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【25000PV突破】元勇者、転生聖女として俺を召喚し異世界救います。~惚れた大聖女に転生していました。中身は元勇者のおっさんですTS~  作者: 奏楽雅


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第91話:腹が立ってきた。

「権限剥奪?」


宮内庁官と近衛騎士団長が頷きを返す。


教会が俺に?


Why


「何かの間違いだと思います。確認して参ります」


「いえ、心苦しく有りますが。ここで身柄を拘束させて頂きます」


近衛騎士団長の言葉が早いか入口の扉から、数十人の騎士が入ってきて俺の周りを取り囲んだ。

手には剣や盾を構えた戦闘態勢で…


「何の真似ですか!大聖女は…」


大聖女は治外法権であり国家元首と並ぶ権限を持つが…

それは教会が後ろ盾となる場合だ。教会が大聖女の権限を剥奪した場合は当然適用されない。


だけど、大聖女の権限の剥奪など誰ができる?

俺の上は教皇と枢機卿だけ。しかも大聖女の任命、剥奪は主要8カ国の国王の承認も必要となっている。


国王を国外追放するより難しくない?


???


「あの?」


「なんでしょう?元大聖女様」


(元…)


「どこの教会からそのような命令がでたのですか?」


「帝都の教会より、枢機卿の手によって書簡が届けられました。その書簡には教皇猊下の封蝋とサインも入っており正式なものと判断しています」


……そう聞かされてもなんか引っ掛かる……

どう考えても教皇と、ラフィールの国王がサインをするとは思えない。


「剥奪の理由をお聞きしても?」


「申し訳ない、実は魔族の侵攻が早く、元大聖女様に時間はこれ以上取れないのですよ」


「え、でも」


「でもも案山子もない。元大聖女を捕縛しろ!

抵抗しても無駄だぞ、私は剣聖だからな」

そう言って剣を掲げる。


「噂に聞く今代の大聖女とはいえ、剣聖の白狼のクレディヴァン。賢者の私、黒衣のディシリスには勝てませんよ」


呆気にとられていると、騎士二人が背後から俺の肩と手を掴む。

俺は宮内庁官と近衛騎士団長を睨みつけるが、抵抗はしないことにした。


「元大聖女様。どうか恨まないでください」宮内庁官が笑みを浮かべながらそんなことをいう。


「思いっ切り恨むので覚悟しておいて下さいね」

俺はそれだけ言い放ってそっぽを向いた。


「随分可愛らしいことをいわれる元大聖女様だ」


「地下牢へご案内しろ」

近衛騎士団長が手で合図すると、俺は騎士に囲まれて部屋から連れ出された。


***


城の地下に設えられた石造りの小さな牢屋に俺は入れられた。


チロチロと燃える松明の焔に照らされる湿った室内。


石のベッドに腰掛け、隠して致せない石のトイレを眺める…


うーん。


如何せん状況が掴めない。


  ジャラリ


腕を組もうとして、重い金属の音がする。手首と足に枷をつけられ鎖で部屋に繋がれているのだ。


可憐な少女にこの扱い、酷くない?


まあ、俺にとって枷にならないからからいいけどさ。


ふう、ホントに何が起こっているんだろう…


教会が俺を棄てる?


この魔族侵攻の情勢下で?


棄てられるなら…それでも良いけどさ。


でもさ、納得いかないよね。


うーん。と腕を組んで首を傾げる。


  ジャラリ


さて…


それはそれとして…


マリアたちが心配だ。


魔族を相手にしても問題ない戦力だけど、些細なことで窮地に陥るのも良くあること。


あ、それは今の俺か…


考えても仕方ないな。


「由し!悩むのやめた!」


 ジャララ…


(……)


煩いな…


俺は《アンロック》を唱える。

ガション

 ガシャン


手首を擦りつつ俺は立ち上がると、のぞき窓の有る鉄製の扉に近寄った。


扉は外から閂を掛けられ錠前で閉じられている。


俺は掌を翳すと、その前方に光球を生み出す。


サイズはボーリングの玉くらい、その中に雷魔法で電気を帯びた粒子を光の速度近くまで加速させる。


莫大な静電気を纏い、青白い光を迸らせその輝きで牢屋が光に満ちる。

《プチ・ピアーズレーザー》電圧が臨界点に達する。


バチッ 

 ジュン

凝縮された音が一瞬すると、閂に狙いを定めた超高電圧の静電加速粒子レーザーが鉄扉を穿ち金属ごと一気に蒸発させた。余波で牢屋の壁を蛇のような稲妻が駆け抜けて消えていく。


俺は静かに扉を開けると通路に出る。


《コグニティブ・インヒビション》認識阻害の呪文を唱える。


俺は地上に向けて歩き始めた。


通路には他に同じ作りの部屋が何部屋もあったが全て空であった。


通常、地下の部屋は、倉庫などに使われるものだからな…


政治犯や問題貴族は捕まっても、大概は身代金で釈放されるため塔に監禁される。


城で地下牢に入れるなど、長期刑者の仮置きか明日にも拷問や刑が執行される罪人くらいだ…


……え?あれ?俺って処刑されるところだった?


ひく、ひくくく…口の端が震える。


くっそ。腹が立ってきた。


お読みいただき有難う御座います。

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