアが目を輝かせる。

「すごい!」

巨大な肉。

山ほどの料理。

龍族の酒。

レグルスが豪快に笑う。

「遠慮するな!」

「今日は宴だ!」

龍族たちが叫ぶ。

「龍王万歳!」

「客人に乾杯!」

杯が掲げられる。

音楽が鳴る。

リュゼリアが怜の隣に来た。

「改めて言います」

「旅に同行させてください」

怜は少し考えた。

そして言った。

「危険だぞ」

リュゼリアは笑う。

「望むところです」

レグルスが酒を飲みながら言う。

「決まりだな」

ミアが笑う。

「仲間増えた!」

莉奈も頷く。

「にぎやかになりそう」

空には龍が飛んでいる。

炎の光が夜を照らす。

宴は夜遅くまで続いた。

だが――

誰もまだ知らない。

神がすでに次の一手を打っていることを。

いかがだったでしょうか。面白いと思った方は応援をよろしくお願いします。

次回の30話で今月分はとりあえず終わりです。

第30話は明日21時30分に投稿予定ですのでお楽しみに。

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