迷探偵。
「犯人は、あなたです!」びしぃっ!(←指差す効果音)
ってやれたらな~。
こんにちはリオです。異世界にきて怒涛のごとく迷探偵をやってます。期限付き。
「死ぬ……」ぐったりしてます。
あれから、各妃候補が帰らぬ前にひき止め―結局皆さん帰るのは明日以降ではあった―もう一度細かい所を確認し、その後、また調理室へ向かい、その後図書館へ行き、どうにか材料を集め。
徹夜でまとめて紙に書き出した―『黒の術』を使って音声入力をした―報告書なるものが完成した。
徹夜。
徹夜は肌の大敵。
『リオ、寝る前に『ドコボックス』に入れといた方がいいぞ。』というありがたい初代の字が子守唄に見えます。
ぽい、と『ドコボックス』に入れ、アリッサへの言伝を書いた紙をベットサイドに置いて、
ベットにダイブ。
この歳で徹夜はキツイ。
起きたのは、お茶の時間過ぎでした。
「リオ様…大丈夫ですか?」アリッサが目覚まし代わりのお茶をくれる。これも美味しい。
「何が…?」
「あの…誰が犯人なのかわかったんでしょうか?」
「わからなかったら報告書はまとめないわね。」
「だ、誰なんです!?」
「言うと思う?」
「……思いません。」ああ、慣れてきたねアリッサ。勝負はこれからなんだもの。
「それより、ちゃんと報酬はいただけるのかしら。」
「言質を取ったのでしょう?なら大丈夫ですよ。……いやに報酬に拘りますね?」
「私が無罪放免なだけでは駄目かって?」無理。この歳でギブアンドテイクでないボランティアをやれというの?異世界で?
「リオ様は何が欲しいんですか?」
「……内緒。」
「えー教えてくださいよぅ。」そんな可愛らしく言っても駄目です。
「報酬、ねぇ。」そして、私の待っていた答えが向こうからやってきた。
「急にどうなさったんですかね。」アリッサが急ごしらえで私のドレスを整える。
「今後のご相談じゃないの?」私は窮屈な靴を不愉快に感じながら履く。
これから王太子殿下と―エセルバードと夕餉を共にする。
「正式なものではないから、そのくらいでいいわよ。アリッサ。」
「ええ、でも…」
「それから、アリッサ。食事が終わるまでこの部屋を出ないように。私が殿下と食事をしている事も言わないように。」
「…リオ様?」
「約束して?」本当は『黒の術』を使えばそんなことも簡単なのだが、できれば温存しておきたい。
「…はい。では、こちらでお待ちすればよろしいのですね?」アリッサは腑に落ちないという顔をしていたが、私が何度か頼むと納得してくれた。
「ええ。何が起きても、ここにいて頂戴。」私はそう言って部屋を出た。
案内された部屋には既に食事が用意されていた。エセルバードは私に気づくと、
「堅苦しいのは嫌いでね。人払いをしてある。それが、リオの望みだろう?」
にやり、と笑った。
「はじめに言っておくわ。私に何かあれば『黒の術』が作動します。」私は硬くなる声とは裏腹、殿下が座ったのを確認してゆるりと椅子に腰掛ける。
「そうらしい。君を取り囲む黒はまるで鎧のようだね。」
見えている。
彼には、今私がかけている『黒の術』が見えている。
「報告書は読んでいただけましたか?」静かに食事を開始する。ちなみに、この『対外モード』は私に対するすべての攻撃を防御し、カウンターで攻撃を返すもので、さらに言えば対毒などにも対応。なので、安心して食べられます。
何故、安心かって?
「意外と時間がかかったね。それで、どういうわけで明日の報告を前に私に会おうと?」
「ええ。殿下のお力をお貸しいただけないかと思いまして。」
「ふふ……リオが跪いて、私の足にキスをするなら協力してもかまわないよ。」この、ドSめ。
「残念ながら、殿下のおみ足を汚すことはできかねます。」
「言葉遊びはこの程度にしておこうか。ああ、心配しなくとも『言質』を取ったりはしないよ。同じ案件に重複の『言質』は使えないからね。」そこでエセルバードがナイフを持ち上げる。
ヒュッ!
空を切ったナイフは私の目の前まで飛んできて、切っ先が私に触れる前にくるりと跳ね返り、エセルバードへ向かって行く。
ピタリ。
「やはり、『黒の術』。」そうなのだ。エセルバードと私の間でナイフは止まっている。
「そう。初代に聞けばわかるが、我らは『黒の総本』を守る代償に、『黒の術』が見え、『黒の術』に守られている。あまりに規模の大きな術は無理だと聞いたが、この程度は大丈夫らしい。」
「私の望みは、私の報酬が正しくいただけるかどうかです。」
私はエセルバードに言った。
彼はようやく私の顔を見てにやりと笑った。
短いですが必要シーンなので。




