参ノ話
* * *
私は 真っ暗な中にいた。
何かいるのか 何もいないのか それすらも 分からない。
何も見えない 真っ暗な中にいた。
声が聞こえた。 楽しそうな 声が。
ああ でも 少し 変。
『他所の子が混じってる。』
外の世界の 子供が一人 仲間のふりして 笑ってる。
『嫌。』
嫌だ。 嫌。
他所の子のくせに。 私は ここで 一人なのに。
『私達を、あんなに苦しめた人間が、如何して。』
どうして 此処の子と 笑っているの。
* * *
私は今日も辰夫達と遊ぶため、向こう側へとやって来ていた。私たちは、いつもの通り、鳥居で待ち合わせをしていたのだが…皆の様子がいつもと違う。
「…どうしたの?」
「…え?…い、いや、何でもないよ!」
おどおどしながら取り繕う志乃は、やっぱり様子がおかしい。なんだか落ち着かないようだ。
「ねぇ…何かあったの?」
今度は優一に聞いてみた。
「…ん?何もないよ…?」
なぜか疑問符を付けて返された。優一はあまり表情に出るタイプではないのだけれど、今日は気まずそうにして私と目を合わせようとせずに、ちらちらと辰夫の方を伺っている。
明らかに何かを隠していた。
「皆…なんか隠してない?」
疑わしげにそう聞いてみると、皆、すいっと視線を明後日の方向へと飛ばした。
「……。」
「………。」
「ぜっっったいなんか隠しるでしょっ!」
肯定としか取れそうもない沈黙を返され、思わず大きな声で皆へ訴える。
「ちょっ、何?なんで皆スルーするの!?私の声聞こえてるよね?ガンスルーとか無いんじゃないかなぁ…!おーいっ!」
とりあえず思いつくだけ言葉を吐き出しては見たものの、ただ疲れるだけだった。皆はちょっと肩を揺らしながらも一向にこちらへ顔を向けようとしない。…あれ、これ笑ってない?
「……笑ってないで説明しなさい。」
「………はい。」
じとりと睨み付けると、不穏な気配を感じたのか、皆素直にこちらへ向き直った。
「あのね、昨日私達。すっごく面白そうな所を見つけたの…。」
初めに、志乃が口を開いた。それに続けるようにして辰夫が得意げに言う。
「誰も行かないようなはずれにあるんだけど、すっげー長いの。」
「長い?」
でかいではなく?
「そ、長い。」
二人の話に興味を持ち始めた私を見て、志乃と辰夫はさらに言葉を続ける。
「森の中に、そこだけ広場みたいに何もなくて、塔みたいな建物があるだけなの。」
「遺跡みたいでさ!深影呼んでくるまで入らないようにしてんだ。」
「まじですか!」
すっかりその場所に行くことが楽しみになってしまった私は、今すぐ行こう、と言おうとした。が、
「まあ、場所は向こう側だけどね。」
「あっ。」「こらっ。」「え。」
志乃と辰夫のしまった。と言うような声が私の素っ頓狂な声に重なった気がしたのはなーんでだ。
二人の声を無視して優一の指さした方を見ると…
「あっちは、皆が暮らしてる方だよね。」
「うん。」
「あっち側とこっち側は、壁と谷で分けてるんだよね。」
「うん。」
「それで、皆の言っているのは、その壁付近のこっち側なんだよね。」
「ちがう。」
「……まじですか。」
優一、志乃、辰夫の顔を、一つずつ見てから、私はさっきとは全く違う意味で、全く同じ言葉をつぶやいた。どうやら、まじのようだ。
私の色々な事情から、長い間投稿することが出来ず、申し訳ありませんでした。これからは、のろまながらも少しずつ投稿していきます。
待っていて下さった方々。本当にありがとうございました。




