第24話 龍の国へ:旅路
第24話です。今回は龍の国へ出かけるらしいですよ。まだ着きはしませんが...
まぁ、お楽しみください。
朝の光が、王都の高窓から差し込む。
机の上に広げられているのは、
古くから使われてきた 大陸全図。
怜は、椅子に深く腰掛けた。
隣にはリーナがいる。
なぜリーナが隣にいるのかと言うと、あの戦いが終わり、俺が王になったあと、側近が必要なことに気がついた。
普通は衛兵に任せればいいのだが、今まで国にいなかった人間が王になることを、衛兵達は良くは思わない。
ましてや暗殺が起きてもおかしくはないと思い、生憎と俺は衛兵を信用できなかった。
そこで、信用でき、かつ博識なリーナに側近を任せたのだ。
他は、ミアは衛兵に戦闘を教えさせている。
ミアは体幹がよく、身体能力もかなり高い。また、俺が教えた事もよく理解して自分のものにしているためそこらの衛兵じゃ相手にならない。
因みに、莉奈もミアに教えて貰っているらしい。
莉奈が言うにはミアは結構スパルタなんだそう。
毎夜毎夜疲れきった表情で帰ってくる。
ここだけの話だが、先日、元団長と模擬戦をしたが、それに勝ったらしい。
そのため、衛兵の中ではミアはかなり人気なのだとか。
エルナは食堂を任せている。
元から料理が上手く、家庭菜園もやっていたらしいので任せた。
衛兵によるエルナの料理の口コミはとても良いらしい。
とまぁ、一緒に旅をした3人に役割を与えた。
話は戻り、俺は机の上いっぱいに地図を開き、目を通す。
北には、深い森に守られた エルフの国。
南には、山脈と空を支配する 龍の国。
西には、岩と火の大地に根付く ドワーフの国。
そして――東。
指先が、わずかに止まる。
「……魔族領」
まだ、踏み込むには早い。
敵意を向けられていない今、慎重であるべきだ。
怜は、深く息を吐き、指を南へ滑らせた。
「まずは……ここだな」
龍の国 ――最初の訪問先
リーナが、控えめに声をかける。
「龍の国、ですか」
「ああ」
怜は頷く。
「彼らは強大だが、理を重んじる」 「力だけでなく、“約束”を理解する種族だ」
それは、歴史書で学んだ知識だけではない。
王になる前、旅の中で耳にした話。
龍は裏切りを嫌い、
だが一度認めた相手には、驚くほど誠実だという。
「人間の王が代替わりした今」 「彼らがどう見るかを、直接確かめたい」
リーナは、少し考え込む。
「……危険じゃない?」
怜は、静かに笑った。
「だからこそ、俺が行く」
「使者ではなく、“王自身”がな」
その言葉に、部屋の空気が引き締まる。
窓の外では、王都が静かに動いている。
民はまだ知らない。
この国の王が、これからどれほど大きな賭けに出ようとしているかを。
怜は立ち上がり、マントを肩にかけた。
「龍の国と対話ができれば」 「エルフ、ドワーフ……そして、魔族にも道は開ける」
それは理想かもしれない。
だが、理想を語れなくなった瞬間、
王はただの支配者になる。
「準備を整える」 「護衛は最小限でいい」
側近が目を見開く。
「最小限……?」
「威圧ではなく、誠意を見せたい」
怜の目は、迷っていなかった。
王都を出て数日。
王の旅としては驚くほど小さな一団だった。
馬は三頭、護衛もいない。
「本当にこれでいいの?」
ミアが少し呆れたように言う。
「王様の旅って、もっとこう……軍とか護衛とかあるんじゃないの?」
怜は肩をすくめた。
「龍の国に軍を連れて行ったら、宣戦布告に見えるだろ」
隣で歩く莉奈が、くすっと笑う。
「それに、あなたは昔からこういう人だったじゃない」
「危ないことほど自分でやる」
怜は苦笑した。
「否定できないな」
王都で龍の国へ訪問すると決めた時、俺はミアと莉奈を連れていくとエルナとリーナには言った。
だが、案の定2人は着いていきたいと言い、口論が始まってしまった。
そこで、2人には留守番を頼みたいと言うと、レイの頼みなら...と快く(?)了承してくれた。
山道に入ると、魔物の気配が増え始める。
怜は立ち止まり、二人を振り返った。
「ここからは修行だ」
ミアが腕を組む。
「やっぱりそうなるよね」
「ミアと莉奈のレベル上げ」 「それと……」
怜は自分の手を見た。
淡い光が、指先に揺れる。
「俺の力を慣らす」
神の力を拒みながら得た力。
王となった今も、その力は完全には制御できていない。
「暴走する前に、慣れておかないといけない」
莉奈は真剣な顔で頷いた。
「わかった」
「じゃあ、最初の敵は私たちがやる」
ミアがニヤッと笑う。
「レイは見学ね」
森の奥から、低い唸り声。
巨大な狼型の魔物が、三体現れる。
ミアはすぐに杖を構えた。
「炎よ」
空気が震え、火球が生まれる。
「フレア!」
爆発。
一体が吹き飛ぶ。
だが残り二体が突進してくる。
「任せて!」
莉奈が剣を抜く。
昔よりも速い。
旅の中で鍛えられた動きだった。
ガキン!!
牙を剣で受け止める。
「ミア!」
「今!」
「任せて!」
氷の魔法が地面を走る。
魔物の足が凍りつく。
その瞬間――
「はあっ!」
莉奈の剣が振り下ろされる。
二体目、撃破。
最後の一体が逃げようとした。
その時。
怜が前に出る。
「……少し試すか」
手を軽く振る。
空気が圧縮される。
ドンッ!!
見えない衝撃が魔物を吹き飛ばした。
地面に叩きつけられ、魔物は動かなくなる。
ミアが目を丸くした。
「……今のなに?」
怜は首をかしげる。
「俺もよくわからない」
莉奈が呆れたように言う。
「王様なのにそれでいいの?」
怜は苦笑した。
「だから慣らしてるんだ」
成長
戦闘が終わり、三人は岩に腰掛ける。
ミアは嬉しそうに言った。
「ちょっと強くなった気がする!」
莉奈も頷く。
「連携も良くなってきたね」
怜は二人を見て、少し安心した。
(この二人なら……)
これからどんな国に行っても、
きっと乗り越えられる。
遠くに、巨大な山脈が見えてきた。
空を突き抜けるような峰。
その上空を、巨大な影がゆっくりと旋回している。
ミアが目を細めた。
「……あれって」
莉奈が小さく呟く。
「龍……」
怜は静かに言った。
「龍の国だ」
三人の旅は、
いよいよ 龍の領域へ入ろうとしていた。
ーおまけー
とある日のお昼時。莉奈がドタバタと急いだ様子で部屋に入ってきた。
「怜!見て見て」
莉奈が息を切らして入ってきたかと思ったら、手に持った花を指さして言った。
「これ、街の花屋で売ってたの。綺麗じゃない?」
そう言って渡された花は青いような黒いような色をしており、まるで宇宙のように綺麗だった。
「綺麗だな...よく見つけたな?」
花の匂いを嗅ぐと少し甘いような香りがした。
「お店の人に好きな人に送る花だったらどれがいいですか?って聞いたの。そしたらこれをおすすめされてね...」
なるほどそれで全力疾走してきたわけか。
最近莉奈は俺への思いを直球で伝えてくるようになった。恐らくライバルができたからだろう。
「それでね、これの花言葉なんだけどね...その...」
「花言葉か...これだけ綺麗なら、かなり良い意味を持ってそうだな」
「この花はね...とある地域にしか咲いてなくて、その地域ではこの花はゼラルって呼ばれてるんだって」
(ん?ゼラル?どこかで聞いたような...)
(回想)「じゃあぜラルはどう?私の故郷の言葉で優しさって意味なんだ〜」(回想終了)
(じゃあ花言葉は「優しさ」か?)
莉奈が赤面しながらゆっくり答える。
「このゼラルの花言葉はね...『宇宙のように大きな愛』なんだ...」
「...え?」
「私の怜への気持ちをよく表してるかな〜って思ったんだけど...どう、かな?」
「...いいと思う」
「えへへ...じゃあこれあげるね」
そう言って莉奈はどこから取ってきたのか、花瓶に花を挿した。
(ミア...嘘ついたな?まぁ、俺に好意を持ってくれるのは嬉しいけども...)
そんなこんなで莉奈の告白はミアに先を越されていたことが判明した。
いかがだったでしょうか。面白いと思った方は応援をよろしくお願いします。
次回は龍の国入国です。お楽しみに。




