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黒を知る者。

うちの小説に足り無いものはなにかということで、オネェを足してみました。

アテリアの都は、輝ける都。


プリムオルフたちの聖なる都。


定められし者しか、その扉は開かぬ。


「詳細わかりました。あ、申し遅れました。わたくし、エルツェンバインと申します。まぁ、本来の名前だと発音しにくいので、人間用の仮名ですね。お気軽にエル、とでもお呼びください。ええと、それで、そちらがーーーーー」


エルと呼ばれた男は、おそらくプリムオルフー小説で言うところのエルフなんだろう。細長い耳をピクリと動かして、


「『黒の術師』殿?」


「はい。六代目、リオと申します。」


こんにちは。杉崎璃桜(すぎさきりおう)異世界107日目の、多分午前10時過ぎ。


光の箱庭と呼ばれる地の、東にあるアイオーリオの、護衛詰所の、どうやら一番偉いらしいー妖精さんだ。


の、はずだ。


正直、ここまで連れてきてくれた、(連行されたと言ってもいい)こちらを目の敵にする美女と、そのよくわからない上司であるイシスが頭を下げるのだから、そのまた上司なんだろうが、


(フランクだ…)


今までの精霊都市では考えられないタイプだ。


「なるほど。芳成と同じ黒、ですね。久方ぶりに見ますよ、その『色』はーー」エル、という男は、どうやら随分長生きなプリムオルフらしい。

「あなたは、三代目に会ったことがあるんですね?」私が聞くと、エルは、


「まぁ、立ち話もなんですから、少し昔話でも。アレが来るまでにはまだ少しの時間があります。どうもタイミングが悪い。今日は南のイエルクまで、わたくしのお使いを頼んだのですよ、アレには。」

「アレ?」

「デウスです。デウス・マミヤ・シン。一度面識がおありだと思いましたが?」

「デウスさん。はい。彼はこちらに所属しているのですね。」

「所属、そうですねぇ、そういう言い方もできますか。正直、持て余しているのですよ、我らがアテリアの光の塔でも、どこに置けばいいのか。なので、この機に厄介払いしたい連中は多いでしょうねぇ。」

「それはー『黒の術師』の血を引いているから?」

「まぁ、それもあります。『黒の術師』は厄災を招くーと、一般的には言われておりますからね。」

「一般的には?」

「芳成がこちらで成し得た技術ー我らはそう呼びますが、それは、人の世には伝わっていないものばかり、できることならば、こちらで獲得しておきたい、というのがまぁわたくしをここへ留めた方のお考えです。」

「ひとまず、詳しいお話を聞いてもよろしいですか?」

「ええ。ええ、わたくしどもには長き時間があります故に、『黒の術師』の貴重な命の時間をわたくしにこそ頂けたらと。どうぞ、こちらへ。」そういうと、エルは隣の部屋へ案内した。


どうやら、少しの気配と物音はこのためだったらしい。


「うわ…」


絶句だ。


天蓋のついた小部屋には、白を基調としたレースがふんだんに使われており、ソファークッションは薄いピンク。まるで午後のディータイムのような、焼き菓子などが並べられたケーキスタンドは金縁のついた美しい緑青の皿。ぬいぐるみが無いのが不思議なくらいの、


乙女チックな部屋が存在した。


「ようこそ。『黒の術師』殿。リオ様とお呼びしてもよろしければ。こちらが、三代目間宮芳成が残した部屋です。まぁ、移築ですがね。」


「…一つ、質問を良いでしょうか?」

「はいどうぞ。」

「三代目、は、男性…でした、よね?」

「まぁ、生物的には、ですね。」

「これは、その?」

「本人曰く、『ふわふわ、もふもふ、可愛いものが好きなんだから仕方ないジャナイ。』と申しておりましたよ。」



まさかの、オネェだったんでしょうか、三代目。いや、でも、お子さん残したよな!?


「なので、ひとまず、こちらでゆっくりとその時代のお話からいたしましょう。」


隣にいるウリセスが無言なのもすごく気になる。気になるけれども。


三代目から継承した技って、何だっけ?


確認していませんでした。


ひとまず、目の前にある美味しそうな匂いのするお茶とお菓子をいただくことにしましょう。彼らには罪は無い。





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