第24話:会議はお腹いっぱい
穴が穿たれた壁から、外の喧騒が聞こえてくる。
扉からは、音や声に反応した近衛騎士が入ってきていた。
腰を浮かせた会議参加者は、ボーゼンとするものや…
「嘘だろ…魔族だぞ…」
「魔族が何も出来なかった?」
「魔術師を加えた騎士一個中隊でどうかという相手ですよね」
「これが大聖女?」
「美しいだけの広告塔ではなかったのか」
「王の寵愛による大聖女だとばかり…」
大貴族からの声にならない呟きが聞こえてくる。
(ああ、そう言う風に思ってたんだー)
ドン
俺はテーブルに両手をつく。
一斉に視線が俺へと集まるのを見計らって…
「皆さん、これでお解りでしょうか?
魔族は直ぐ側にまで迫っています」
何人かが首をコクコクと振る。
「いいかな?」
大貴族の一人が胸の前で手を上げる。
「なんでしょうか?」
「だ、大聖女はこんなことが出来るのか?」
え?
「魔族を一蹴するかのような力を持ち合わせているのか?」
俺は、ツーと汗が伝うのを感じる…
「こ、このくらい聖女なら出来ますよ」
横でシャルロット王女がブンブン首を振っている。
「ムリムリ!」
「「「……」」」
(……)
「す、少なくとも、聖女は魔族を感じることは出来ます」
シャルロット王女がウンウンと首を振る。
「これからの戦いで聖女は必須です、守りを固めるようお願いします」
聖女メリージェーン様のような悲劇は御免被る。
「わ、わかった」
「皆のもの、ここで見た大聖女の力に関する情報は口外しないように。国家機密とする」
「「「ハハァ!」」」
参加者が一斉に頭を下げる。王がフォローしてくれた。グッジョブ。
「ステラ!大丈夫!
魔族と《セイントウォール》の気配がしたけ…」
マリアと勇者たちが息を切らして入ってきたが、壁に空いた穴を見て足を止めた。
「何事ですか?」惺が壁を見て呆然とする。
「魔族が紛れてました!」
シャルロットが人差し指をたてて胸を張った。
「大丈夫だったんですか?」
「ステラがチョチョイのチョ「大丈夫です魔族は消えましたご心配おかけしました!」で、みんな無事です」
シャルロット王女の言葉に、言葉を重ねる。
(ヤバイヤバイ、俺は強くないぞー戦争反対ー)
俺はコホンと咳払いすると纏めに入る。
「世界は予断を許さない状況です。
人類は利害を超えて手を取り合わなければ生き残れません」
俺が、会議場を見渡すと、誰もが頷いてくれた。
「それと、警備には巡回を密に、打ち捨てられた人がいないか確認するルーチンを加えてください」
「何故だ?」
騎士団長だ。
「魔族の成り代りを、早期に知るためです」
「…わかった」
俺は頷く。
本当はそうなる前に救いたいが、現状は後手になるのは止むを得ない。
「我々は急いで体勢を整える必要があります。
連邦の提案に反対の人はいらしゃいますか?」
参加者は顔を見合わせるが、反対の者は居なかった。
(よし!虚を衝く裁決成功!)
王に目配せをする。
「ラフィール王国は、連邦の提案に合意し、勇者の運用を共同で行うものとする!」
「「「ハハァ!」」」
マリアが両手を合わせ涙を流している。
良かった良かった。
***
「さて、今後だが」
(えーまだ会議するのー?)
俺は正直ゲンナリした。
穴の空いた会議室から、穴の空いていない別の会議室へと移った。
メンバーは王と侍従、マリアと俺だ。
「ステラよ、私も疲れているんだ、そう睨んでくれるな」
「別に睨んでません」とそっぽを向く。
まあ、纏めて全て決めてしまえというのは嫌いではない。
「マリア王女の考えを聞きたい」
「はい、帝国に向かいたいと思っています」
「まあ、そうだろうな」
「出来れば、王国勇者、ステラとシャルロット王女も一緒して頂きたいと思います」
「わかったと言いたいのだが…
実際勇者の状況はどうなんだ?」
王が俺に促す。
「圧倒的に時間が足りていません。
魔術は道中でもなんとか教育出来ますが…」
「戦技など物理系か?」
王が濁す言葉を引き取ってくれる。
「はい、直接生存に関わる部分です。おざなりには出来ません」
王が「ふむ」と言って、背もたれに身体を預ける。
現状では完全に火力だけの後衛パーティーだ。砲兵だけでは戦争など出来はしない。
「マリア王女。連邦の勇者はその辺はどうなんだ?」
「そうですね、二年の戦いをくぐり抜けては居ますが…魔術師寄りなのは否めません」
(だよなー、技術は促成できない部分だからなー)
「英雄か剣聖でも付けてやりたいが、手一杯だからな…空いてるやつって居ないよな?」
「そうですね、怪我や病気で引退したものは居ますが、動ける状態ではないです」
侍従も苦渋の顔をする。
「マリア王女、どのくらいなら待てる?」
「出来れば直ぐにでも発ちたいのですが…」
(マリア。流石に急ぎ過ぎでは?俺は休みが欲しいよ…)
「そうだ、あいつは何してる?」
王は侍従に語りかける。
「マキシミリアン王子ならば、現在は南の森の小屋におられるかと…」
「ステラ」
「…はい」
嫌な予感しかしない。
「あいつを説得して連れて行け」
「んな!」
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