第21話:シャルロット王女
なんだろう、俺は大聖女で、国民からの人気も高く、尊敬もされているのに…
…威厳がない気がしないでもない…
「それは、ステラが自分で動き回ってなんでもやってしまうからじゃないの?」
マリアが、俺を残念そうに見ていた。
「あれ?聞こえましたか?」
「威厳がない…から口にしてたわよ」
(あらら)
今は連邦勇者の歓迎会で、会場では懇談が始まっていた。
「貴女、さっきから何をしているの?」
俺は王から歓迎会を頼むと言われてしまい。業腹なのだが、頭の中で何かがカチリと鳴ったような気がした。
俺はマリアに説明する…
「会場の見取り図を見て。典礼官に、対立している貴族や商人の情報を教えて貰い…」
マリアが眉根を寄せた。
「一緒にならないように執事に指示を出したり、勇者の動線は、絶対に足止めをされないようにメイドに指示を出したり…」
マリアが首を傾げる。
「また、勇者に貴族や商人が近づいて囲い込みのような話をしないか目を光らせたり…」
「ちょっと…ステラ…」
「クレーマーには割り込んで、その件については一旦持ち帰らせていただきますと穏便に片づけて…コンプライアンス違反の招待客には、角の立たないように外に連れ出したりしているんだけど?」
「…何で、貴女がそんなことしてるの?」
「え?」
「聖女、しかも大聖女の仕事じゃないでしょ!」
(………)
俺は腕を組んで考え込む。
「あああ!」
王に言われて、カチリと鳴った音は前世の営業マンモードに切り替わった音だ!
俺は近くのテーブルに突っ伏した。
「なんで貴女にそんな知識があるのか知らないけど…聖女を演じてよ、お願いだから」
マリアにお願いされてしまった。
「うん…ごめんなさい」
***
俺はマリアに連れられ、勇者のところへと向かった。
(後のことも一応指示は残してきました…)
「ステラさん。何されてたんですか?」
紫が尋ねてくる。
「カチリと…いえ、なんでもないです」
「はぁ?」
「そ、それより楽しまれてますか?」
「それが…」
と言ってバルコニーを指さす。
俺は顔に手を当てた。
「あの勝負は俺の勝ちだった」
「いや、止めを刺したのは僕だった、当然僕の勝ちだ」
「やめて下さい。このような席で言い争いなど、勇者の品位が問われますよ」
俺は、二人を止めに入る。
「ステラさん。聞いてよこの人負けを認めないんだ」
「負けてねえだろうが」
「こんばんわ、お久しぶりですステラ」
「第三回ステラ争奪戦やる?」
「マリア様。なんで第三回になってるの?いつやったの!」
「ちょっとステラなんで無視するの!」
思いっきり袖を引っ張られた。
「誰?」
バランスを崩しつつ引っ張られた袖を見ると、ピンクの法衣を着た聖女が頬を膨らませていた。
「シャ、シャルロット王女」
第37王女、俺が10歳の時に女官見習として使えた王女様だ。彼女も11歳の時に教会から聖女の資質を認められてしまい、王女にも関わらず聖女として戦地を回っている。マリアもだけどね。
ちなみに、ピンクの法衣は、王女の我がままだ。
「こちらに、戻られていたのですか?」
「勇者が召喚されたっていうから、私も予備の聖女として行けって教会から言われたの。
これで、やっと、一緒にいられるわ」
「本当ですか、良かった!」
ってオヤジの俺が、シャルロットと掌を合わせて喜ぶ。
(こ、これも社交なんだ!)
「で、何いい争ってたんですか?」
「やあ、シャルロット王女。お久しぶりです」
煌が、シャルロットの手を取って口づける。
「煌様ご無沙汰しております、マリア様も、氷河流様もごきげんよう」
氷河流がお辞儀する、心なしか顔が赤い気がする…
「ご紹介します、この方々が王国の召喚勇者で、惺さん、紫さん、迅様です」
俺は順に紹介する。
迅以外は、お互いお辞儀をしつつ普通に挨拶を交わした。
(まあ迅だからな…)
「ステラ。シャルロット王女も揃ったので、明日は会議のセッティングをお願いするわ」
カチリ…
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