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【15000PV突破】元勇者、転生聖女として俺を召喚し異世界救います。~惚れた大聖女に転生していました。中身は元勇者のおっさんですTS~  作者: 奏楽雅


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第69話:婚約者である君を手に掛けたくない

ミロクさん…


エーナがジッと俺のことを見上げている。

心配してくれているのか?

『嫁よ困窮しておるのか?心が騒いでおるぞ』

ごめん、大丈夫だから。


「ミロクさん。すみません…何のことだか」

俺はそれだけを返した。


「……

そうか」


俺は未だ自身をグレーにしておく判断をする。

これは俺というより、なぜだろうかステラの判断な気がした。


「ミロクさん。この奇病の件も、イレギュラーなのですか?」


「あ、ああ、そうじゃ」

先程の俺の答えに、思うところがあるみたいだ。申し訳ないと思う。いつか語り合いたい。だが、それは今ではない…そんな気がした。


ふう。


「もう暗くなります。一旦城に帰りますしょう」


サロメと合流し帰り支度を始める、支度といってもサロメの広げていた試薬の片付けくらいだが…


試薬の結果は酸素濃度は問題なし。Phも中性から弱酸性。汚れは「王都の水より何倍も綺麗です」だそうだ。


科学的には、問題なしでいいだろう。見えない、確認されていないものの可能性もあるが、それを確認する手立てがなければ同じことだよな。


「すみません」

(え?なんであやまるの?)

「いえ、分析有難うございました。助かりました」


「そうですか?」

(なんでかな、サロメさんは優秀なのに自信がなくて庇護欲をくすぐられる)


「エーナお願い」


エーナが光を放つと、少女形態からユニコーンへとモードチェンジする。


「エーナ?来るときより大きくない?」

軽自動車から3ナンバーくらいの違いがあった。

『うむ、来るとき重く感じたからな、調整してみた』

便利だなお前…

お願いすれば第四形態とかいって巨大ロボ(ゴーレム)にでもなりそうだな。

『……』

(……)


ま、まあ、まあいい


太陽が沈み、周囲は既に暗くなっていた。

北緯が高いせいか、月が地平線上にあって、森を切り開いた村だと光が届きにくい。


急ごうとみんなを促そうとすると


ザザザザザザァー

そのとき、森の木が揺れた。


ヒヒヒヒーン

エーナが嘶く。


「なんじゃ…ぐ」ミロクが膝をつき

「ああああああああ」サロメが恐慌に陥る


俺の身すら痺れさせるような

強大な気配が周囲を通り過ぎた。


(なんだ!?)


覚えのある感覚…


「これは…

ミロクさん、サロメさん早く…早く、エーナに。エーナに乗ってください!」

「あ、ああ、ああ」

ミロクは答えてくれたが、サロメはガチガチと歯を鳴らして、身動きできないでいるのを補助して、エーナに騎乗させる。


「エーナ!二人を連れて王城に戻って!」


『よ、嫁はどうするつもりなのじゃ』


「様子を見てきます、そうですね…朝になったら迎えに来てください」


『そんなの無茶じゃ!』


「大丈夫だから。ね、お願い行って!」


と可哀想だが、エーナを蹴り飛ばして飛び立たせる。


『酷いのじゃーーー朝には迎えに来るから絶対無事でいるのじゃぞーーー!』


俺は手を振ってそれに応える。


さて…


目を閉じて気配の元を探る…


距離は6キロ程度…


俺は山方向の森へと身を躍らせる。


***


移動している?


(追われているのか?)


一つの気配に、複数の気配が迫っている。


どういう経緯なのか…


(様子だけ探るのが吉かな?)


はしたなくも、たくし上げた聖女服の裾を掴み上げながら俺は速度を上げた。


***


《ハイド・エクステンス 》存在を隠す魔法。


一切の音も気配もさせず、逃げている者へと距離を詰める。


既に尋常ではない、人の能力を超えた速度で走っていることがわかっていた。


追う者との距離は、2キロ程は離れているが、立ち止まれば2分で追いつかれる差しかない。


つまり彼らは、人間ではない。


俺や勇者の類の魔法補助を使っているか、そういう存在ということだ。


そして…俺の知るこの気配は……


エドヴァン・ド・ブランシェ…

俺の友だった吸血鬼。

勇者時代は何かと気にかけてくて、野戦とダンジョンでは最強の戦友だった。

奴は最後の戦いで俺を守るために大きく傷つき、自領で眠りについた。

眠りにつく前、「必ずまた会おう」と約束した。

結局俺は現世で死んでしまい果たせぬ約束となってしまった。


その気配が追う側の中にいるみたいだ。


今はまだ勇者時代の惺とも出会っていない頃のはず。しかも今の俺はステラフィール。


どんな出会いになるのだろうか…



(あ、ヤバイ!)


逃げている気配がコケた!


急ぐ、急ぐ…


俺は追う者より先に、追われる者を見つけ、ほど近い木に身を潜ませた。


コケた者を観察する。


色白を越えてうっすら青みがかったように見える肌、尖った耳、そして赤い瞳。

それは吸血鬼の特徴だ。

容貌は俺に劣るものの、長い金色の髪を側面で結んだ美少女だった。


ハアハアと苦しげに、汗を浮かべ、足を気にしていて立ち上がれずにいた。


「エルウィン・ド・ヨルドフ伯爵令嬢。もう、逃げないのですか」


暗闇に幾つもの赤い目が光る。


「クッ」

絶望に目を閉じ涙が流れるまま息を漏らす美少女。


「あ、貴方たちには吸血鬼の、この世界に生きるものとしての矜持はないのですか!」


「当然有りますよ」


星明かりに、赤い目の集団が浮かび上がる。


その数は6。


先頭の男が美少女の問いに答えた。

その男の後ろから声が上がる。

「エルウィン嬢。この世界で生き残るため父は判斷したのです」

この声、エドヴァン…

嗚呼懐かしいな。

昔のままだ、いや今は別れた時からすると過去か?

しかし…

なんだ?

(吸血鬼族の揉め事なのか?)


「王子…」

美少女が声を漏らすように呟く。


お、王子!?

アイツ王子だったの?

俺は驚愕した。

(知らなかった…)


「戻って来てくれないか?婚約者である君を手に掛けたくない」


んんん?


婚約者?手に掛ける?

何してんだアイツは!


お読みいただき有難う御座います。

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