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【25000PV突破】元勇者、転生聖女として俺を召喚し異世界救います。~惚れた大聖女に転生していました。中身は元勇者のおっさんですTS~  作者: 奏楽雅


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第82話:コスプレ奴隷

「取り敢えずです。ルルリザクルティエさんが奴隷落ちしているということがわかりました」


俺は人差し指を立ててそういった。

衛兵から逃げるため、高い建物の屋根の上で話をしている。


「そうだな、奴隷になる巫女など聞いたことがない」


「グッ」

メルメルクルティエの言葉が、大聖女で奴隷になった俺の胸に突き刺さり大きくよろめく。


「大丈夫ですか大聖女様」


そんな俺をサロメさんとエルウィンが支えてくれた。


「だ、だだだだ、大丈夫です…」


「まったく、使命を忘れて余計なことをするから」


「ガハァ」


「ステラさん。気をしっかり持って」


「死なないで大聖女様!」


いや、こんなことでは死なないけど、ライフは0になった。


「そ、それで、どうしますか?」

12ラウンドを戦ったボクサーのようになった俺は声をひねり出す。


「奴隷落ちしたルルリザクルティエを買うお金はない…」


「お金自体持っていらしゃいませんものね…」


「ぐぅ」

あ。俺の言葉が刺さったようで、メルメルクルティエがよろめいた。


「別に貧乏で持っていないわけではない」


「ですが、それではルルリザクルティエさんは取り戻せませんよ」


「ぐぐぐぐぐ」


「…奴隷商を当たってみましょうか?」


西の奴隷商は中央広場と違い、店舗を構えた店がいくつも並んでいた。


一見普通の屋敷のようだが、看板が掲げられている。

扉の前には呼び込みではないが、清潔そうな身なりの初老のドアマンが立っていた。


メルメルクルティエには、露天でスカーフを買って、ヘッドスカーフとして目元以外の顔と耳を隠してもらった。

ドアマンには俺が話しかける。


「すみません。こちらにエルフの少女は入ってきていませんか?」


「いらっしゃいませ。お嬢様。

エルフはここ暫く入ってきておりません。個体数の少ない種族ですので常時は取り扱っておりません」

ドアマンは丁寧な対応だった。店の品位がわかる。


「この街で扱っているお店はご存知ないですか?最近奴隷落ちしたと思うのですが…」


「窃盗系の犯罪奴隷ですね。

それでしたら、街から卸されるお店がございます」


「お教えいただくことは?」


「構いませんよ」

そういって微笑む。


「この街で一番高い教会は見えますか?」

そういって、街の中心部を指差す。

4本の尖塔のある青い屋根の教会が見える。

俺は頷いた。


「ここと、あの教会のちょうど真ん中に、白い宮殿のような門構えの屋敷があります。そこが犯罪者払い下げの奴隷商になります」


「ありがとうございます。行ってみます」

そういって俺はカーテシーを行うと、微笑みながら「お気をつけて聖女様」と忠告された。


気をつけて?か…そういうお店ということか…


親切なドアマンに従い教会に向かって歩く。程なく屋敷の前にさしかかる。


途中が歓楽街になるため、メルメルクルティエとエルウィンは辛そうだった。嗅覚、聴覚、視覚は種族依存が大きいから我慢してもらうしかない。


そこは門構えはいたく立派だが、ドアマンの二人は品位がなかった。


二人は身長が異なるが、猫背に無精髭、噛みたばこを咥え、手はポケットという姿勢は同じであった。


近寄ればいやらしい下卑た視線を向けてくる。

中央の奴隷商のほうが商品として見ていただけマシに思える。


「これは美しいお嬢さ…ん?聖女?いや、奴隷?コスプレ奴隷?」

ちゃうわ!


「……すみません。こちらにエルフの少女は入ってきていませんか?」


「エルフの奴隷?お前知ってるか?」

小さい方が大きい方に聞く。


「確か昨日、エルフの窃盗犯が払い下げられて来たはずです」


「いるらしいぞ。買うのか?でもお前ら奴隷だろ」


(くっ)


「今は確認だけしてくるように申し使っています。目的の人物であれば直ぐに用立てて参ります」


「ふぅん。まあお前と交換でも良さそうだものな」


俺の顎を曲げた人差し指の上に乗せて前後左右に動かす。


ぐぐぐぐぐっ

我慢だ俺!


「良いだろう、中へ通そう。おい、連れて行ってやれ」


「お前たちついて来い」

大きい方は頷くと俺達に顎で指示する。


客でも奴隷は奴隷扱いかここは!

口惜しいが大きい方に黙ってついて行くしかなかった。


館の中に入ると、エントランスには複数の従業員と、案内係用のカウンターが設けられていた。


「コスプレ奴隷だがお客様らしい。応対を頼む」

ドアマンが、受付の…二十代後半の女性に取り次ぐ。コスプレちゃうわ!


「畏まりました。

本日はどのような商品をお求めですか?」


「…最近エルフが入荷されたと聞いてきました」


「エルフですね」

受付の女性はパラパラと手元の台帳をめくる。


「大変申し訳ありません」

受付嬢があるページに目を落とすといきなり謝ってきた。


「い、いないのですか?」


「いえ、こちらのエルフは販売することが出来ません」


「売れない?もう売れてしまったとか?」


「いえ、そうではありませんが、オークションにかけられることとなっており通常の販売が出来ないのです」


「オークション?競売ですか?軽犯罪奴隷は期間奴隷で所有権のない単純労働奴隷になるのでは?」


受付嬢の言った通常の販売とは。


奴隷には、所有権の発生する永久奴隷の売買と、所有権の発生しない使用権を販売する期間奴隷がある。後者は基本的に労働力の販売となる。同意なくしてエッチィことも不可だ。


労働により負債と刑罰に相当する金額を返済すれば解放される。


そして競売は所有権の発生する永久奴隷を扱う。コスト削減のための短期雇用をつり上げて買うほど酔狂なものはいまい。


「このエルフは、当局より永久奴隷として払い下げられています」


「エルフは無銭飲食や万引きで捕まり、期間奴隷に落とされるのでは?」


「通常はそうですが…」

受付嬢が困惑の表情を浮かべる。


「お客様如何いたしました?」

背後から声がかかる。

振り向くと身なりの良い、小太りの男が立っていた。


「スネル様。こちらのお客様が先日のエルフをご希望で…」

スネルと呼ばれた男は、眉をピクリと動かす。


「エルフをご所望ですか?

大変申し訳ございません。

当店が入荷したエルフはオークションにかけることになっております」


「無銭飲食や万引きで永久奴隷はおかしくないですか?」


「通常の無銭飲食や万引きならそうでしょう。

ですが、今回入荷したエルフの罪はご存知で?」


「……いえ」

俺は仲間を見るが首を振られた、そりゃそうだ。


「20店舗の無銭飲食と、5店舗の宝飾店の万引きによる罪です」


「……え?」



お読みいただき有難う御座います。

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