第45話:お力お貸しください
「色々聞きたいのですが、先ずはここから逃げましょう」
(もう暗い所は嫌です)
「はい、お願いします」
「動かないで下さいね」
俺は、マフラーをまた槍にすると、刃先を鎖の継ぎ目に入れて鎖を断ち切って行く。
そして同時に《マインド・プロテクション》も…
「ありがとうございます」
「ありがとうございます」
「ありがとうございます、怪しい人さん」
(まだ、怪しい人?)
「ありがとうございます、不審者さん」
(不審者!?)
だんだんめげてきた…
「ありがとうございます、聖女さん」
(あれ?)
小さな女の子がそういった…何故?
「《マインド・プロテクション》は聖属性、聖女様…ですよね?」
俺は唇に人差し指をあてて、ウィンクすると、察しの良い子で直ぐに、首を縦に二回振った。
俺は全員の鎖を斬り終わると、死者たちの鎖も斬ってやった。
あと、問題はあの木だが…今は、大きな魔法を使って、気づかれるような真似はしたくない…
まだ、ここ以外の人たちは助け終わってないのだから…
「この洞窟の先は…外に通じているはず…です…」
二十歳後半くらいのお姉さんが教えてくれる。
「貴方は?」
「この国の第二王妃、カサンドラで…す…」
銀髪のお姉さんが自己紹介をしてくれる、消えたと言われていた王妃様だね。
疲れ切り痛々しいほど弱り切っているが、気品と美貌は良く解る、なによりお若い。
「ここは抜け穴という事でいいのでしょうか」
「は…い」
一言毎に息が切れるみたいで辛そうだ。
「みなさん、お辛いと思いますが、どうか力を合わせ脱出しましょう」
「「「はい」」」
***
俺たちは、黙々と洞窟を歩き、海岸沿いの潟湖近くに口を開けた洞窟から出ることが出来た。
空はまだ暗く、夜明けまではまだ時間がありそうだ。
久しぶりに朝を欲している自分が居る…
あの城は鬱になる…
ここは城壁の外で、陰鬱な城が遠目に見える場所だった。
(ここなら…)
「みなさん、集まってください!」
足を引きづるように、肩を貸し合い集まってくれた。
《エクストラヒール》
淡い緑光がみんなを包む、傷が塞がっていき。
目に活力の光が見えるようになる。
問題は伝染すると言っているアレだ。
調べることも出来なかったから原因が全くわからない。
《グレートピュリファイ》浄化の魔法。
《キュアリフレシュ》治癒と解毒、回復の魔法だ。
祈る気持ちで俺は、回復系魔法を連続で掛ける、数打ちゃ当たるってか、当たってくれ。
(頼む!)
俺の願いと、スマイルも付けてゼロ円だ。
***
「お名前をお教えいただけませんか?」
「それは…覆面女官でお願いします」
「は?」
(うーむ、今後のために考えておこう)
「では、覆面女官さん?」
「えと…はい」
「この度は助けていただき、心より感謝いたします…
今の私には何の力も権限もなく、褒美も贈れず心苦しく思います」
「私も同じ気持ちです、ありがとうございました」
「ええと」
「第三王妃の、テレジアです」
長い赤毛を結い上げている美人さん。うーんここの王様良いセンスしてるわ。
「あちらが第一王子と第三王子」
20歳くらいと10歳くらいの男性を指す。
「こちらが第一王女と第三王女、そちらが第四王女と第五王女です」
20歳、15歳くらい。12歳と10歳くらい女性を指す。
「第二王子様は?」
「あそこには居ませんでした」とカサンドラ王妃
俺は頷く。
「陛下は無事でしょうか?」テレジア王妃が心配そうに尋ねる。
「申し訳ありません確認できていません」
俺は首を横に振る。
「お母様はご無事でしょうか」第五王女、さっきの聖女発言の娘だ。
「貴方はディアナ王妃の?」
「はい」
(ああ、なるほど。聖女の娘なら聖女に詳しいか)
「先ほどお会いしました、ご無事ですよ」
俺は腰を折って目線を合わせて、安心するように優しく話す。
騎士服の女性九人に視線を向けると、俺に頭を垂れていた。
疲れてはいるが流石。律した姿勢でとてもカッコイイ。
女官と、侍女も。
丁寧なお辞儀を向けてくれている。
「今…」
言うべきか俺は、一瞬躊躇う…
俺は、ここにいる人たちを見渡す。
深呼吸一つ…
「今、ハイライト王国は存亡の危機に瀕しています、お力をお借りするかもしれません」
俺も頭を垂れてそう発言した。
太陽は未だ姿を見せないが、空は白み始めていた。
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