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【15000PV突破】元勇者、転生聖女として俺を召喚し異世界救います。~惚れた大聖女に転生していました。中身は元勇者のおっさんですTS~  作者: 奏楽雅


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第49話:シャルロット戦線

陽が中天に昇り、白亜の城が光を受け輝いていた。

だが

城はもはや城として機能していない。


王が、大臣が執政し。騎士が平和を守り、執事や女官、侍女が城を城たらしめ、料理人や給仕が胃袋を満たす。今は全てが失われている。


その城を、シャルチームは駆け抜けている。


「これで、ほぼ救助できる人は逃げれたと思います」


先頭を走るリアナが、シャルに向かって報告する。


協力してくれた女官も侍女も既に城外に脱出して貰った。


城に残っているのは、魔族と魔族に操られた者。そんな魔族の命令を聞く者。人を襲う伝染病患者たちだ。


今は、その伝染病患者に追われていた。


何が切っ掛けか、一斉に多くの者が目を血走らせ、理性を失わせて襲い掛かって来た。


伝染病。


ステラでも原因がわからないと言っていた。聖女の力が効くのかもわからない。


10メートル程の後方から、津波のように迫る、人の波。血走らせた眼、青白くなった皮膚。二足や四足、後ろ向きで首だけ此方を向けて来る者もいる…


「マリアに騙されたー!こっち怖いよー!チーム変わってー」

シャルは嘆くが、これから攻め込む国の王女が立ち塞がる訳にかない、という配慮のチーム分けだった。


「殺しちゃダメか?」

煌がシャルに問うが、シャルは首を振る。


「ステラが出来るだけ、殺さないでって」


「こいつら、痛みを感じないようで殺さず制圧するのも一苦労だぞ!」


「だ、だから逃げるしかないわ」


「でも、放って置いても死んじゃうんでしょこの人たち!」

殿のアリスが後ろを警戒しつつ叫ぶ。

稀に足の早い感染者もいるので、吹き飛ばしつつだ。


シャルは逃げの一手だが、時間がたつとこの感染者は自害するという習性もあるため厄介だった。


「凍らせちゃダメか?」

氷河流の提案だが、シャルは首を振る。人間は凍らせて溶かせば生き返るという生き物ではない。


「突き当りが謁見の間です、飛び込んだら扉を閉めてください!」

「わかった」


転がり込むように、謁見の間に入ると、煌と氷河流が内側から扉を閉める。


ドガッ、ドガッ、ドガッ!

「ガァァァカァ!」

「グガガガガガガガガッ」


扉の外から、ぶつかる音と叫びが間近に聞こえる。


「扉がもたないぞ!」


「煌!扉から離れろ!《アイスロック》」

氷河流が煌が退くのを確認して唱える。扉が凍りつき、厚さ5メートル程の氷塊が構築された。


「た、助かったー」

シャルはそういうと、腰が砕けたようにその場に尻を着いた。


「これは驚いた」


シャルたちが、背後からした声に驚き扉から玉座に視線を移すと…


「父上!」

リアナが叫ぶ!


「ここまで来られるとは…」

「軍務卿!」


玉座には、リアナの父。ハイライト王が座り、その横には軍務卿と財務卿。

一段下がったところに表情をなくした騎士が幾重にも整列していた。


「シャルロット王女。横も…」

煌の言葉に、左右を見ると、貴族や執事、侍女が気配もなく並んでいた。


背後は固く閉ざした扉、周囲は洗脳された人々、完全に囲まれていた。


聖なる防御魔法セイントウォールは洗脳された人間には効かない。


「煌さま。何かありませんか?」


「こ、殺していいなら…」



「お父様!目を覚まして」

ハイライト王はリアナの声にも微動だにしない、ただ、ただ虚空を見ている。

「陛下よご命令を…」

軍務卿が耳打ちすると、ハイライト王は静かに腕を上げ振り下ろした。

静かにゆっくりと、騎士が前進する。


「は、《ハーベスティング・カンシャンス》!」

アリスが動いた、十指の先から黒い糸が伸び、騎士の意識を刈り取っていく。


「アリス?」


「だめー…人数が多すぎる!」


「ステラー…」

シャルは両手を合わせた


◇◇◇


「ここに居た大事な私の家族を知りませんか?」

第一王妃と名乗ったアヴリルが、心配そうに洞窟を見渡し、俺に聞いてくる。


「ご安心ください。保護させて頂きました」

俺は油断なく相対する。


「それは困るわ。返して下さらない?」


「…ところで、第一王妃はどうなったかご存じありませんか?」

俺は、困ったそぶりのアヴリルに問う。


「まったく、貴方はなんでいつも最後の詰めに現れるのかしらね」


俺の背後の死体が動く気配がした。


俺は数メートル跳ぶと距離をとる。

(しまった!昨夜鎖を斬るんじゃなかった)


ここで死んだ多数の、死体が動き出していた、これは感染によるものではない…

「ネクロマンシー?」

いや、これは…

「オブジェクトマニュピュレイト?」

意志に関係なく、物体を操作する魔法?


「どちらも違うわよ」


眼窩が落ちくぼみ、穴となり口からは何かウゾウゾした物が生えている様に見える。

それが俺に向かってくる。


《セイントウォール》

聖なる盾、物理攻撃も魔法からも守ってくれる聖女の守護結界。


しかし、死者は外縁に触れても何事もなく進んでくる。


「な!」

(どういうことだ)

死者は聖でも邪悪でもない、魂のない物体だからか?歩いてくるだけでは脅威判定にならない?


《ピュリファイ》

(浄化ではどうだ)

浄化の光が、死者に到達し通過するが変化がない。

ウィルスや細菌の分類でもない?


「どう?聖女泣かせでしょ」


「くっ」


お読みいただき有難う御座います。

少しでも面白いと思っていただけたら、どうか★をお願いいたします。

作者が折れないため是非ご協力ください。

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