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【15000PV突破】元勇者、転生聖女として俺を召喚し異世界救います。~惚れた大聖女に転生していました。中身は元勇者のおっさんですTS~  作者: 奏楽雅


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第62話:ステラのせいよなんとかなさい!

局地的な暗雲と霧を纏ったボロボロの帆船が横を並走している…


クラーケン、リヴァイアサンの次に幽霊船とか格が下がる気はする…

とは言え無視しても帰ってくれるとは思えない。


さて


(んん?)


なあ、あれ海面から浮いてないか?


「ステラさん、どうしますか?」


「そ、そうですね」

惺の問に、右手の人差し指を曲げて顎に添えて考える。


(なんか、あの船の欲しい!)


「拿捕しましょう!」


「だ、拿捕?」惺は驚き

「何考えてるのよ!ステラ!」マリアは正気を疑い

「ゆ、幽霊船ですよ?」アリスは慄き

「財宝?」エテルナ…


「と、いうことで、攻撃してこなければ後回しにします」


「え、え、良いんですか?」

「ちょっと、ステラ!」

「はあ…」

「山分けですよね?」


幽霊船とは目撃事例だ。なんらかの事件によって乗組員の居なくなった投棄船だったりする。

そのため往々にして実害がない場合が多い。

下手に財宝目当てで乗り込んで、ネズミとともにペストを持ち込んでしまい二次被害というのがオチだ。


まあ、異世界だから、アンデッドやセイレーンとか絡んでくると話はガラリと変わるけど…

んー

浮いてるから、間違いなく絡んでるんだろうけど…


「今は、目的のわかりやすい海賊を先に対処します!」

「そ、そうですね…?」

「う、そうね?」

「え、そ、そうなんですか?」

「海賊はアジトを突き止めましょう」


あれ、エテルナ以外、みんな歯切れが悪い?

うーん

さすがに得体の知れない物への恐怖が先に立つかー


でも、近々だと海賊のほうがヤバイと思うんだ。

幽霊船や、リヴァイアサンが見えてないわけないのに来るんだもん。勇者すぎるだろ。

普通狙うなら客船や輸送船だろ、こっちは1隻とはいえ軍船だよ。


艦尾には、シャルとマキシ、煌、氷河流、迅、グレースが集まっていた。


「様子はどうですか?」


「ステラ。3隻がピッタリついてきてるの」


「海賊旗を出していないが、船員の数が多すぎる海賊に間違いないだろう」

シャルとマキシが答えてくれる。


「振り切れませんか?」


「俺には船の知識がない、だが…無理だろうな」


一芸を極めた人の意見だ、信じるに値する。


「旗を出すわ!」

シャルが指さして叫ぶ。


国旗ならば私掠船、黒旗なら海賊旗、赤旗なら…皆殺しを意味する。


固唾を飲んで見守る…


「あれは!」

「なんだと!」

「ばかな!」

デッキに集まっている乗組員に動揺が走る。


風になびく、無垢の白…

そう、あれは白旗だった…


「ステラ、これは?」

シャルが俺の袖を引っ張る。

「攻撃の意思がないのか?」

マキシが剣の柄から手を離した。

「安全なの?」

マリアが訝しがる。

「い、いや、まだ安心はできません!」

安心したところで旗を掛けかえるなど海賊の常套手段だ。


砲口を海賊船に向けたままの臨戦態勢をとりつつ、増速した三隻の接近を、声の届くところまで許す。


「一応砲口は下を向けてますね」

(本気なのか?)


「では、聞いてみます」

そう宣言するが…

(なんで俺が聞くんだろう?)

艦長が俺の影に隠れていた。

(まあいいけどさ)


《エンジェル・ボイス》声を伝える魔法。


「貴艦の所属と目的を告げよ。

当艦はラフィール王国軍所属、フリゲート艦

ステラフィールである」

(俺の名前かいこの船!)


「こちらノースランド王国所属、バンシー号、船長リンダ・ブラッドリー。

救助を求めたい」

よく通る女性の声が返ってきた。


「救助要請?」

思わず疑問がこぼれる。

「どういうこと?」

マリアも飲み込めないようだ。


「エー、ウソウソ、海賊クィーン、キャプテン・リンダ、凄い凄い、初めてみたわ」


「ご存知なのですか?グレースさん」


「え、え、知らないんですか?

北方にある、氷の島の大海賊にして女王ですよ!

七つの海を股に掛け

どんな軍隊にも捕まらず

集めた金銀財宝を恵まれない人に配るんです!」

(なんだろう色んな物語が混じってる気がする)


「マリア?」


「知らないわ、国交のない国ね」

首を振られた。


「話を聞いてみましょうか」

みんなが頷ずいてくれ…


「ま、待って、待って!」

「アリスさんどうしました?」

「それなら幽霊船を先になんとかして!」

右舷を見ると暗雲と霧を纏い幽霊船が艦首をこちらに向けたまま並走していた。


ふむ…


「対処となると多分乗り込むことになりますが…」


「え、え、え?ここから大砲や魔法撃ち込んじゃえばいいじゃないですか」


「何言ってるんですアリスさん!財宝が積まれてるかも知れないんですよ!」


エテルナ…


「な、な、な何も乗り込まなくても…よ、よくないですか?」


「半実体に見えます、物理や魔法ではだめかも知れませんよ」

(まあ、聖魔法は効きそうだけどね)


「半実体!?」


俺は頷くと、氷河流にお願いする。


「氷河流さん、すみませんが、あの幽霊船に向かってウォーターボールを放っていただけませんか?」


「あれにですか?攻撃することで反撃を受けませんかね?」


確かにその心配はある。


「たぶん大丈夫です」


「なんの根拠があああるんですか!」アリスが血相を変えて俺に詰め寄る。


「攻撃するなら、既にしてると思いますし、様子を伺っている素振りなので、何かを訴えている様子なんですよ」まあまあと、アリスを宥めつつ自分の感じたことを纏めてみる。


「そんなことが?」


「なので氷河流さん、優しめにお願いします」


《ウォーターボール》

氷河流は頷くと俺の指示に忠実に魔法を放った。キチンと偏差射撃で。

(結構、器用なんだよね氷河流)


みんなでウォーターボールを見守る。

違わずに幽霊船に吸い込まれていくが…


「あ、あれ?」

「外れたの?」

「いや、通り過ぎた感じじゃないか?」

「氷河流さんのウォーターボールは完璧でした。

ただ幽霊船に実体が無いため素通りしました」

俺は解説する。

「氷河流さんありがとうございました。流石でしたよ」俺は満面の笑みで氷河流を称えると、赤面して俯いてしまった。

お前はシャル派だろうに。フフフまあ仕方なかろうな。


「アリスさん、これでおわかりになられたと思いますが、普通の物理や魔法攻撃は意味をなしません」


「ううう、幽霊なんですね、幽霊がいるんですね」


あれ?元S級冒険者さん幽霊怖いの?


「ステラ!幽霊船が突っ込んでくるわよ!」


マリアが指す幽霊船を見ると猛烈な勢いで接近し始めていた。

船上が色めき立つ。


「ステラのせいよなんとかなさい!」


(えー)


お読みいただき有難う御座います。

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