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【25000PV突破】元勇者、転生聖女として俺を召喚し異世界救います。~惚れた大聖女に転生していました。中身は元勇者のおっさんですTS~  作者: 奏楽雅


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第89話:教会には一緒に行ってくださいね

「何事ですか!」

マチルダさんが毅然と、扉からワラワラ入ってきた兵士を睨みつける。


「大使は何処におられますか!

直ぐに出頭を願いたい!」


「私は公使のマチルダです。取り次ぐ前に用件を仰ってください」


「世界的最重要人物がノースランドによって誘拐された件だ!皇帝陛下が直接問いただしたいと所望されている」


「誘拐?

帝国人は誘拐しないはずですが…」


(公の人が帝国で区切るのはどうかと…)


「帝国民ではない!」


「なら問題ないじゃないですか!」


(イヤイヤイヤ。ダメでしょ)


「そうか、そうだな」


(おいおい)


「隊長今回の件は何時もと異なります!」


「そうだった。今回は異なるんだ!」

部下の言葉に隊長と呼ばれた兵士は頭を振った。


「どうしたんです?ロビーで騒々しい」

なんか階段からロマンスグレイで精悍な瞳をした貴族服の…大きなヒゲモジャドワーフみたいのが出てきた。


「ギリアム大使!」マチルダさんが叫ぶ。

(大使もこんななのか!)


「大使!皇帝陛下より火急の出頭命令です。一緒に来てください」兵士が書状を掲げ大使に告げる。


「何事なんだ」


「誘拐に関してだそうです」マチルダさんが説明する。


「主要産業だぞ。内政干渉じゃないか!」


「そうなんです」


(……ダメだツッコミが追いつかない)


エーナが手を伸ばして肩をポンポン叩いてくれた…

――ありがとう。


「おい!待て!ちょっと

引っ張るな!

おい、アァレーーーーーーーーーーーッ」


悲鳴を残して、あっという間に大使は兵士によって連れて行かれてしまった…


……


静けさの残るロビーに佇む、俺達とマチルダさんと守衛さん…


「……あ」

俺の漏れた声に視線が集まる。


「その……私たち考えてみたら、ラフィール王国の大使館に行けば良いんでした」

俺はポンと一つ手を打った。


そう言って踵を返そうとしたんだけど…

ガシッとサロメさんとマチルダさんに掴まれてしまった。


(なんで?)


***


応接室に通された、サロメさんと俺たちは手持ちぶたさにソファーに座っていた。


「海賊だけでなく、誘拐も産業でしたか…」


「はい、申し訳ありません。人は財産という考えなので…」

サロメさんが答えてくれるが、

何かこう、人は財産の意味合いが俺の知る言葉と違う気がする…


現代地球だと、企業や組織において従業員を単なる労働力ではなく、価値を生み出す価値の高い資本とした考えじゃなかったっけ…


「お待たせして申し訳ありません」


物思いに耽っているとマチルダさんが入ってきた。


「なんかこうバタバタしちゃって」


うん、バタバタの次元が違うよ。


「何か分かりましたか?」


「ギリアム大使が連行され、どうなっているのか知ろうと城に人を送りましたが情報は得られませんでした…」


「そうですか…

この状態だと教会への加盟申請も難しいかもしれませんね…」俺は感想を漏らす。


「大使でないと申請は不味いですよね…」

サロメさんが唸る。


「王城自体緊急事態のようで、ステラフィール様のご依頼だった。勇者御一行の所在や、帝国の勇者の状況も得ることができませんでした」


(うーん、ここよりラフィール王国かレムニスケート連邦の大使館の方が情報あるかな。教会とか)


「わが国を救って下さった英雄のお役に立てずすみません」


「いえ、良いんですよ。大使が連行された大変な時に無理をいいました。

……

取り敢えず帝都に来たというような情報もなかったんですよね」


「はい、流石に身分を隠されて来られてたら分かりませんが…帝都では一切勇者一行の噂は流れませんでした」


どうしたんだろう。

俺のほうが圧倒的に遅れていると思ってたんだけど。

何かあったんだろうか…


「わかりました。

ラフィール、レムニスケートの勇者に関しては、私が直接各所に聞いてきます。

…あの」


「はい、何でしょうか?」


「帝都というか、帝国の状況を教えて頂けませんか?戦況とか…」

現状を知るため、俺は聞いてみた。

最後の情報がグレース皇女の勇者の一人が魔族に連れ去られ、一人が負傷で帝都に撤退したところまでなんだよな。たぶんこの情報って結構前のものだろうし…


「…戦況は芳しくありません」

マチルダさんはそういうと視線を落とした。


「帝国民には情報規制されていますが、勇者のいた戦線が瓦解し、南東から魔族の軍団が迫っています」


「情報規制ですか…」


「商人などからある程度広がり始めていますが、表立って流布しようとする人は捕まってしまいます。

そのため帝都の雰囲気も悪く…」


「そうですか…」


「実際の戦場がどこまで下がっているのか…

教会は掴んでいると思います」


(教会には専門の部署があるからな…)


「どの道教会には行くので聞いてみます」


「はい、これからどうされる予定なんですか?」


「勇者たちと合流するつもりだったのですが…まだ着いていないとなると探しに行かなければいけません」


「今日は暗くなって来ました、迎賓室を用意しています。本日はご逗留ください」


「…はい」

(止められなければ、ラフィールの大使館に行ったのに…)


「大聖女様、教会には一緒に行ってくださいね」

サロメさんに念押しされてしまった。


お読みいただき有難う御座います。

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