↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【25000PV突破】元勇者、転生聖女として俺を召喚し異世界救います。~惚れた大聖女に転生していました。中身は元勇者のおっさんですTS~  作者: 奏楽雅


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

85/94

第85話:コスプレちゃうわ!

「あっ…」


路地にはいると、直ぐに男たちに腕を取られた。


「お前なぜ隷属の首輪をしていない!」


「…必要ないので」


「どういう意味だ?まあいい、直ぐに俺たちの首輪と奴隷紋をつけてやるよ」


「…スネル奴隷商のかたですか?」


「……」男は睨むだけで口を噤んだ。

ダンマリか?


「私の仲間は無事ですか?」


「お前が大声も出さず大人しくしていれば無事は保証される。大事な商品だからな。まさか希少なエルフがもう一匹いるとはな」


「傷一つでもつけたら許しませんよ」


「フッ威勢がいいな。美人に睨まれるとゾクゾクするぜ。あとで俺がお前を検品してやるよ」


エルウィンは心優しいから従ったんだろうな、そうでもなければ天災級の吸血鬼だ。コイツラをいつでも血祭りにできたろうに。

…申し訳ないな、あとで謝ろう。


***


窓のない倉庫のような場所に連れ込まれる。


人目につかないように要所に人を配置しているようだった。


中には窓がないため薄暗く、一応は空気取り入れ用にレンガを抜いた穴は何箇所か設けられているが、湿気と籠もった匂いが充満していた。

伝染病が発生したら最後だぞここ。


窓がないのは脱走防止と、外から見られないため、声が漏れないためなんだろう…

これだけを見ても、真っ当な奴隷商でないことが伺えた。


「おい、立ち止まるな付いて来い」


教会で色々聞いたけど面倒くさいんで、普通にルルリザクルティエをお買い上げして、大人しく帰ろうと思ってたんだけどな…


できなくなっちゃったじゃないか…

おバカさんたちめ。


後ろから押されつつそんなことを考える。


左右に幾つも扉のある通路を進むと突き当りに両開きの扉がありそこに通される。


サロメさん、エルウィン、メルメルクルティエが虚ろな目をして、グッタリとソファーに座らせられていた。


「サロメさん、エルウィンさん、メルメルクルティエさん!」俺は叫ぶと駆け出していた。

(よくもよくも…)

サロメさんの首に手を当て、瞳孔を覗き込む。

(あれ…?)

エルウィンも同じように看る。


「おい。静かにしろ!大事な商品だからな。薬で暴れて傷つかないようにしただけだ」


「なぜ、こんなことを!」


「愚問だな。買う人がいるなら、どんな困難があっても仕入れるのが商人だ」


「商人の矜持みたいに言わないでください!

やっぱり貴方の仕業ですか!」


俺の質問に答えたのは、いつの間にか扉の前に立っていたスネルだった。

よく出てきたな、顔を出さずに済ますと思っていたが…


「エルフが、奴隷紋もつけていない美女三人の技術奴隷を連れて街に来たという情報は掴んでいた。主人のエルフは貴族でもなければ商人でもない。どこぞの里から出てきた風だとな」


(衛兵とズブズブならそうね…)


「まあ、情報があっても見つからないと思っていたが、なんとお前たちの方から現れた。これぞ神の差配…そう感じたよ」

大仰に両手を広げて見せるスネル。


「…そんな神はいないと思います」


「ふっ。先ずは病気とかないか身体検査をさせてもらおうか。品質管理は商人の義務だからな。

初物かどうかで、値段に10倍差が出そうな商品だし念入りにしないといけないな」


男たち二人が俺の腋をとって動けなくする。

他の男達も同じようにして、サロメさん、エルウィン、メルメルクルティエを立たせた。


ルルリザクルティエが人質という状況だから逆らえないと思って!


「しかし、お前…人とは思えない美貌だな」

(当然だステラだぞ)


「それに、この娘も」と言ってエルウィンを指さす。

エルウィンの口角が上がり、サロメさんの眉間に皺が寄った気がする。


「おや?」


視線を俺に戻したスネルが、腰帯に差した手形を入れた封筒に気づいたようだ。


「スネルさんは、領主ともお繋がりがあるとか?」

視線に気づきながら俺は質問を投げかける。


スネルが俺の腰へと手を伸ばす。

「ああ、この街では俺は治外法権に近いぞ、逆らっても無駄だ。俺はこの街にいる限り法に裁かれることはない」


「ここの領主は子爵とか聞きましたが」


「そうだが?」

スネルは俺の腰帯から封筒を抜き取る。


「魔族との戦時下。教会と子爵…どちらが立場が上かわかりますか?」


「……何かその質問に意味はあるのか?」


封筒を開け、中に入った三つ折りの証書の手形を取り出して開く。


「お前、本当に金を用意できたのか?」

数字に目を落としたスネルが俺を見る。


「用意するといったでしょ」

信じてなかったの?


ガヤガヤ。

「おい!」

「何だ貴様らは!」

「勝手に入るな!」


背後…入口付近で大きな音と人が揉み合う声が聞こえてくる。

「何事だ!」

スネルが鬱陶しそうに怒鳴った。


「査察です!」

スネルの声に扉から飛び込んできた男が叫ぶ。


「バカな。この街の衛兵と領主は味方だぞ」


「きょ、教会です。教会の諜報部が動きました」


「教会諜報部?あそこには何の権限もないはずだぞ!」


「それは、通常業務の時です」


「通常?」


「教会の諜報部は状況により3つの職務職権を有します」


スネルが怪訝な顔をする。


「それは諜報、査察、執行です。

教会は魔族戦との実行部隊である聖女が目立っていますが、

各国家が各地の戦線に兵士を送っている現在。

各国家からの依頼として治安維持と…貴族や領主の不正に対する監視、その対策業務も担っています。

国民がバカな領主のせいで国家に不満を抱いては魔族と戦えませんから」


「知らんぞそんなこと…」


俺はフッと鼻で笑う。

(だって秘匿事項ですからね)


「さらに教会には優先事項があります」


「は?」


「聖女と教皇を護る事です」


「お前は聖女ではないだろう…?コスプレ…」

スネルは俺の顔を見たまま動きを止めた。


「ここね開けなさい!」


ドヴァン!


両開きの扉が蹴破られ、シスターたちがワラワラ入って来た。

さっきの教会のシスターたちだ。


「ここは完全に制圧しました!動かないで!」


「ッ…まだだ、こちらには人質がいるんだ!」


そういって振り向いたスネルの動きが固まる。


エルウィンによって男たちは制圧されていた。

あたり前だ、吸血鬼の領力は俺を遥かに凌駕するくらいなのだから。


「もう良いですよね?」

とエルウィンが小首を傾げ聞いてくる。俺は頷いた。


因みに、サロメさんとエルウィンには薬が効いていなかった。

たぶんサロメさんは薬物に対する慣れ?エルウィンは種族の違いによるものだろう。

ついでに首に手を添えたときに隷属ギロチンの首輪も外してある。


メルメルはマジでらりってるけどね…

そのメルメルはサロメさんに支えられている。


「何故だ、何故いままで動かなかった教会が突然動いた!」


「あなたが手を出したお方が誰だかわかってないんですか?」

シスターたちの後ろから司祭が姿を現わす。


「は?」


「その手に持った手形のサインをご覧なさい」


「ステラフィール・ローゼマイヤー…?」


「あなたもご存じのはずですよ、今代の大聖女の名くらい」


「大聖女?大聖女?ステラフィール?」

スネルは自分の口を突いた言葉と、手形の名前を見比べる。


「まさか…まさか…このコスプレ奴隷が?」

コスプレちゃうわ!



お読みいただき有難う御座います。

評価・ブックマーク・感想・レビューなどアクション頂けると励みになります。

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。