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恋は盲目。

一目で虜になった。


種族が違うとか、世界が違うとか。


そんなことはどうでもよかった。


手に入らぬものはなかったし、人の世の理などどうでもよかったが。



その命がいとおしいと、思ったら、感じたら、


後は、欲するだけだった。





「だから、わたくしがアレを欲しても仕方の無いこと。そのための、となるにふさわしいのかーーー黒の術師よ…」


「あなたが誰を好きであろうが、誰を欲しようが、私には関係ありませんがーーーーー………この歓迎はいただけませんね。」



杉崎璃桜、異世界97日目の多分、昼。


朱と光に染められた世界へ来ています。



神殿は石造り、回廊は長く続き、まるで紫禁城のように広い。

そして、火を司る王は極彩色の美女だった。絹はまるで風を遊ぶように舞い、髪はゆらめく炎のよう、結い上げたその姿はあでやかで、誰ともなく頭を垂れたくなる。


火の宮殿とやらについた私を待っていたのは、上位精霊たちの敵意ある構え。そして、その壇上には憎々しげにこちらを見る女ーーー女王の精霊だった。


「混ざり物だな」私の手の中のウリセスを見た女王はそう一瞥して、侮蔑の視線を寄越す。


「誰が、誰を好きなんですって?」心なしか声に怒気が入ってしまう。


「わたくしは忙しい。そこな虫、排除せよ。」女王はすい、と宮殿の中へ入っていく。


「ちょっ…」待てと進んだ私をとどめる者たち。いやだ何この威圧感。


「火の上位精霊たちだ。先ほどの竜よりも強いぞ。」ウリセス、何その解説。


「あああああもう!」問答無用で飛びかかってくる相手をゴメンネカウンターで交わしながら、両足を軽く開く。

「結界!」文字通り、黒の術の結界。私の周り三メートル四方。そこで一息ついて。


「やっとたどり着いたと思ったら、わけのわからないやつあたりを受けるいわれは無いんですが。そもそも、精霊が黒の術師に恋とかあり得るんですか、あり得ますよねええ、私がそれは一番よく知ってますよ!でもねっ………」ぜー、とそこで一息ついてからにらみつける。


「説明しろっての!!!同期!」こんな状況を突破できるのは普通の思考回路じゃ無理。

なら、


できる人を呼べばいいんじゃないかと。


正式に黒の術をひきついだ今は、同期を使うと以前とは別の状態になる。つまりーーーー


「『まったく……人使いの荒い弟子だなぁ…?』うるさいですよ!」身体は一つ、コントロールは二つ。


初代を喚んだ理由も、もう筒抜けだ。


「『あの馬鹿が炎の精霊に愛されたってーのは、本当だからな。まぁ、仕方ねぇな。』で、初代を餌にしてみたんですけど、どうでしょうか。」私の口から初代の声と私の声が交互に出る。


「『さぁな。………おい、見ているんだろう?』」初代は宮殿の屋根の斜め上を見上げた。


「!」ぎょっとなる。先ほどまでは無かったのに、目玉が一つ。こちらを見ている。


「『なぁ?ユウスケ。』」その瞬間、中庭に雷光が落ちる。私は無意識に結界を三重に増やした。




「彼女のそれは僕のそれと違って、体のいい玩具ですからね。残念ながら新しい黒の術師には契約は諦めてもらうしかありませんね。」


涼やかな声、静かにある存在。

まるで散歩をしていて偶然出くわしたかのような姿。


「『今生の姿はそれか。似合わねぇな。まぁ、顔はそんなに変わらないが。』」初代がいう。


私の今の心境をいえば、


どーしよう。だった。


なつかしの再開はいい。物語的にもよくある男のロマン的展開だろう。


ただ、装備も完璧でない状態で大ボスに出くわすというのはもう、



死亡フラグじゃなかろうか。


「『心配するな。リオ、これは影だからな。本体は別にある。』」初代は私の心を読み取って四代目を見る。


「そうですか。なら、すみません、四代目。説得してくれませんか。」

「『はぁ!?』」言い切った瞬間に口から初代の声が出る。この術はめんどくさいので改良しないとな。


「僕が?」四代目は目を見張ってこちらを見る。


「だってあなたは私に来て欲しいんでしょう?なら、そこまでの手助けはすべきですよ。」だいたいゲームに於いてもラスボスを倒すために雑魚は倒される。そしてこれでもかとアイテムや落としてくれるものもある。なら、ラスボスに行く前に私を完璧装備にしてくれてもいいはずだ。


「『お前それ、どんな理論だ。』」初代がツッコむ。


そこで、またキラキラの神殿の扉がドカン、と開く。


「嗚呼!」まるで恋する乙女ー実際そうなんだろうがーのように目がハートになっている人を初めてーいや、精霊だから人ではないかー初めて見た。


ふわりと飛びついた女王を軽くかわして四代目はもう一度私を見てーいやきっと私の中にいる初代を見ているんだーふわり、と笑う。


「『何か考えてやがる。』」初代が嫌そうにいう。


「交換条件としよう。」四代目がいう。


「『はぁ!?』」


「精霊は弱い人間の下にはつかない。まずは君がこの回廊を突破する。そして僕の欲しいものをくれる。そうしたら、契約を交わすよう取りはからってもいい。」


「わかった。『リオ!』」

「リオ!」ウリセスと初代の声が重なる。


だって他にどうしようもない。今、同期で初代と連携していたとしても、あんな余裕のある四代目に勝てるとも思えない。正直、私は勝てない戦はしない主義なのだ。だって、死んだらそれまでだもんね。


「君は初代抜きで戦うこと。その変わりそこのー彼を使うといい。」そういうと四代目が腕をふる。


「!」私の中にいたウリセス(わんこ)が光る。


「この中ではどうしても水属性は弱い。だから闇を強化した。」四代目はさらっと何でもなくそういうことをいう。


真っ黒のウリセスさんが居る。


「リオウ。」す、すみませんすみません。おそろいとか思ってませんよ。黒髪に黒目とかも似合うとか思ってませんよ。もともと黒髪ですしね。

若干黒い(肌も浅黒い)ウリセスにドキドキしながら四代目を見ると、


ウインクされた。


何、この軽薄さ加減。


「『てめぇがリオウに手を出さないっていう保証がねぇな。』」そこで初代からの指示が来る。


「複製。保管。再現。」私は左手を振り下ろす。


「おし。じゃー、まぁ適当にやってこい。壊しすぎん程度にな。」初代の影ー幽霊みたいな幻影は私から離脱して、私を見守っている。ちなみに実体ではないのでこれに危害を加えることはまずできない。


なんだかどっと疲れたが、四代目はにこりと笑っている。女王を右手に侍らして。


「らじゃー。ウリセス、行くよ。」


「おお、これ持ってけ。」初代がぶん、と投げて寄越したものを手に取る。


「……何だこれ。」見りゃわかりますよ。棍棒みたいな感じで、刃はついてないけれど、これはものすっごく危ない凶器だと私の中の何かが告げています。


黒の術の意識を少しめくってみる。


【黒の術師的 ヘレネス


属性 雷 (表面上)


なんとなく作ってみた】



いやだもう。

何ですか括弧内。


「とりあえず、行ってきます。」もう何も考えるのが嫌になったというか、これ以上聞いても無駄な気がして私はその棒を持ち走り出した。


後で脳内に初代からの追記が飛んできたけど、そんなのどうでもよかった。

その追記

ヘレネスはゼウスのところから取った。基本、雷属性だが、どの属性でも変化できるようになっている。ただし、使う人間のスペックによって変化する。

棒が基本だが、剣にも槍にもなる。三つ叉はあまり実用的ではなさそうなのでやめた。まぁ、大概属性などに左右はされないが。(なにせ威力が半端ないので。)

リオウは女の子なので身体は上手く使うと良い。(←肉弾戦に向いていないことをいっている。)


などなど。とりあえず無駄に強い武器ってことですが。私なら防具が先に欲しいですわね。

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