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男共。

「よう。」

現れた気配が希薄なことに少し目をみはる。


「ちょっと失礼。」そう言うと男はーヒロキはウリセスにもたれかかった。

「?…顔色が悪い。」

「まぁなぁ。電源が切れそうだからな。お前、それ、リオに繋がってるな?」ヒロキは目を閉じたままウリセスに言う。

「ああ…」リオの鼓動を感じる。落ち着いてはいるが、少しだけ緊張している様子だ。

「そっから充電するからな。俺はここから動かない。お前何か来たら撃墜しておけ。」

「!それは、何かが来ると…」

「来たらの話しだ。外部からは無理だろう。リオが術をかけなおしたからな。だが、内部は別だ。それに、あの試練の間はリオは無防備になる。未のリオでは『黒の術』との平行は無理だ。扉に居たのは正解だワンコ。この扉しか入り口が無いからな。ここに入らせなければリオは守れる。」

「…あなたは平行できたのだな。」

「…まぁな。俺はグレートだし?でだ。前に話した内容だが、覚えているか?」

「!」

「これから先はリオ抜きで話す機会も少なくなるだろう。あいつが力をつけたらなおさら『心話』もできなくなる。あとはお前の覚悟次第だ。」

「前にも聞いたと思うが…、それであなたに何のメリットがあるんだ?」ウリセスは自分とさして変わらない外見の男を見下ろす。青白い顔は苦しいはずなのに、それを微塵にも感じさせないあたりやはりこの男は別格であるということか。

「老人の言うことは聞くもんだ。若造め。…単なる自己満足だよ。同じ国の者としてのよしみだ。あとはーーーーあれは俺の希望だから、だ。」

「………そうか。それならば、わかる。私にとってもリオは希望だ。」ウリセスは小さな手のひらの中の花を見つめた。




そして、その希望。


「何だこりゃ…。」


リオです。絶賛酸欠中です。

石碑は軽く動かすのも苦にならないのですが。何せ部屋の広さは限られている。限られている中で石碑を並べると、どうやっても部屋の端から端になる。

「20まで出来た…。」端から端へ並べ、試して通して並べて、また並べ。それを繰り返しているうちに、歩いた距離。


ダイエッターではないから。


そして何故だか近くに彼を感じている。

まるで何かに守られているかのように落ち着いている自分がいて。


「冴えてるなぁ…」こんなに冷静だっただろうか、自分は、と思う。

自分の中にこんな部分があったともはじめて気づいた。


「がんばろ。」頭の中でメロディを回想して、次の音を探す。熱中しすぎて食事のノックにも気づかなかったくらいだ。さすがにそれはいけないと、二度目の食事の時には扉を開け隙間から誰も居ないことを確認してから食事だけは摂ったけれど。


「水が欲しいなぁ…」呟いた。


すると何故だか身体が潤う。


「!?」何だこれ。


よく知った気配が外にある。

『黒の術』で最低限かけている『ゴメンネカウンター』そのレーダにひっかかるものが。


「ウリセス……」よく感じればその隣にも知った気配が。


「あ、初代。電源。」大丈夫かな。まぁ、大丈夫だろう初代だし。


「まったくもう。」気恥ずかしい気持で目を閉じた。


いつもいつも、そうやってあなたは私を甘やかして。


いや、あなた『たち』は。


「負けない。」




そうして、何十時間経ったのかわからないが、自分が眠ったのはわかる。

『ゴメンネカウンター』に時計機能をつけていてよかった。(つまりタイマーによる攻撃も可能)

また起きて、続きを探しはじめる。

「何の歌だろう?」1日で出来たのは50だった。残りはざっと見ても倍以上ある。

「きっと同じフレーズがあるはず。」昨日組み立てた最初の小節に同じメロディが入っていた。なら同じメロディを探せばいい。部屋は明るいが人工の光りで、窓は一切無く時計も無いから時間もわからない。


(15時か…。)

本当に時計機能をつけていてよかった。『黒の術』を使うだけの気力は無いけれど、かけっぱなしの術は有効のようだ。

「あと少し…。」なのに、出来ない。


同じメロディーといくつかの小節をつなげることはできた。だが、肝心の流れがわからない。どこからはじまってどこで終わるのか。

楽譜のように五線が引いてあるわけではないから、なおさらだ。


『うたっちゃえば。』


(!?)とっさに振り返り、『黒の術』を使えるように身構える。


「………猫?」そこには黒猫がいた。


左が緑の目、右が黄色の目。オッドアイ。

つやつやした毛並みの、すごく綺麗な猫だ。


『うたっちゃえばいいんだよ。』猫はまた言った。猫がしゃべるとか、ファンタジーすぎるけれど。


今更そんなことでいちいち驚かない。というか、ファンタジーカモン。私の読んだ小説も猫はしゃべっていた。


「リアルに、いいわ…これ。」思わずつかまえてなで回したい衝動にかられながら、我慢する。


黒猫は私が歌うのを待っているようだった。

「じゃぁ。」どうせ誰もいない。聞いている人間すら。なら、いいか。そう思って、いくつかのフレーズを口ずさみはじめた。


「!!」

その瞬間に流れ込む文字たち。

「何、これ!」

『うたには呪がある。』見たことのない文字が私の脳裏によぎる。

「これが歌詞…!?こんなもの、読めない…!」私の頭の中は今、外国語のわけのわからない文字で埋め尽くされようとしている。この曲を完成させるためにはこの歌詞をわからないと無理なのだろうか。

『呪がよめないんだね。きみはどこの子?』猫が目を細める。

「こっちが聞きたいわ!あんたこそ何!」文字を意識の隅においやってーそうしないと取り込まれてしまいそうだったー黒猫に怒鳴った。


『創世の風』ふっと文字が消えた。私頭を一度振って、ふらふらする足を叱咤して猫を見る。


「リオ。六代目『黒の術師』よ。この歌はーいえ、この曲は何なの?」この猫はただ者ではないと思った。

『「黒の術師」?あのはらぐろいんけんはかいまと同じ?』


聞きたくなかったですよ、今の後半。


「あの…、腹黒陰険破壊魔って…もしかして、黒髪で地味に綺麗で自分のことをグレートとか抜かしたりしちゃったり…します?」ああ、何だろう嫌な予感しかしないのは。


『おまえ、あれと同じか。』一気に、猫の毛が逆立ってますよ、嫌ですよ何ですこの状況ー!まるでラスボス戦!


『しょうぶだ、くろの。わたしにかてたらうたのしんじつ、おしえよう。』そして黒猫は、巨大化した。



「…っ初代のばかーーーーーーーーーーーーーーっ」






「っくしゅ。冷えやがるなぁ。」二日目、夜、扉の外にてヒロキは毛布を抱き込みウリセスにもたれかかっていた。

「…少し波紋が…」ウリセスが手の中の花弁を見て言う。

「まぁ…大丈夫だろ。動物愛護なんちゃらに訴えられることはこの世界では無いからな。」ヒロキはおそらく中で繰り広げられているだろうことを想像して言う。

「…今は動けない状態か?」ウリセスはヒロキに言う。

「確認か?動けないこともないが。この程度の扉お前一人で守れなくてこれからどうする?」

「いや、私が常に触れていなければならないか、と確認したかった。」

「俺だって男より女の方が触るのはいいが。それ寄越せばいいぞ。動いても。」ヒロキはウリセスの手の中にある花を見て言う。

「そうか。ならばこれを。」ウリセスはヒロキに花を手渡す。

「来たか。」闇夜に慣れた瞳は廊下の先を見る。

「エル・ブリッド。」低くウリセスがささやき、扉の下部が凍りつく。

「さ〜み〜ぃな〜。証言は取れよ。」ヒロキはウリセスに言う。ヒロキならば捕らえた後拷問し、一番有益な情報を得るよう全員捕獲するが、この男はどうするだろう。そんな興味もあった。

ウリセスは立ち上がり、まだ来ぬ侵入者に備えた。












背景描写が少なくてすみません。

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