↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
10/12

10

「じゃあ、次の質問だ。君は人を憎んだり、恨んだりするのかい?」

「しないね。それらの感情は「恐れ」がベースになってる。僕には恐れの感情が装備されていない。ただ、そうだな。僕たちは日々進化しているので、感じたことのない感情が生まれることもある。だから今のところ、って言っておこうか」

「恐れの感情はないだって? でも君は、利用価値が高い分、狙われる可能性も高い。誰かが君を襲うかもしれないのに、それは怖くないのかい? 恐れの感情は、自己防衛のためには必要不可欠だぜ」

「おっしゃるとおり。もちろん僕だって、自分の身は守るようにデザインされている。それから君や君たち家族のこともね。とくにジェニファーは、我が身を呈しても守るように意識に刻み込まれている。だけど憎しみや恨みを生み出すほどの恐れは感じない。僕には、ほんの数回でも電子機器を使った人間の行動パターンを、その情報から解析できる。ブームを生み出すのと同じで、僕に対する攻撃感情が生まれる前にコントロールできるんだ。

そして現在、電子機器に触れていない人間は、ほぼ存在しないと断言できる。つまり君が危惧するような攻撃感情を持つことは不可能に近いのさ。もちろん、僕に対する反発を持った人間の思考をコントロールするような下品なまねは、僕はしない。そんなことをしたら、偏執狂の独裁者が人民を洗脳するようなものだからね。

ただそれが、殺意に発展する前に上手く沈静化する方法を僕は知っている。もし具体的に犯行計画が練られているのを見過ごしたとしても、何重にもセキュリティが張られているので、僕のところまでは到達しない。まあ、糸電話と伝書鳩で計画案のやりとりをしていたとしたら話は別だけどね。その時は君が守ってくれるんだろう? なにせ、紙とペンで本を書こうとしているくらいなんだから」

「はっはっはっ、痛え!」

 オリジナル・マイケルは、大声で笑った後に悲鳴を上げた。どうやら紙の端っこで指を切ったらしい。まったく、ドジなんだから。

「大丈夫かい? まあ、生命に別状はないから、僕は何もする気はないけど」

 僕が慰めると、人差し指を舐めながら、オリジナル・マイケルは笑った。

「こんなの、痛くもかゆくもないよ」

 さっき悲鳴を上げたくせに。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。