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元勇者、転生聖女として俺を召喚し異世界救います。~惚れた大聖女に転生していました。中身は元勇者のおっさんですTS~  作者: 奏楽雅


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第46話:もう動くしかない

「どこ行ってたんですか!帰って来ないから心配したんですよ」


王都の教会に戻ると、涙を溜めたシャルに抱きつかれた。


「私は心配してなかったんだからね」


マリアはツンデレモードだ。


「ごめんなさい。謝ります。

王都はどうなってるんですか?」


そう、王都は喧騒に包まれていた。


「陽が昇る前に、王都に集めた人へ、出兵が言い渡されたのよ!」

エテルナが足踏みを忙しなくしながらアワアワ教えてくれる。


俺は抜け穴から出た位置の関係で北から入ったが、南門では既に行軍が始まっているらしい。


「急いで行動しないと手遅れになる」

マリアが俺の手を引っ張る。


「アリスさんは戻ってる?」


「夜半に服がビリビリに破けて、怪我して返ってきたわ」

(魔族に会ったのね)

「今は治療が終わって休んでいるところなの」


「もうアディショナルタイムしかないわ。みんなを集めて!」


***


昨夜居た、大勢の男達は出兵で既におらず、教会の食堂は閑散としていた。


その角で、俺は《イーヴズドゥロピング・プリベンション》の盗聴防止空間を作っていた。


「時間もないので、昨夜潜入で得た内容を手短にお話します」


アリスの言葉にみんなと、特にリアナが乗り出して聞く体制に入っている。

リアナの目の下には隈が出来ている、寝れないのだろう。


「まず、王様ですが、謁見の間の玉座に居ました」

(俺は昨夜、王の様子は見に行かなかったので重要な話だ)

「次ですが…」

(おーーーい!)

「ちょっと待って、王の報告ってそれだけ?」

アリスが渋い顔になる。

(どうしたんだ?)


「王様を見つけ観察したのですが…

半時見続けて。微動だにせず、瞬きもせずただ座り続けてました」

「ええ?」

みんな驚く、そりゃそうだ。

そんなの人間じゃない、人形じゃないか…


「ど、どういうことでしょうか?」

リアナがアリスに詰め寄る。


「どう、と言われても。直接聞けるわけじゃなかったし…」


「リアナ。気持はわかるけど…今は」

「ご、ごめんなさい」

リアナは俯いてしまった。

(すまない、時間がないんだ)

「アリスさん、続けて」


「うん、その後、王の執務室、王妃の居館、側妃の居館、王子、王女の部屋を回ったけど、誰もいなかった。第三王妃の部屋は、結界が張られていて入ることが出来なかったわ」

「結界?魔族?」

「いえ、ディアナ王妃は元聖女なのでご自分で張ったのかもしれません」

マリアの問いにリアナが答える。


「他に王城でいる人として、軍務卿と財務卿」

(ほう、軍務卿はディアナ王妃が黒いモヤが見えると言っていた人か)


「正確には軍務局に二人でいたので話を聞いていて軍務卿と財務卿と判断しました」


「軍務卿は魔族でしょう…」

「それは何で判断を?」


「変装が途中で維持できないのか、黒い肌になっていました」


「維持できない?下級魔族?」

「そうでしょうね」

シャルの疑問にマリアが返す。


「軍務卿は、財務卿に向かって、ベラベラ独り言のように話していました」


「どんなことを?」


「大事そうなことだと、”俺はまだ早いと思うのだが、ギャザリン様の命令だ明日派兵を開始する”と言ってました」


(ギャザリン?誰だろう?初めて聞く名だ…)


「ギャザリン…第一位階の魔族ね、ジェネラル級。報告が上がっているわ」

マリアが腕を組んで呟く。

(そうなのか、強いのかな?)

「ステラ。何キョトンとしてるの?貴方の報告書よ!」

(うへ!)


「財務卿は洗脳か暗示状態のようで、直立不動で軍務卿の話を、ただ聞いていたように見えました」


「洗脳か…財務卿と王様の感じって差異はあった?」


「ん?あ、ああ、そう言えば似てますね」


「近衛騎士団長とかは見ましたか?」


「見ていません、というか人物を知らないので見かけた人の中に居るのかもしれませんが…」

「そりゃそうか…」


「あと、地下牢を見てきました」

(ほう)

「大量の死体が、無造作に詰め込まれていいて…まるでモルグのようでした」

(死体安置所か…そんな感じだったな)


「そこで認識阻害をしている魔族に出会い」

(俺を襲ったやつか…?)


「認識阻害中のため、魔族に気付かれたかもしれないと思って、仕方なく攻撃を仕掛けたんですが…」

(まあ、相手の状況がわからなければ、仕方ないよな…俺でもそうする)


「ですが、攻撃を躱され」


「ギルドランクSの攻撃が躱されたのか?」

煌と氷河流が驚愕の表情だ。

(物理では勇者と同等かそれ以上だからなSランクは)


「そんな高位の魔族が地下牢に…」

マリアが青ざめている。


「拮抗はしていたと思うのですが、最後に大きな反撃をされ。撤退せざるを得なくなりました」


「そ、そんなに強いのか?」


「最後の攻撃は、地下牢が半壊するような攻撃で…躱すのが精一杯でした」

(ん、んん〜)


「服は破け半裸になるわ、怪我するわで…こんな屈辱は冒険者になりたてのとき以来です、きっとゴリラみたいな魔族ですよ」

(ゴリラ?)


「わ、わかったわ、みんなも気をつけるようにしましょう」

「そうですね」

マリアが絞り出すように言うと、みんなが同意した。


(………)

俺の滴る汗に紫が気付く。

「ステラさん?ど、どうしたの?」

「な、何でもないですよー」

(まさかね…)


「あ、あの、アリスは認識阻害なんか使えないですよね?」

「闇属性持ちだから使えますよ」

「す、凄いですねー」

(こ、殺さなくて良かったー)


「で、ステラは何処で何してたの?」

マリアがジロリとこちらを見る。


「え、ええとですね…」

俺は搔い摘んで説明した。


侍女の話しとディアナ王妃の話し、洞窟の話し、そして王妃、王子、王女を救い出し今は身を潜めて貰っていること。


(牢獄の戦闘の話はしない。行ったら穴が空いてたことにしたよ)


「何よその伝染する病気って怖いじゃない」

「まるでゾンビ映画みたい」

マリアと紫の反応、俺もそう思った。


「私の推論だけど


なり代わり魔族、軍務卿など。

精神支配されている人、財務卿など。

伝染病の人、総数、識別不明。

魔族、精神支配者の命令で動いている人。

要救助者、ディアナ王妃など。

確認できてない人、王妃、第二王子。

が城で混沌としています。


事件の始まりは伝染病の人による、殺傷事件からだと思います」


「でも、その原因が魔族ね」


俺は頷く


「伝染病は、厄介ね…」


「でも、もう動くしかない」


「そうね」

全員が頷いた


お読みいただき有難う御座います。

少しでも面白いと思っていただけたら、どうか★をお願いいたします。

作者が折れないため是非ご協力ください。

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