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水界へ。

こんにちは、こんばんは、おはようございます。

リオです。


現在、水の精霊世界-精霊界へ来ています。


ここまでの流れをざっと説明すると。


砦の池から、水門を開けて、無理やり精霊世界に入ったはいいが、うっかり侵入者対策の精霊さんたちとバトルして勝ってしまったので、また逃げなくてはならず、その後、事情を話したウリセスの知り合い―本人曰く、そんな関係ではないらしい―の精霊にどうにか取り次いでもらい、水の精霊王がいるだろう居城まで着ました。


なんとか。



とりあえず、護衛な人たちと精霊さんたちにじろじろ見られ、噂話も激しくされ、それが丸き声聞こえな上、ウリセスひっぱってきてるから、さらに問題有りで、なんて言うか。



(こんなお家騒動に巻き込むんじゃない―――――!!!)



と言ってやりたいが言えないフラストレーション。



噂話を総括すると、水の精霊なお姫様が人の世界へウリセス探しに旅立ったとか。

しかも、それが恋だとか。

相手がウリセスだとか。

そして私は何故かウリセスのイイ人と思われ、危うい三角関係。

ウリセスは王に許しを貰うため、今回訪れたのだとか。



………、どこのメロドラマだ。



夢、色々壊れました。


綺麗すぎる世界と綺麗な住人なのに、中身はこんなです。

私の小さな乙女心を返して。


そんな話しを無視するウリセスにひっぱられ、さらにぞろぞろと後から人が増えていき、ようやく通された部屋の扉が閉まってほっと一息。


何あの有象無象。


謁見の間みたいなものがあるのかと思ったらそうではなく、普通に居住する場所があって、そこの一室に通された。


水の精霊世界は、キラキラしている。窓ガラスはなくて、ちょうど古代の神殿のようにバルコニーからすぐに外を見れるようになっている。

そして、そこには水が充満していて、普通の人間なら即、溺死するらしい。


私は、相変わらず『黒の術』によって守られている。

そして、ぼうと外の美しい水の流れを見ていたら部屋に入ってきた気配にも気づかなかった。


「お気に召したかな。」低く通る声は静かで、それでいて嫌味がない。


「王…」ウリセスが跪く。





き、きらきら第三号がいます…………!!!!



美しかった。美しいですよ!


美形は見慣れていたはずなんですが、いやいやいやもう、目が麻痺してくるのかもしれませんね。何このロマンスグレー。


美形なお兄さんは沢山見てますが、美形なおじさまというのは、はじめてかもしれません。

全身が煌びやかに眩しくなく光輝いていて、光の加減でその身体を覆う水の色がきらきら煌いている。

水をまとっている、といえばいいんだろうかこれは。ものすごい透明度の高い水が、色んな光を反射して構成されている、人の姿なのに人ならざるもの。

なのに、表情は外国のロマンスグレーなおじさま。

なんだか胸がきゅん、とします。何でしょうこれ。


「リオ。」低いウリセスの声で我に帰る。


「はじめまして…水の精霊王、私は六代目『黒の術師』リオです。実はお返ししたいものがありまして………『開幕』」私は『どこボックス』から取り出した立方体を目の前に置き、と黒い『伽藍』のその黒で覆われた部分だけを幕のようにするすると消していく。


そうすると、中身が見えるわけで。


「次代様……!!」王の側にいた側近たちから声が上がる。


ちなみに、皆嫌味なくらい美形です。側近その1もその2もです。


そう。この中には例の水精霊テオさんがいる。本人はぎろり、とこちらを睨むとふてくされたように立方体の中で座り込んでいた。


「理由もわからずいきなり襲われたのですが、何か心当たりはありますか?」


「貴様…早く解放しろ…!」側近1に声高く批難されてます。まぁ当然ですが。


「誓って、私が人質にしたわけじゃありませんからね。そんな必要ありませんし。」


と、そこでそれまで黙っていた王が、突然笑い出した。


「王!?」


「……すまない、リオ、と言ったな、不肖のうちの娘を届けてくれてありがとう。できれば解放してくれるとありがたいのだが。」




は?



「娘!?」思わず王とテオを見比べる。そう言われてみれば、似ているかもしれない。

いや、それよりも…


「女の子だったの…!?」思わず見てしまう、胸。ぺったんこです(自分を棚にあげるけど)。どう考えても宝塚の男役より、男にしか見えない。これで、女!?


「リオ。」ウリセスが促すので、はっとなり『伽藍』を解く。途端、テオさんは部屋をものすごい勢いで出て行った。


「ええ!?」驚いている私を横目に王様は笑い続け、部下を下げる。残ったのは、私とウリセスと、王様。


「それで、『黒の術師』は娘を届けに来ただけなのかな?」そこから、水の精霊王の目が深く美しい蒼に変わっていく。


ぞくり、とする。この気配はさっきまでの王ではない。そうこれこそ、


人ならざるモノの気配。


私は気合を入れて向き合う。


「地上での異変をご存知でしょうか。」


「……どの、異変だね?」


「精霊の『核』を奪い、理を曲げ術を使う者がいます。」ウリセスが言う。


「……お前が来るくらいだ、酷い状態なのだろうな。」


「……御前を汚すこと、お許しいただきたい。一時的に『閉門』していただけないか。」


「『閉門』?」私はウリセスの顔を見る。


「穏やかではないね。『閉門』となれば関係のない人間にも影響を及ぼす。」


閉門とは文字通り水界の門を閉めることで、これによって水の精霊術は完全に人間世界では使えなくなる。まぁ、ガスの元栓を閉めたような感じ?


「単独で人間世界へ出ている精霊を締め出すと、後々弊害が出る。いくらお前といえども無理な相談だね。それに……そんなことをすればお前自身も無事ではすまない

だろうに。」


え!?

思わずウリセスを見てしまうが顔色は変わらない。


通常、精霊は精霊世界から人間世界へやってくる。それは術師による使役であったり形は様々だ。基本的に精霊は『核』となる部分が精霊世界にある。だから、影を人間世界へ置いているようなもので、通常なら『核』を奪われることはまずない。


この点からも、敵方に人間以外の…精霊が関わっている可能性は高い。何故なら、『核』を奪うには、同じ世界へ界位を合わせる必要があり、それも並大抵の人間では不可能に近かった。


ウリセスは二つの世界に属している。そのため、界位を合わせるのは容易いが、一つの世界を封じてしまった場合、そこから得ている彼の半分が失われるということになる。


そうなった時に彼自身の存在を維持続けることはとても困難になってしまう。


「それに、水属性に於いて、お前より右に出るものが居るとも思えん。」王が続ける。


どうやら、ウリセスはかなりの力の持ち主らしい。


「姫君には及びません。」


「そうそう…、あれが失礼をしたね。そろそろ身を固めて欲しいから、候補をいくつか出したうちに、その、お前がいてね。」


「………。」うわ、ウリセスが無言に怖いです。何でしょうこれ。


「…お前を推薦したのは、ウィンツァーだ。せっかく来たのだ、顔くらい出して行け。」


こうして、最初の交渉は失敗に終わったのでした。




「こう、水世界にも規定とかないの?犯罪者とか取り締まる機関とかさ!」ぱらぱらと『黒の総本』をめくる。



『無いな。……そもそも人間と契約する時点でいくらかの規制は発生する。お互いにな。それを越えた上での調停は、ウリセスの領域だし、あくまで人間は精霊を『使わせて』もらっている、だけだからな。それで被害が出ようが、知ったことじゃねぇ。』



うわぁ、何ですその無責任さ。


現在、水の城に滞在中。早く帰るべきなんだろうけど、水を嫌味なくらい扱う相手に対し、こっちは何の情報もない。この状態じゃ帰っても力技しか使えないし。


ウリセスはウィンツァーさんとかいう人のところへ行っている。


思ったより彼をとりまく人々が優しくてほっとする。


「よかった……」


『そら、あれからずいぶん経つ。いまだにあの頃を覚えているやつも少ないだろうしな。あの半精霊は意地になってるだけだ。気兼ねなく帰ってくりゃいいものを。』


初代がめずらしくいいことを言う。(明日は雨だろうか。いや、明日も、か。)


『傷なんてぇものは自分が気にするほど人は気にしちぁいねえもんだ。今日より明日は変わるし、同じ明日は無い。』


うわ、何ですそのかっこつけ具合。


『そう気づいた時には、喪ってるものもあるってことだ。』


「初代……」


この人は、いったいどのくらいの大切なものを喪ってきたのだろう。

私の想像もつかないような経験をしてきたのだろう。その中には初代の大切な人もいたんだろうか?きっと、いただろう。




コンコン、と音がして返事をすると誰かが入ってくる。


「!」思わず構えてしまう。


「襲わないから、入っていい?」


それは、テオさんだった。

更新遅くてすいません。

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