風の契約。
ようやく更新。
「痛ってぇえええーーーー!…んのバカ猫っ!」
初代が怒ってます。
でも、何だか微笑ましく見えてしまうのは何故かしら。
件の黒猫巨大ボス戦は、私の『ごめんねカウンター』が辛くも勝利しーその傷を癒すため、また私が代わりに引き受けようかと思ったのだけど、前回はウリセスの代替えとして引き受けたので指輪の効力には引っかからず、今回はウリセスの傷ではないため指輪の範疇でーもう一度指を切り落として着けたらどうかって初代はとんでもないことを言うのだけど、もとの元凶に責任を取って頂きました。
つまり、初代が黒猫の傷を引き受けたので始まりにもどる、ということで。
『リオとか言ったか。』黒猫はそ知らぬ顔で私の前のテーブルに飛び乗った。
『何故、攻撃しなかった?』
「リオ。」同室にいるウリセスがこちらを見る。
「と、言われてもね。」どうしようかと思っていたら、黒猫が攻撃してきて、ごめんねカウンターが発動して、それから、
わざと、この猫は倒されたように見えたのよ。
最初の攻撃は三度。
そのうち一度は強い攻撃力だったから、相殺できずに私の身体を吹き飛ばした。それから、まるで計ったようにごめんねカウンターに返される程度の攻撃で、猫はカウンターを受けていった。
どう見てもおかしいと思って、しばらく攻撃を避けてはみたのだけど。長期戦には向かないみたいで。
結局のところ、私の意志とは関係のないところで何かが動いているように見えたのだ。
「私があなたに攻撃する理由が無かったから。ちなみに、初代のしたことを返されるのはとても迷惑なので、是非とも本人にお返しくださいますようお願いします。」
「非情な弟子め。」いや、だからもともとの元凶が何を言うか。
黒猫と初代の間で険悪な空気が流れています。
「何がどうなっているのか、説明がほしいのですけど?ヒロキ、サン?」私はここぞとばかりに圧力をかける。
「っ…リオの分際で。覚えてろよ…」初代はそれは悔しそうに顔をゆがめます。何か楽しい。今、初代は電源の私から離れていたからかなり消耗しているはずで。その上猫の傷も引き受けたのだから、私が名前を呼ぶ圧力も相当効いているはずだ。顔が青白い。
「リオ、そのくらいで。」ウリセスが間に入る。なんだか大人なのにさらに大人の人から窘められ、恥ずかしくなる。
黒猫は私を見て鼻で笑ったようだった。その色違いの瞳が細められ、頭を下げる。
『契約は成った。』
瞬間、すっと胸の奥を通り抜ける風があった。
「え?」
黒猫は私の膝に飛び乗ると、のんびりとそこへ丸くなった。
『六代目黒の術師よ。我の名を聞こうか。そなたは我を何と呼ぶ。』猫が言う。
「滋利。(しげとし)」思わず浮かんだ名前を言う。
「何だそりゃ!?」初代からのツッコミが入るが、仕方ない。何か、口調が古くさいからさ。
『契約は成った。』そう言うと、猫の身体からものすごい風圧が。
「!リオ」ウリセス。スカートじゃなくて良かったよ。モンロー並に今風が吹き上げたからね。
「………初代。」私は違和感を感じて初代を見る。初代はカウチに寝そべって目を合わせない。
「あ〜、まぁ、何だな。契約できて良かったじゃねぇか。予定外の奴だが。」先ほどのことを根に持っているのか対応がそっけない。心が狭いぞ。
やっぱり。
身体を巡る鼓動が、私に知らせる。
風をいとおしいと。
滋利さんは、結局人の膝の上で寝てしまっているから、肝心の内容とか歌のこととか全く聞けないのですが。
「じゃあ、明日にはここを出るぞ。」初代はつまらなさそうに私を見ると、本格的に眠るのか目を閉じる。
「え?」
「ああ、本当は上の連中がお前に会いたいらしいんだが、王が不在でな。あいつはいつもほっつき歩いているから、今は別大陸に行っているらしい。」何ですかそれ。精霊の王様ってそんなに外に出ていていいものですか。
「次は土だ。」それ以上初代は言わなくなった。私はしばらく側にいた方がいいだろうかとアリッサたちに退出してもらい、黒の術で初代をベットへと寝かせた。
布団をかけ、その横に滋利さんを置く。
こうして初代の顔をしっかり見るのも久しぶりだ。大抵は私より早く起きているし、起きている時はいつもからかわれている。
(本当に、二十代の日本の男子なんだなぁ…)しみじみとその青白い顔を見て、そっと席を立つ。不便なので携帯用の充電器よろしく、遠隔用の小さな電源を作り、初代の枕元に置いた。
初代は私は術のカスタムに向いていないというけれど、元の世界で使い慣れたものならば、ある程度の構造さえわかればどうにか黒の術を使えることがわかった。
そして、静かに部屋を出た。
中途ですが、ここで切ります。




