表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元勇者、転生聖女として俺を召喚し異世界救います。~惚れた大聖女に転生していました。中身は元勇者のおっさんですTS~  作者: 奏楽雅


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/36

第14話:魔獣

「惺さん、紫さん、迅様。魔獣とは、何か…教わりましたか?」

「いえ、教えていただいてません」

ロックリザードの無情な死から、少し立ち直ってきた紫が答える。


「魔の世界へ続く扉が開かれると同時に、世界中の至る所で小さな穴が開いて魔素が漏れ出す現象があります。それを魔素溜まりと言います」

「はい…」

「その魔素を獣が取り込むと魔獣となります。

これが、各地で魔獣が発生する原因です」

「なるほど」


「ステラさん、紫ちゃんなに落ち着いているんですか!」


「惺さん。どうされました?」


「ド、ドドド、ドラゴンですよ」


惺の指さす先には――

三階建てのビル位の高さから、こちらを睥睨している鈍色のドラゴンが見える。

鱗は光を反射する金属のような光沢、巨大な口の端からは炎が漏れている。


たぶん、元はロックリザードだろう。

これが先ほど説明した。魔獣だ。


「そうですねー。ずーいぶん大きく育ったものですねー」

俺は手庇を作って見上げた。


ステラ争奪戦を有耶無耶にしたところで、大きな揺れが起こった。

最初は地震かと思った。だが、俺は直ぐに魔素を感じ取っていた。

火山が、マグマと共に岩石を吐き出すように、このドラゴンは土と岩を跳ね上げて咆哮と共に現れた。

このドラゴンは地下に出来た魔素溜まりを一身に受けて成長したのだろう。ここまでデカいのは珍しい。



「なんで、そんなに冷静なんですか!」


「いえ、別に冷静な訳でもないですよ」


そう。別に冷静な訳では無いが焦ってもいないだけだ。


「ただ…」


俺は、顎に人差し指をあて、惺、迅、煌、氷河流の顔を順に見る。


「これだけ勇者が集まっていらしゃいますし」

両手を合わせて、上目遣いで見つめる。


「なんとかして下さるかなって。」


ついでにキラキラと瞳も潤わせてみる。


「あざとい…」


マリアが小さな声で呟いている…


まあ、なんだ。戦力的には十分な筈だし。

デカいからって逃げては今後に響く。

連携を覚えるのにも丁度いい。

俺がいるからには、死者なんか出させない。


取り敢えずやってみそ、と言った感じだ。


「ぼ、僕は地形を、天候も変えられるくらい凄いんだ!

見ていて下さい!

こんな…こんな…ドラゴンくらい−−」


惺が顔を赤らめ、ドラゴンに向かい走り出した。


「え、ちょっと」


「俺があいつに劣るだと。クソ!俺が、負ける訳がない。俺が倒してやる」


鼻息荒く迅もそれに続く。


「え?」


「ステラちゃん。ヒヨッコより凄いって見せてあげるね」


と煌が俺の前でウィンクする。


「行くぞ、氷河流!」


「オウ!」


煌が氷河流を連れだって行く。


「え、え、え」


(ちょっと、連携の話聞いてよー!)


「ステラやるわね、お願い風に煽るなんて」


マリアが愉快そうに口元を押さえている。


「マリア。ち、ちがう、連携を、連携を覚えて欲しいのよ」


「第二回『ステラ争奪戦』ね!」


「マリア様。ワクワクしない!

決して舐めてかかっていい相手じゃないから。ドラゴンなんだからね」


「あら、煽ったのはステラよ」


「そ、そうだけど…」


こんなことになるとは思わなかった。


俺は天を仰ぐ。



ドラゴンに対し、氷河流が足下を凍らせる。

だが、バリバリと氷を砕き、ドラゴンは動きを止めることは無かった。


「くうっ」

氷河流が悔しそうに呻く。


「これでも喰らえ!」

迅がドラゴンを覆い隠すほどの火球を放つ。


ドラゴンは火炎に包みこまれ。その熱気はここまで伝わってくる。


だが、火が消えた後には――

焦げ跡一つないドラゴンが、フンッと鼻を鳴らす。


「なんだと...」


迅の声が怒りに震える。



直後、ドラゴンの鼻っ面に溝が穿たれた。


「ハハ、どうだい、攻撃が見えないだろ!このまま倒してやるよ!」


煌が、八つの光の玉を円環状に展開させている。


光の玉が一つ無くなるたびに、ドラゴンが穿たれていく。


光の玉は加速収束させた粒子を内包し、力を解放すると無くなる。一種のレーザーを放っているらしい。


煌は調子に乗っているが…さしてダメージになっていない気がする。


惺が、雷雲を発生させている。


黒い雲が垂れこめ、輝く紫電が幾つも雲の中を駆け巡っている。


惺の《ストーム・サンダー》の叫びが轟くと同時に――


どぉぉぉおおおおんんん!


耳を劈く轟音が響き。大地から足が浮くような振動が辺りを震わせる。


「わぁ。惺さん、凄い!」

先程、無理矢理詰め込んだ俺の魔力が残っていたのと、俺がパスを二回通したこともあってのことだとは思うが、俺は素直に感動した。


シュウシュウという音と辺りに煙が立ち込め、ドラゴンは頭を地面につけ倒れているように見える。


…沈黙が場を支配する。


(言ってくれるなよ!)

俺は願って、周りを見渡す…


「やったか!」

(あーーー誰だ!言ったやつ!)


お約束の言葉に反応したのか、煙を振り払いドラゴンが立ち上がった。


後ろの方で、紫ちゃんがジャンロックさんの胸を叩いている。犯人はジャンロックさんか!



しかし、どうもあのドラゴン、ロックリザードから魔獣になった時に、身体が金属になったようで、それはそれは硬く、しかも大きいために魔法の効果も薄いようだ。


(…もしかして、この前の城を襲ったゴーレムより強いかも…)

俺がそんなことを思っていると…


ドラゴンが、大きく息を吸い始めた。


「ステラ。不味いわ!」


マリアの声が響く。


「ブレス攻撃よ!」


ドラゴンを中心に大気そのものが震え、熱が空気を歪ませていく。


俺も、気づいている。


「ドラゴンが火を吹くわ!みんな、こっちに!」


みんなを呼び集めようと全力で叫ぶ。


惺と紫、ソフィーテアさん、ジャンロックさんが即座に反応を示し走ってくる。


氷河流も戻ってくる。


しかし、迅と煌が戻ってこない。


「マリア!セイントウォールをここで!」


マリアにそう叫ぶと、俺は二人に向かって走り出す。


ドラゴンの口には、赤い光が溢れ始めていた。


お読みいただき有難う御座います。

少しでも面白いと思っていただけたら、どうか★をお願いいたします。

作者が折れないため是非ご協力ください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ