第47話:攻撃開始
ハイライト王国軍
ラフィール侵攻責任者
ハインケル将軍
各国の主要軍は魔王軍との戦いに出兵している。
そのために引退し、予備役となっていた彼が担ぎ出された。
「なんでこんな役が…」
勝てない、戦犯確実、死刑宣告と同義の侵攻だ。
50年
神よ、魔族と戦い続けてこんな仕打ちですか?
将軍はそう思わずにいられなかった。
「将軍、伝説の英雄と肩を並べられて幸せです」
「ああ、これが魔族との戦いならな」
若い奴が不憫でしょうがない。そう嘆息する。
死出の旅、後ろに続く武器を持った、本来守られるべき5000名の民たち。
命令に本当に従わねばならぬのか?と自問する。
いっそ取って返して、命令した奴を…とも将軍は思うが。
後ろに続く民たちは家族を人質にされている…
早々に騎士団が各国に派遣されたのはそのためだと聞かされた。
この侵攻にも100人近い近衛兵が目を光らせ…いや濁った眼で無表情に監視している。
騎士の誇りもなにもない、盗賊まがいのことを騎士にさせる。
ある意味見事だ。戦争に負け働き手の人口が減り、国民に残るのは国に対する不信と不満。そして戦後賠償…完璧な破滅だ。
こんな図面、魔族以外に書くわけがない、それが解っていてこの状況だ怒るべきか悲しむべきか笑うべきか…
将軍は疲れた笑いが出てしまった。諦めの笑いだ…
「将軍!あれを」
先ほどの将校が将軍を呼んだ。進行方向に四人の男女が立ち塞がっていた。
マリア率いる、迅、紫、エテルナのチームだ。
さらに、その後ろには、近衛の女騎士九人と、姿を見せなくなったという噂の王族の方々が将軍を見ていた。
「王太子様…それに王妃様?」
将軍は声を漏らす…
「ハイライト王国の民よ止まりなさい!」
マリアはよく通る声で叫んだ。
◇◇◇
「みなさん、第二王女のグロリアーナです。
ラフィールより救援を連れて戻りました!」
リアナは、城に突入すると大声で叫んだ。
あらん限りの声で叫んだ。
「城より逃げて下さい!
私が全責任を取ります逃げて下さい!」
城門は、煌の《ピアースレーザー》が吹き飛ばした。
衛兵など妨害する者は、アリスが氷河流が吹き飛ばしながら城を突き進む。
力技で城に突入したのは、シャル率いる煌、氷河流、アリス、リアナのチームだ。
ステラの助けた女官と侍女も一緒に飛び込んだ。
女官と侍女はリアナと共に城にいる人に逃げるように促している。
「逃げて下さーい」
「この城は魔族に支配されています!」
「逃げてー」
シャルチームに、女官と侍女が回されたのは、女官や侍女が城を津々浦々把握し、情報網からまとも、魔族、操られている人を選別できる可能性があるからだ。
「勇者様が助けに来てくれたのよー」
「早く逃げてー」
様々な部屋や通路から、女官、侍女、執事、給仕、使用人が出てくる。
逃げる人たちから、あの人は大丈夫、あの人は人が変わった、あの人は人襲ったなどの情報、あっちから行った方が、あの通路を使ってなどの情報がどんどん集まる。
シャルはそれに、従って指示を出し、けが人や病人には回復魔法を掛けていく。
「ガガガガァァァァッ」
衛兵の中に、目を血走らせ襲い掛かる者が出始めた。
その近くで叫んでいたリアナが襲われそうになる。
アリスが直ぐにカバーに周ろうとするが…
リアナは衛兵の攻撃を躱すと裏拳で側頭部を弾き、流れるように蹴りで顎を蹴り上げ、返す踵を頭蓋に叩き込んだ。
ヒューーッ!
アリスが口笛を吹く。
「やるじゃない」
リアナはそれにウィンクで応えた。
◇◇◇
俺は一人、神殿の幻影を見せられた場所にやってきていた。
ここが、重要ポイントだと思ったからだ…
昨夜死んだ、あの騎士服の男に近づく。
《エンジェル・イヤー》
神経を研ぎ澄まし、音で走査して脳内に映像を構築する。この人のおかしくなった原因…
(う…)
俺は口元を押さえる…
ああ、そうか…
「そこで何をしている」
「そういうあなたは?」
「質問に質問で返すのは失礼なのではないか?」
俺は声のする方へ向き直る。
俺の髪より赤みがかっているが綺麗な金髪碧眼、三十代の妖艶な姿の美女がこちらを見ている。
な、名乗らないわけにはいかない?
「わ、私は覆面女官改め…ホ、ホーリーエンジェル!」
(……)
「……」
お読みいただき有難う御座います。
少しでも面白いと思っていただけたら、どうか★をお願いいたします。
作者が折れないため是非ご協力ください。




